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文:三橋弘行 写真:坂上修造 取材日:2014年10月1・2日
[ モーターサイクリスト誌連載 第1湯 ]
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西伊豆の松崎町は昔ながらの「なまこ壁」が多く残り、また「世界でいちばん富士山がきれいに見える町」と宣言されるほど風光明媚な地域。山芳園はその街はずれにある一軒宿である。
宿の外観、そして館内も高級旅館と感じるが、宿の主人は「『高級民宿』なんだな、ウチはね」と言う。それは気軽に泊りに来てほしい、という思いかもしれない。
館内は静かで落ち着きがある。それは「立ち寄り湯」が利用不可で、人の行き来が非常に少ないから。これもまた良し、である。 |
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料理担当は若旦那。伊豆近海の海の幸メインだが、この宿は近隣に山を所有し、春はタケノコや山菜、秋はキノコやクリなどの料理も自慢。そして米は宿の真ん前にある田んぼで、農薬を使わない「合鴨農法」、そのうえ「天日干し」という凝りよう。当然ながらこのメシは旨い。(合鴨飼育担当は若女将)
海の幸は伊豆、山の幸も伊豆、それも自家栽培多し。これには手間もコストも掛かろうが、それがこの宿のオモテナシ。 |
源泉掛け流しといっても、湯船に湯を注ぐ方法は複数ある。主人いわく「空気に触れさせず、地下から湧く湯を湯船に入れる・・・これがいちばん贅沢な温泉なんだな」。
温泉は地上に出ると酸化し、老化が始まる。それを防ぐには空気に触れないようにするが、その方法を独自で実行したのだ。
これを主人は「源泉脈掛け流し」と呼んでいる。
その湯量、この小さな宿では有り余るほど豊富である。 |
[ 山芳園の湯] |
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泉質:ナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉
ペーハー8.5 アルカリ性 無色透明・無味無臭
湧出量:530リットル/分 掘削自噴源泉 1本 自家源泉
源泉湯温:74℃ 加温・加水なし 源泉掛け流し 飲泉可
浴室:内湯4(男湯x1・女湯x2・貸切家族風呂x1)
混浴露天1(女性専用時間あり) その他、客室にx4 |
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女将さん(写真)も若女将さんも気さくな人柄。若旦那は身長187cm、足31cm。それはさておき、この宿の料金は安価ではないが、けっして高く感じることもない。部屋、料理、そして温泉に納得・・・泊まれば分かる。
料金は一人¥19,570〜(2名1室諸税込) ※グループは¥16,330〜 客室:10
※宿泊のお客に静かに過ごしてもらう配慮で、立寄り入浴は無し。
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普段は山仕事(もちろん宿の食材等)をメインとしている主人だから、宿でその姿をみつけることは、あまりない。が、もし出会って温泉話でもしようものなら、もう止まらない。嬉しそうにしゃべりまくる主人、ほんと〜に温泉好きのようである。
まあとにかく、この宿には泊まっておいたほうが良いだろう。 |
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[追伸]
弊社ブーツをお買い上げのお客様に、防臭・除湿効果のある「竹炭」を差し上げている。その竹は山芳園の竹林から、そして主人の炭小屋で焼いたもの。
そもそもは「お帰りはさわやかに」と宿泊のお客さんの靴に入れている竹炭、それを拝借したわけですね。 |
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