2012年 オープン前 店舗改装模様のご紹介



2012年 正月明け

明治中期から守られ受け継がれてきた商家を、ペアスロープの店となるべく改装工事進行中。まずは店の顔でもある「表玄関」部分。アルミサッシを撤去し、風情ある格子と重厚な引き戸へと交換が完了しました。
なお、内装設計は、ペアスロープ本店と同じ内装デザイナーです。東京は東京らしく、京都は京都らしく、といったところでしょうか。同じ人の設計でも、まったく違う店となるでしょう。



以前はどこかの家で使われていたのでしょう、当然合うはずがありません、、。なので、大工さん手づくりの木材部品で調整しながら取付けていく難しい作業です。引き戸の動き具合や閉まり具合など、何度も現物合わせをする事でやっと取付ける事ができるのです。
さすがは職人技、ピッタリと合わせていくその精度の高さに感服しました!



こうして完成した玄関まわり。一番右に見える出格子までを見ると、実にいい雰囲気になってきました。どう見てもバイク用品を販売する店には見えませんが、これでいいんです……?。


そしてここから内装工事へと進みますが、次回はお世話になっている職人さん達の仕事っぷりを、少しだけご紹介します。見ているだけで勉強になる事ばかり、、。







2012年1月中旬

改装工事が進む中、お世話になっている職人さん達の仕事ぶりをご紹介します。仕事が早く正確で、そして面白い方たちばかりです。すっごく難しい作業を、これっぽちも難しいと感じさせないところは、やはりプロ。



門口の引き戸でもお世話になっている大工さん。これは大工道具の一つ、「鉋(かんな)」の刃を研いでいるところです。使っては研ぎの繰り返しで、結構頻繁に研ぎの時間を設けられます。仕上げに係わる重要な作業で、納得いかなければまた「研ぐ」の繰り返し、そこに妥協は一切ないようです。



電気工事担当の職人さんたち。配線の綺麗さと無駄のなさにこだわるようです。
綺麗な配線を見て言う口癖は、「この配線誰がやったんや〜、めっちゃ綺麗やねぇ〜、、、あ、俺か!」

自信がないと絶対に言えないセリフです。


そしてこちらがクロス屋さんの親子職人。息子であり弟子でもあるその作業を見守りながら、確実に丁寧に仕事を進めます。この真剣な眼差しが、見ているこちらに安心感を与えてくれますね。


できる男の腰廻りは「格好が良い」。理屈抜きでマネしたくなるのは、私だけでしょうか。厳選された工具と無駄のない配置に、うっとりしてしまうのです。






2012年2月上旬

さて、本格的な内装工事に入ります。この先もいろんな難関が待っていそうな気がします。 っていうか待っているのです。

表玄関をくぐれば、土間ブースが広がる。什器や商品を陳列する前に、まずは下地作り。
普通土間と言えば土かコンクリートですが、ここは土の上に木の板が貼られており、少し変わった土間なのです。木材なので、水や汚れ対策としてオイルを2回塗布して染み込ませ、更にその上から2回ワックスがけをしてコーティング。これから使っていく先の事を考え、念には念を、の作業なのです。


腕を筋肉痛にしながら、塗布が完成した土間。手間を掛けたかいがあり、いい艶を出してくれます。この上を歩くと分かるのですが、木製ならではの独特の暖かさと柔らかさで、よくあるコンクリート製の土間とは比較にならない味があり、いい感じです(もちろん土足で大丈夫です)。



土間の横、一段上がって縫製ブース。ここは窓側にミシンが収まります。このミシン(業務用の大きなもの)、重さ約100キロ程もあり、しっかりした床でないと安定せず、このような歴史のある古い家の場合、最悪床が抜けてしまうこともあるのです。念には念を、ここだけは床板を張り替えます。これはプロにお任せ。

写真では見にくいが、縁の下にも支柱を入れ補強。一本一本確実に装着していきます。 奥がミシンが収まる場所。横にはしる木材の間隔を狭くして、更に補強。 最後に板をはり完成。不要な沈み込みなど全くなく、がっしりとしています。安心してミシンを載せる事ができます。






2012年2月中旬


「革ジャン」のハンガーブースは縫製ブースと共に靴を脱いで上がっていただく、スペシャルな空間。上がりにくいと感じるかも知れませんが、みなさん気兼ねなくお上がりいただきたいものです。


土間、縫製ブースから更に奥へと進むと、革ジャンをビッシリと置くことになるであろうハンガーブースがある。以前は押入れやクローゼットとして使われていたところを改装し、ハンガーバー(ハンガーを掛ける鉄製のパイプ)を設置し試着室(写真の大きなふすま部分が試着室です)ももちろん用意しました。
また、写真手前に見えている「長持ち(昔ながらの衣装ケースのようなもの)」も配置し、陳列台として使用するようにしました。


長持ち上面は丸く湾曲しており、また非常に古く表面も傷んでいるところが多くあるので、「長持ち」と上に置く「商品」、どちらも保護する意味で、大きく厚みのあるアクリル板を敷く。見た目にも非常に綺麗な陳列台となりました。


更にアクリル板の上面には自慢のレザーを敷き、長持ちの存在感とあいまって、とてもすばらしい陳列台になりました。ちなみにこの「長持ち」は江戸時代に製作されたもの。




そして、縫製ブース前には、事務機器やレジなどがならぶ予定の帳場スペースが。こちらにも味のある水屋箪笥(みずやだんす)を配置し、昔の帳場風(お勘定をするところ、今でいうところのレジ)に使用する予定。番頭さんが和服で座ってる様子がイメージできる、とても懐かしい昔ながらの雰囲気に仕上がってきました。

水屋箪笥に、資料や事務用品等を収めてみたところ。


こちらのガラス、微妙に波打ってるのがわかりますか? こういったところにもレトロ感があり、味わいがあります。精度が良ければいい、、ってもんでもないんです。


カウンターになる座卓と、いろんなアレンジができそうな木製トレー。どれも昔から愛用されてきた良い使用感があり、探してもそう簡単には見つけられない代物ばかりです。


今回ご紹介の長持ちや時代家具などは、全てこの商家オーナーさんのご厚意でお借りしているもの。どれも大事に使い込まれており、これまで歩まれてきた歴史を感じます。
そうなのです、モーター周りが危険なミシンだけでなく、年代物の家具が多い為、申し訳ないことに小学生以下のお子様は縫製・ウェアブースに上がることをご遠慮いただいております。





2012年2月下旬


店内に、ホッコリ癒される場所があるっていうのはいいものです。いろんなお店がありますが、バイク用品(など)を扱うお店で、和の風情で癒される場所があるというのは、たぶんここだけかもしれません。


ペアスロープ京都伏見には、癒される場所、「やすみ処」があります。店内は土間以外、靴を脱いで上がっていただくのですが、初めは気がひけたり、戸惑う方もいるかも知れません。そこで気兼ねなく安心してお上がりいただく為にも、このカフェスペースをご利用いただければと思います。



遠方からご来店いただいた方や、ツーリング途中に休憩に訪れた時など、少しの時間、ホッと一息くつろいでいただけます。


十名様まで入っていただけます。京間の八畳は広く、ゆったりとした空間からは中庭も楽しめます。


和室用につくられた椅子とテーブル。高さがどちらも少し低く、畳の温もりもあります。


ウェアーブースから望むカフェスペース。中庭までだと本当に広い。更にその向こうに蔵があります。






2012年1月


2011年の12月から始まった今回の改装計画も、翌年1月には大工さんをはじめとする職人さんの作業が完了し、その後は本格的に店舗とするべく、ひたすら掃除がつづく。最後は「蔵」で、ひとまず完了です。




2階建の蔵、その中にはいろんな物が詰まっておりましたが、その中で一番驚いたのがこちらのタライ。明治九年の文字が!



その他のタライやザルなども、明治十年とか十八年とか、とにかく文化遺産的なものがごろごろと転がっている、そんな蔵なのです。



そしてこちらは、棕櫚(しゅろ)という昔ながらの素材を使った手ボウキ。使い方次第で、何十年も持つと言われています。蔵の片隅に転がっていたものです。


1階の壁や天井部分。柱の一つ一つがすごく太くて、頑丈なつくり。


そして2階でも、まず目に飛び込んでくるのがこの太い梁(はり)。天井までの高さもそんなにないので、ものすごい迫力。


壁際には棚も付けられているので、いろいろな使い方ができそう。


明治期に建てられた、どっしりとした蔵。整理・清掃した時点では電気が通っておりませんでしたが、大家さんに許可を得てコンセントと照明器具を設置しました。
さて今後はどのように活用してゆくか、じっくりと時間をかけて考えようと思います。









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