文:三橋弘行 写真:坂上修造 取材日:2015年10月20・21日
[ モーターサイクリスト誌連載 第13湯 ]




長野県の北部、長野オリンピックで有名になったスキージャンプ台のある白馬村、そのさらに北にあるのが新潟県に隣接する小谷村だ。
山田旅館は国道から県道に入って西に進んだ、山の中腹にある。取材日は10月20・21日で、見事な紅葉が迎えてくれた。
小谷温泉の開湯は16世紀半ば。それ以来、湯治宿として、今では湯治も含め、登山客や観光拠点として営業している。しかし数軒あった小谷温泉も廃業・休業により、現在は山田旅館だけの一軒宿となっている。




山奥の宿の食材といえば、キノコ、山菜、川魚等とそれが通常と言えるが、ここは日本海に1時間程度と近いためか、海の幸もあり。宿の主人が育てた新鮮な野菜やキノコとの相性よし。
なお食事の時間は決まっており、全てのお客に一斉に出される。よって遅れると冷めてしまう料理がある。とはいえテンプラと焼き魚くらいしか記憶にないが。





小谷の美しい山々が見渡せる男性用の屋根付き展望風呂は素晴しい。その隣にある女性用(右上)は県道から見えてしまうためか、格子で隠されている。展望を優先すれば、見られる。男は意識しないが、女性用は難しい判断だったろう。
大正時代から100年以上変わらぬ男女別の内湯(右下)、これがすぐ裏手から湧出される新鮮な元湯で、その湯を見ただけで、カラダに良さそうだと感じる。また、他に人がいない場合の「打たせ湯」、これがなんとも気持ちいい。

[ 山田旅館の湯]
ナトリウム−炭酸水素塩温泉
ペーハー6.8〜6.9 中性 ほぼ無色透明
源泉温度:元湯44.5℃ 新湯48℃
加温加水なし 自然湧出 源泉掛け流し
浴室:内湯4(男女別) 展望風呂2(男女別)
総湧出量:172.5リットル/分 飲泉可
取材日:2015年10月20〜21日
※データは2014年の地震前後で変動あり



近代的な別館もあるが、ここでは歴史ある木造の客室がお薦め。廊下の足音や隣の部屋の話し声が多少聞こえるが、これも風情。なお建物は登録有形文化財、それを守る観点で全館禁煙(喫煙場所有)。

料金はひとり1万3060円〜1万7950円(2名1室諸税込)1名宿泊可。全50室。カード不可。
日帰り入浴(内湯)500円(10:00〜15:00)




山田旅館の21代目の主人。フロント正面にある江戸時代の茶の間で、宿の歴史や温泉話を伺う。その姿から厳格な温泉一筋の人柄とお見受けしたが、それだけでなく、もうひとつ特技が。
ここは豪雪地帯。祖父がこの地のスキーの草分け的存在だったため、主人は幼少時から始めたというスキー。山スキー(バックカントリー)、ゲレンデでは指導者でもある。

山スキーの主人。そうとうな腕前だ。


写真右側の江戸時代〜平成の建物が横に並ぶ小谷温泉 山田旅館の全景。湯に浸かる前に、すでにこの豊かな自然環境に癒やされる。

山田旅館 公式HP >>

さて、主人が薦める次の宿は・・・
 新潟県
松之山温泉 凌雲閣 りょううんかく


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