単車オヤヂ氏はウェアメーカーではないけれど、ウェアの知識はすこぶる高い。またバイク屋さんでもないけれど、時には私のバイクの厄介な修理をしてしまうほどメカにも強い。どちらの職業でもないが同業者といえる人物である。そんなわけで、呑んでる席での話題は当然バイクとそのウェアの話に集中する。
お互いにずっと思っていたことがあった。
“高額なバイクに乗り、キレイなヘルメットを被り、新しいライディングウェアは着ているのに、なんで足もとはショボイのだろうか? バイク乗りはなぜブーツに気を使う人は少ないのだろうか?” と。
若い頃、先輩方に教えられた。就職試験の面接で「背広はそこそこでいいが、靴には気を使え!足もと見られるからなっ!」 そのとおりにしたら受かった。なにもかも靴が良ければ受かるということではないにしろ、ギリギリだったら、足もとがしっかりした若者を試験官はきっと選ぶだろう。
いい酔い加減になった時、単車オヤヂがボソッと語りかけた。
「現状のペアスロープのブーツは優秀だね。ほら、呑み屋にだって履いていける」 そう言って足を上げて見せたのは、弊社“グフ 7”。(それは歩きやすいけどツーリング主体ブーツである)
そしてなお、「だけどね、ウェアのほうはずいぶんレベルの高いもの作ってるんだからさあ、それに合わせたちがうジャンルのカッコいいブーツ、作ってみてよっ」
そうは思う。が、しかし、ウェアやバッグ類は弊社工房でなんとかなっても、ブーツは作れない。絵を描くだけで、専門の工場にお願いするしかない。しかも今やレベルの高いブーツを作れる工場は、日本に数少ないのである。
単車オヤジが私の足もとを指差して言う。
「それっ、そのメーカーに作ってもらったら、最高のブーツが作れるんじゃないかなっ!」 |
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自称“単車オヤヂ”・・・バイク関連だけでなく、なぜか広い範囲で豊富な知識を持っている謎めいた人物である。
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氏とは酒を呑んで遊んでいるだけではない。時にはサーキット勝負も。いい歳をしているが、なかなかあなどれない走りである。結果はもちろん・・・。 |
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