文:三橋弘行 写真:坂上修造 取材日:2015年4月8・9日
[ モーターサイクリスト誌連載 第7湯 ]




雄大な阿蘇外輪山を走り、方向を北に変え30分ほどで黒川温泉に着く。昭和半ばの風情が残る、いや故意的に残している温泉街だ。
山河はその温泉街から約1キロ離れた川沿いにポツンと建っている。広葉樹の林の中の、自然豊かな宿、なぜか吸っている空気が美味しく感じる。これがお客をもてなす宿の主人の始めの演出である。
落ち着きのある静かな宿、湯に浸かる前に、すでに癒やされるのだ。



食前酒から始まり、次々と出される懐石料理、その盛り付けはどれもが美しい。熊本名産の馬刺しはもちろん、写真の阿蘇あか牛ステーキの味もバツグンだ。
温泉宿の楽しみのひとつが食事。それが旨いかそうでないかで、満足感は異なる。ここ山河は、もしも温泉に入りそこねたとしても(そんな人はいないだろう)、食事だけでも評価は高いだろう。この宿の料理は素晴らしい。




3千坪の敷地内に自然とうまく調和した山河の露天風呂は、豪快かつ爽快。また、内湯や数々の貸切風呂も個性的で、それぞれ趣きあり。浴槽に、よくぞここまで手間を掛けたものだと感心する。

[ 旅館山河の湯]
源泉1号線
単純温泉 ペーハー4.0 酸性 湧出湯温30℃
ほぼ無色透明 かすかな硫化水素臭(いわゆる硫黄臭)
源泉2号線
ナトリウム−塩化物・炭酸水素塩泉・硫黄塩泉 
ペーハー約6 中性 湧出湯温73℃ ほぼ無色透明
総湧出量:200リットル/分 掘削ポンプ式 自家源泉
加水なし 加温減温は1号線2号線との熱交換 源泉掛け流し
浴室:内湯x2(男女別) 貸切風呂x3 露天風呂x2(男女別)



趣き・食事・湯の3拍子そろった風情豊かな宿である。黒川温泉のまかでも、この宿の人気はトップクラス。なので予約は早めに。

料金は一人¥16,350〜¥30,390(2名1室諸税込)とタイプ別にあり。客室:16
日帰り入浴:黒川温泉入湯手形(¥1,300で3軒入浴可)の利用、または¥500と¥800の2種類あり(8:30〜21:00)



宿の広い敷地を散歩していたら、植木屋さんが庭の手入れを、、、と思ったら宿の主人だった。ゴム長履いて泥だらけの手で樹木の苗を植えていた。自然を愛する主人の気持ちが伝わってくるのだ。・・・これだろうな、到着して敷地に入った瞬間に気持ちが和らいだ理由は。









主人(左)は努力を惜しまない、誠実で芯の強い人柄だ。この宿にはそんな姿が結果として表れている。さあ、癒やされたい気分になったら、どうぞこの宿に。。。


旅館 山河 公式HP >>



さて、
主人が薦める次の宿は・・・群馬県
法師温泉 長寿館


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