文:三橋弘行 写真:坂上修造 取材日:2017年10月18・19日
[ モーターサイクリスト誌連載 2018年 2月号]




高峰温泉へのルートは北側の嬬恋村、および南側の小諸市街地からがある。一般的には上信越自動車道のある南側からだ。
標高約600mの小諸市街地から、整備されたワインディングロードを一気に上ってゆくと気圧の変化で耳鳴りがする。やがて標高2000mの峠。眼下には小諸の街並み、その先には八ヶ岳連峰の景色が見渡せる。時には広大な雲海も現れる絶景もあり。

南側からのメインルート、チェリーパークライン。その頂上付近からの眺望は見事。 南側からのもう一つのルートは、県道94号経由で湯の丸高峰林道。4キロほど未舗装あり。



高峰温泉はチェリーパークラインの峠から約1キロ。未舗装ではあるが乗用車もバイクも問題なし。ただし10月後半からは雪が降ることも。取材時はそれに当たってしまう。





高峰温泉の野天風呂、いやまあ、これが誠の絶景湯船である。日帰り入浴では利用できないので、まちがいなく宿泊がお薦め。取材日はあいにくの雪だったが、これまた雪見風呂もよし。(なお、湯は気候によって透明感のある時もあり)
野天風呂だけに気をとられてはいけない。内湯がとても気持ちいいのだ。湯温によって乳白の水色の濃さが異なる湯、その泉質には身も心も癒やされる。ほんとに。

宿の母屋から約50mの野天風呂に向かう小道・・・風情あり

[ 高峰温泉の湯]
含硫黄-カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉 [硫化水素型]
源泉本数:1 動力揚湯 湧出量:約60 ℓ/分
源泉温度:35.8℃ pH 7.0 中性 溶存物質:1974mg/kg
野天風呂:加水なし・加温なし 源泉掛け流し
内湯:加水なし加温循環ろ過(ぬる湯は源泉かけ流し)
浴室:野天2 内湯4 (各男女別)
取材日:2017年10月18・19日




海のない長野県なのだから、当然ながら料理は肉も含めた地元の山の幸。それはそれとして、ここでは別注の『馬刺し』を紹介しよう。
筆者は馬刺し好きである。馬刺しは熊本県・長野県・福島県等の宿の別注品で、それがあると必ず注文していた。その中で、高峰温泉が出した馬刺しがいちばん美味だった。
写真は2人前。盛り付けもよし、まちがいなく旨いのである。





この標高の高い山の峰で、温泉そして宿を維持管理するのは並大抵のことではない。現在その宿の運営責任者が上記写真4代目主人だ。人柄は「誠実で真面目」という言葉が当てはまる。そう言ってしまうと、口数少なく、話づらいように思えてしまうがそうではない。
お客に対するサービス精神は旺盛だ。そもそもあの場所に野天風呂を作ること自体たいへんなのに実行してしまう。そしてこの宿のさまざまなイベントもしかり。宿泊時の夕食後だけでも「高峰温泉の歴史」「温泉療養講座」、そして玄関前で大型望遠鏡を並べた「星の観望会」など、温泉だけでなく、お客を楽しませようと主人と先代主人が自ら先頭に立っている。こんな宿は日本全国探しても、そうあるものではない。百聞は一見に如かず、訪れてみてはいかがか。

チェックアウト後にお客のスリッパの手入れをする先代主人が目に入った。ひとつひとつ丁寧に洗っているのだ。これもお客の目に触れない、おもてなし、であろう。




夕食後、休憩処のガラス窓から外を見ると、タヌキが。そして白い美しい毛並みのテンも現れる。この宿は彼らの遊び場か。コーヒーを飲みながらの癒しのひと時である。

なお、ランプの宿、とは謳っているが、それは先々代の頃で、今は電気が通っている。それでも所々にランプが灯っているのは、主人や先代主人の思い入れなのだろう。確かにランプの明かりは優しく、そして落ち着く。

料金は1人平日1万5270円~ (2名1室諸税込・1名宿泊は要相談 ※冬期は1室につき暖房費1080円別途)。全23室。
※立寄り入浴は内湯『ランプの湯』のみ可、500円(冬期は雪上車料金込み1500円)

高峰温泉 公式HP >>

次回、「にごり湯編」の11湯目は・・・

 長野県 
天狗温泉 浅間山荘




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