2012年3月15日 担当 屋島工房 尾原

人の手の形は、それぞれに個性があり、誰一人として同じサイズの人は存在しません。多少のサイズの異なりを補うのが革素材の特徴なんですが、それだけではカバーできない人も多いのも現実。グローブがしっくり来ない方、ぜひお読み下さい。

 もしお使いのグローブが、ファッション用途、防寒用なら、多少フィット感が悪くてもご使用には、問題無いでしょう。いざという時に脱げばいいのですから。
 でも、それがライディング用だったらどうでしょう。指は絶えずレバーやハンドルと接触し続けるため、小さなストレスでも、一日使うと大きな負担になることも。


 人間それぞれに個性がある、そんな手を、S・M・L・LLといった4つの既製サイズに当てはめるのですから、基本無理があります。四国手袋工房(=屋島工房)では、グローブをお買い求めの方のフィッティングを確認していますが、約2・3割程度の方に、既製サイズが合っていないと感じます。ただ、革グローブは使うごとに伸縮があり、1サイズ分程度の差(指の長さで2〜3ミリ)の不具合は使っていくうちに解消する・・・ということもあります。

 問題は、それでも良くならない残り1割弱の方。そんな方にオーダーメイドが必要なのです。

 ライディンググローブのほとんどが日本製だった頃(今から20年ほど前)、オーダーメイドグローブを作るのは、さほど難しい話ではありませんでした。生産行程の一部を変更して「ここを短くしよう・長くしよう」なんていうこともできていたのですが、海外で作るとなると、たった一双のために海外で製作し、輸入をするのは困難です。



 つまり、現在でも国内でグローブを作るメーカーじゃないと、オーダーを受けること自体困難になったのです。

 屋島工房では、「グローブが何となくしっくりこない」約1割のお客様のためにオーダーメイドを続けています。既製品を作るのと異なり、紙型の設計、革の手裁断など、手間は比較にならないほどかかります。

 でも、ほんの小さなサイズの変更だけで、フィット感が劇的に変わることも多いのが現実。全ての人に合うグローブを作りたい・・・ただそれだけの想いでオーダーメイドを続けています。既製のグローブにご不満のあるかた、ぜひご相談下さい。


サイズオーダーグローブの作り方

 まずベースとなるグローブを、既存のラインナップの中からお選び下さい。
 そしてこれまでお使いのグローブで生じている問題(指先が余っているとか、ここの部分が痛いとか)をスタッフに伝えて下さい。カウンセリングの中から、問題点を探っていきます。


最初は手の測定を行います。平の大きさや指の長さなどを測ります。左右の大きさが異なる人は、両方の手を調べます。
測定データを集計し、どんな所を修正すれば良くなるのか、製作するグローブの方向性を出します。
革切り出しの元となる、パターン紙を製作します。数ミリの線の出し入れでグローブのフィット感は大きく異なります。
切り出したパターン紙。これをもとに製作します。なお、一度作ったパターンは、屋島工房にすべて保存しております。
革にマーキングして、革を切り出します。また、切りだす革も、使う人に合わせて、柔らかい部位や硬い部位を選んで作ります。
パーツを組み合わせ、マジック等の付属品、脱落防止のゴムなどを入れて組み立てていきます。

 組み立てた後、アイロン等の仕上げをして完成です。
 なお、ガンカット(弊社の主要なグローブの形)の場合、初期段階で指先が縫い目に当たるのは好ましくありません。オーダーでも5mm程度の余りが残るよう製作しております。


オーダーと同時に、ネーム入れ等もできます(別途料金3,000円(税別)〜)。

 オーダーの基本料金は、ベースグローブの代金+8,000円(税別)〜。作業行程にもより代金は異なりますのでお問い合わせ下さい。親指や人差し指だけの微調整なら、+4,000円(税別)で承ります。

 指の長さを「長くする」「短くする」といったオーダーは、ペアスロープ東京本店でお受けしております(担当者がスケジュールを合わせますので、ご来店前にご予約を)。
 それ以外の「何となくフィットしない・・・」といったご相談を含めたオーダーや、手の形全体の修正などが必要なオーダーは、手袋専門の屋島工房でお受けしております。

 なお、今後、本店・京都伏見店への手袋工房出張サービス等も企画しておりますので、ぜひその機会もご利用下さい。日程が決まりましたら、告知はホームページにて行います。


 グローブのオーダーメイドは、非常にシビアで、使われる人の手の感覚によって、フィットするかそうでないかが決まります。指の長い短いだけじゃなくて、複合的な要素で、グローブがフィットしていない場合もしばしばです。せっかくお作りしたのに、満足いかない物をお渡しするわけにはいきませんので、完成後の微調整も行なっております。

 そして、一度グローブをお作りすると、手のデータ・パターン紙等残しておりますので、次回からはご来店いただけなくとも製作することが可能となります。

 日本のライディンググローブの中で、オーダー対応ができるメーカーは、弊社以外に少なくなりました。しかし、今後もお困りのユーザーがいらっしゃる限り、このサービスを続けていこうと考えております。


写真のような、指を事故で無くされた方のグローブを作ることも・・・。

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