文:三橋弘行 写真:坂上修造 取材日:2016年7月1・2日
[ モーターサイクリスト誌連載 2016年 11月号]





東京からなら、東北自動車道を福島西インターで降り、県道70号泉を西に向かって30分も掛からぬ程度の山あいに高湯温泉がある。適当に走っていても、バイクならすぐそれと分かる。硫化水素臭、いわゆるイオウの匂いがすれば、もうすぐそばなのだ。
高湯温泉は県道のすぐ脇に源泉があり、誰でもその姿を見ることができる。温泉地では数少ない光景だ。ちなみに県道70号というのは、私の中ではまちがいなく5本の指に入るニッポンの名道「磐梯吾妻スカイライン」。この道を走るのが目的か、それとも高湯温泉か・・・まあどちらも甲乙つけがたい素晴らしいところである。




吾妻屋の夕食。高湯温泉は山の中だが、福島県は太平洋に面している。なので食材は海の幸もあり。とはいえやはり山の幸が中心ではあるが。
この宿のリーズナブル料金(下記掲載)にしては豪勢だなと感じた。もしかして取材だからか?と思い、中居さんにそっと聞いたら「そうじゃないって、いつもとおなじなんだからぁ・・・」とジョークまじりで語っていた。つづけて「ここの主人にも取材するようだけど、あまりお酒を飲ませないでくださいよぁ、余計なことまでしゃべっちゃいそうだから・・・」とも。おもいっきり明るい中居さん、おかげで楽しい食事ができた。




吾妻屋の湯の魅力は、なんといってもその美しい乳白色の温泉にある。時には水色っぽく、そして時には薄緑がかったり。そしてもうひとつ、いや、これが主役かもしれない魅力が、身体に対する効果。療養泉として素晴らしい成分を持っているのだ。
左写真は女性用露天風呂、右上は山小屋風の脱衣所、そして内湯。ほかにも家族風呂等があり合計8つ。客室が10室と少なく、なおかつ立寄り入浴がないので、湯船はいつでもゆったりとありがたい。

[ 吾妻屋の湯]
酸性−含硫黄−カルシウム・アルミニウム−硫酸塩温泉
ペーハー2.6〜2.8 酸性 源泉温度42.8〜49.1℃
源泉湧出量105・483・726L/分(各源泉から分湯)
加温なし 加水なし 自家源泉および共同源泉掛け流し
溶存物質 1,155mg/kg(風楽の露天) 自然湧出自噴
浴室:内湯2 貸切内湯1 露天4 家族風呂露天1 
取材日:2016年7月1・2日




高湯で生まれ育った吾妻屋5代目主人である。父親から受け継いだ32歳の時、大きい宿を望まず客室を20室から10室にしたという。当時、日本経済はイケイケ上昇機運。そんな時代に売り上げよりもお客重視という考え方は並みではない。「取材は苦手なんですよぉ」と言いながら、終始笑顔で語っていた。




主人は宿の裏山の斜面にある源泉に連れて行ってくれた。関係者以外立入禁止は、硫化水素ガスが発生している危険な場所だから。そこには江戸時代から変わらぬ安全温泉システムがあった。

料金はひとり1万950円〜1万6350円 (2名1室諸税込)。平日の1週間前より空室があれば1名宿泊可。全10室。※宿泊客がゆったりと温泉に浸かれるよう、立寄り入浴の設定はなし

吾妻屋 公式HP >>

次回、「にごり湯編」の6湯目は・・・

 大分県の 
青い色の湯 !





[ さらに・・・吾妻屋の目の前にある 「立寄り入浴施設」 をご案内 ]

高湯温泉 あったか湯

高湯温泉の立寄り共同浴場「あったか湯」 あったか湯への源泉通り道。

あったか湯は高湯温泉観光協会および高湯温泉旅館共同組合が管理する共同浴場だ。その事務局長に道路脇から誰でも見下ろせる、高湯10箇所の源泉の中で最も湯量が多い源泉に案内してもらった。もちろんここも関係者以外立ち入り禁止で硫化水素ガス、たっぷり。その中で、高湯の源泉のこと、温泉の優れた特徴のこと、そして立寄り入浴施設あったか湯≠フこと等々、詳しく説明してもらった。
磐梯吾妻スカイラインを走りに行く方、ちょっとひとっ風呂しませんか。これがまたいい湯なんだなあ。。。

定休日:木曜日(祝日の場合は翌日) 営業時間:9時〜21時(20時30分受付終了) 入浴料:250円





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