2015年3月11日 担当 屋島工房 尾原

数年前からラインナップに加わった鹿革ベースの夏グローブ、鹿メッシュ。鹿革ならではの柔らかさで、”夏でも鹿”のファンが増えています。今夏さらに馬のアテ革を配した馬鹿(うましか)メッシュがラインナップに加わりました。



 革そのものが柔らかく、しかも繊維が緻密に重なりあって、擦過や引き裂きに強いという特徴を持つ鹿革。様々な種類の皮革の中でも、もっとも手袋に向いている革と言われています。

 さらに工房では、鹿革の持つ柔らかさとしなやかさを十分に味わえるよう、通常より厚く(通常1〜1.2mm、弊社1.4mm以上)仕上げることで、ある種独特の「ふんわり感」や「革に包まれる感」を出しています。

 その鹿革の一部分を、パンチング(穴開け)加工し、縫い上げたのが鹿メッシュ。

 鹿メッシュは、必要にして十分な強度を持つのですが、パンチング加工をすると、やや強度が落ちてしまいます。それを補うために、手の甲の部分や縫い合わせの部分を守れるよう、薄さと丈夫さを兼ね備えた馬革のアテ革を縫い付けました。

 馬革を縫い付けることで、さらに革に「守られている」安心感が増えたように思います。

 革のコストも、縫製の手間も格段に増えてしまいましたが、手につけてみるとその価値がわかってもらえることと思います。

 
 手の平の一部分にパンチング革を使っています。これにより、走行時のグローブ内への空気の流入量が大幅に増えます。
 転倒時の擦過だけじゃなく、通常使用のスロットル操作の摩耗からも糸切れを防ぐよう、効果的な場所に馬のパッドを配置しています。
 

 小指のアテ革は、転倒時の糸切れ防止に役立ちます。厚手の革をグローブにするためには、外縫いが欠かせませんが、外縫い唯一の弱点である糸切れを馬革で補っています。なお屈曲のじゃまにならないよう切り欠けも設けています。

 革の鞣しやグローブの製造もそうなのですが、パンチング加工も日本国内では、ごく限られた数件の工場でしかできない熟練が必要な技術です。数あるパンチングのパターンから、革の強度を保ちつつ、空気の流入量が多いものを選んでいます。

 パンチング革のグローブを使ったことが無い方には、ぜひオススメです。走り出した時の手の中の爽快さをぜひ味わってみて下さい。

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