「コードバンてどこ?」
コードバンが馬革であることはご存知であろう。しかしどの部分なのかを知る人は少ない。では下の写真でお答えしましょう。
図で示したように、太ももの最上部から尻にあたる小さな面積部分。そこは胴体の皮のいちばん厚いところである。
・・・余談ではあるが、ナマものを「皮」と言い、腐らぬよう加工したもの(なめし)を「革」と呼ぶ。なので人の皮膚は「皮」、グローブやブーツは「革」、同じ「かわ」でも違いがある。

※信州浅間山近くの宿『天狗温泉 浅間山荘』、そこで飼われている馬。馬刺し用でもなければ、けっしてコードバン用でもなく・・・乗馬用。名を「武蔵」と言う。なぜ知っているかと言えば、乗っているのが筆者。
天狗温泉 浅間山荘の公式サイト >> あとでどうぞ。



「なぜ希少、なぜ高額なの?」






馬革の流通が少ない理由は簡単だ。日本だけでなく世界的に見ても、牛肉に比べて馬肉の消費量は圧倒的に少ない。数百分の一、いやそれ以上開いているだろう。革は食用の副産物。よって馬革は少ない。

馬革の加工(なめし)会社は日本には2社しかない。そのひとつ、弊社ペアスロープの仕入れ先にて、かなり簡略化してコードバン作業行程を説明しよう。

1. 信州のとある街。もちろん「鉄の馬」・・・バイクで撮影に向かう。ついでにコードバンを注文しようと思ったが工場の壁に「まけるな」の文字。たぶん意味が違うと思うが。

2. 工場の奥にある「なめし」「染色」のスペース。ドラムという大きな器がぐるぐると回り、中の革をかき混ぜている。

3. なめし終えたコードバンを表面加工する。大きい革だが、コードバン繊維質部分の面積は半分以下。

4. 研磨されて形を整えたコードバンがずらりと並ぶ。

5. 染色・彩色を施し乾燥させる。ペアスロープ向けはブラックのみここから出荷。その他の色(ブルー・ブラウン等)は複雑な工程なので別ページにてご案内。

写真と説明文を見て読んで、少しだけでも頭に入ったことでしょう。
さて、なぜコードバンが高額なのか・・・希少な革、というだけでなく、真のコードバン部分の面積は非常に少ない。写真では意外に大きいと思われるだろうが、実際に使用できる部分はほんのわずかでしかない。
なお、高額といってもいったいどのくらいなのかをペアスロープ革ジャン用牛革と比較してみよう。誤解のないよう申し上げれば、弊社用牛革も一般平均よりだいぶ高価。しかしそれでも・・・10〜15倍という価格である。


コードバン以外の胴体の革は・・・ペアスロープに革ジャン用馬革として送られる。ちなみにモデルは美容室を営むシュウイチ君。弊社カタログで何度か登場している。なお、撮影場所はご案内の工場内。ここで加工された馬革を革ジャンに仕立ててドラムの前で撮る・・・よくもまあ撮影を許可してくれたものだ。





「革の宝石」「革の王様」ってなぜ言われる?
コードバンの需要の多くはアクセサリーグッズ。百貨店や専門店に行けば、コードバングッズはガラスケースの中に展示されているので高価なほどがわかろう。特に少数派の日本製は。
そしてもうひとつの需要がランドセル。もちろん通常の牛革や合成皮革品よりもはるかに高額なので、いいとこのお坊ちゃま・お嬢ちゃまクラスがお使いあそばせていらっしゃるものと想像する。(筆者は無縁だった)

[コードバンの大きさ]
加工工場から送られたコードバン。これ全ての面積が使えるわけではなく、外側から数cmは不要となる。よって写真でもお分かりのように、1枚で長財布と二つ折り財布が各1個裁断できるのが限界か。

さて本題に移ろう。「革の宝石」というのはすでに察しがついていることでしょう。・・・希少で高価で宝石のような輝きを放つから。
「革の王様」は、一般的な各種革素材と比べて高価なのに加え、「宝石」と呼ばれるほど「格が高い」からだと言える。昔は王様御用達の革小物だったのだろうか。いずれにしても存在感ある革である。

・・・こうして速足でコードバンを語ってみた。写真を添えて。
しかし弊社撮影スタジオ(単なる倉庫の片隅)で、プロカメラマンそして筆者が懸命に何度も撮影したところで、その表情はとらえきれていない。現物と写真では違いがある。
可能ならば、ぜひご来店いただいて、現物を目で確かめていただきたいものである。

・・・その前に第2ゲートから先も、どうぞご覧下さいな。。。



[ちょっとマメ知識・・・表と裏]
これを知っている人は、かなりのツウでしょう。
通常ならば、革は動物の毛の付いていたほうが「表」だが、コードバンは逆。内側のほうを「表」として裏使いする。なめらかで繊細なコードバン繊維質は、毛の付いた表面の奥にあるから。

[ちょっとマメ知識・・・彩色]
革の彩色には「染料」と「顔料」がある。染料は革を染めて彩色。顔料は表面を塗料で彩色。そして多くは「染色&顔料」という方法があり。
一般的には染料の方が手間がかかるし、そのつど色ぶれやムラが多いので、均一的な顔料彩色が多くなっている。
しかし現在、弊社コードバンは、ブラック以外は染料を中心とした彩色がほとんどである。染色でないと表せない趣ある色合い、それに魅力あり。

[ちょっとマメ知識・・・コードバンと水]
コードバンは水に弱いと言われる。それは革そのものではなく、染色系コードバンの表面に水滴が付くとムラができやすいというもの。しかし弊社コードバンは水対策をとっており、すぐに拭き取ってやれば問題なし。

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