印伝にはさまざまな柄がある。しかしなぜ弊社が「トンボ」と「桜」を中心としているかと申せば、それには深い訳があるのです。


トンボは男の柄かもしれないけれど、桜は女性向きじゃあないかって? そうですね、その姿からはそう判断できますね。しかし女性には申し訳ないけれど、桜は男の花なのだ。トンボだって、男の私が昆虫好きという理由ではない。
さてこの二つ、歴史をさかのぼって簡単にご説明しようじゃありませんか・・・。



トンボ。

トンボは空中でホバーリングこそするが、バックできない昆虫である。そう、前進あるのみ。
前にしか進まないトンボは、後退しないというその「いさぎよさ」から、戦国時代の武将たちは兜(カブト)のマークや着物の柄に好んで使った。トンボは「勝虫(かちむし)」と呼ばれていたのである。
なお、甲州の武田信玄が愛用していた信玄袋も印伝に近い素材ではあるというが、それがトンボの柄であったかどうかは不明である。でもきっとそうに違いないと筆者は確信する、、、たぶん。

弊社も武将のように「いさぎよい昆虫」としてトンボを好むが、もうひとつ理由がある・・・それはバイクも同類。これも前進しかできない(例外あり)。

「バイク乗りもトンボ精神」・・・世の中、前向きにいきようじゃありませんか。。。







桜。

一般的に花模様は女性好みなのだろうが、サクラだけは違うのである。
室町時代の詩人による「花は桜木、人は武士」という言葉がある。花は桜がいちばんで、人は武士がいちばん優れている・・・という意味のようだ。また、武士は桜の花に一目置いていた。「散り際がいい」という侍精神のようだ。
また、江戸時代に「男の花」として桜を有名にさせたのは、あの“遠山の金さん”である。「この桜吹雪が目に入らねえかぁ〜!」って。

桜の花には素晴らしいチカラがある。咲き始めは、どんな暴風雨でも耐えてほとんど飛び散らないが、満開を終えると見事にいっきに散る。我慢強さといさぎよさを兼ね備えているサクラ・・・女性も好む花ではあるが、やはり「男の花」として、その存在感は大きい。
・・・その漢字、「女」を「男」にしてくれたら、もっと説得力があったのになあ、、、。













※トンボは黒うるしだけではない。秋になると赤トンボバージョンの限定生産もあり。

いががでしょうか、「トンボ」と「桜」を弊社が好む理由を少しはご理解いただけたでしょうか。
・・・ありがとうございます。それでは弊社工房自慢の印伝使用製品の数々をご覧ください。
そんなわけでそれらの製品は気合いを入れて作りました。でも万が一にも売れなかったらすぐに生産中止とします。これも「いさぎよく」「散り際よく」、トンボと桜を見習って。。。


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