文:三橋弘行 写真:坂上修造 取材日:2015年10月22・23日
[ モーターサイクリスト誌連載 第14湯 ]




新潟県十日町は、言わずと知れた豪雪地域、2〜3mの雪はあたりまえのように積もる。宿の近くにはスキー場があり、ウインタースポーツ&温泉ファンには嬉しい立地だ。
凌雲閣は松之山温泉街から500mほど離れた静かな山里にある。昭和初期に建てられた堂々とした景観、そして内装は、多くの宮大工による贅沢な作り。それらを見るだけでも楽しい宿である。




十日町周辺は、米どころ、そして酒どころ。これは当然のことながら、凌雲閣の料理はそれに地元の食材が加わる。特に秋のキノコ料理は特筆もので、料理長はその分野の名のある腕前の持ち主なのだ。
今までに見たことも聞いたこともないキノコを食す。やはり新潟の酒に合い、ガンガンと進む。都会ではけっして味わえないひと時だ。





松之山温泉凌雲閣の湯は直接マグマの影響を受けてない「非火山性温泉」。その中でも高水圧の化石海水型で、推定1200万年前の地殻変動によって古代の海水が熱い地底に閉じ込められた湯。その成分は草津温泉、有馬温泉と並んで日本三大薬湯に数えられている成分のかなり濃い温泉である。

[ 凌雲閣の湯]
泉質:ナトリウム・カルシウム−塩化物泉

鏡の湯(自家源泉)
ペーハー7.4 弱アルカリ性 薄緑を帯びた透明
源泉温度78.2℃ 加水なし 季節により加温
湧出量15リットル/分 掘削自噴 循環ろ過式

貸切り家族風呂(鷹の湯3号源泉)
ペーハー7.7 弱アルカリ性 薄緑を帯びた透明
源泉温度97.5℃ 加水なし 加温なし
湧出量200リットル/分(凌雲閣には5リットル/分)
掘削自噴 源泉掛け流し
浴室:内湯2(男女別)貸切り風呂1
取材日:2015年10月22〜23日



登録有形文化財である本館宿泊がお薦め。特に空室であれば3階の部屋を。それぞれを各宮大工が手間を惜しまず競って細工した内装が見事。日常とはかけ離れた昭和初期の趣きで癒やされよう。

料金はひとり1万4140円〜2万520円(2名1室諸税込)1名宿泊可。全17室(本館14、新館3)。カード不可。
日帰り入浴500円(10:00〜15:00 ※不定休・要問合せ)




いままでここに登場する主人は全て男性だった。なぜ女将さんが・・・という事情説明は長くなるのでカット。そう、女将さんでもあり、この宿の主人でもある。
夕食時の取材では、予定時間を大きくオーバーして話を伺った。上品さを漂わせながら、気さくな人柄の主人だ。



母であり主人でもある女将に代わって、いずれは5代目となる若旦那が筆者に言った。
「ここに生まれ育ち、廊下を歩く音や隣室の話し声が多少聞こえるけど、同じ姿ではもう建てることができないこの古い木造3階建ては味わい深くて好きです」 ・・・と。

凌雲閣 公式HP >>

さて、主人が薦める次の宿は・・・

 
ここで、ちょっと休憩。


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