2015年9月8日 担当 屋島工房 尾原

昨年にモデルチェンジをし、防寒性はもとより軽快な操作性を手に入れた、サンステート素材を使うPG-30WとPG-33W。そのグローブの中に入れる、軽くて暖かいインナーは、革で作る外側と同様に、とっても手間をかけて作っています。



 ウインターグローブの構造は、基本3層構造になっています。

 革で作られる「シェル」と呼ぶ外側のグローブ。「インナー」と呼ぶ内側の黒い生地で作られるグローブ。そしてその中間に入る透湿・防水機能のあるグローブ。3つのグローブを重ね合わせて初めてウインターグローブが出来上がります。

 最も上の写真は、インナーの主要パーツを並べています。手に触れる黒い部分は、肌触りが良く、しかも動き続ける指の摩耗から耐える丈夫さがあり、少々の汗や汚れじゃにおわない、抗菌防臭の機能のある生地を使っています。
 白い部分は、ウレタン。断熱材として機能します。使う場所によりウレタンの厚みを変えたりします。ウレタンが厚くなれば保温力も高くなります。PG-30Wと33Wは、さらに黒い生地とウレタンの間に、サンステート素材を挟み込んでいます。

 サンステートをインナーに使うと、とっても厚くなるので、縫う前に端へ「捨て縫い」をしています。インナーを縫いやすくする工夫ですが、結果的にインナーの強度を高めるのにも役立っています。

 3シーズンの革グローブと較べると、シェルの縫製+インナーの縫製+フィルムの溶着と、恐ろしく手間がかかっているウインターグローブ。バラす構造にはなっていないので、ユーザーが直接見ることは出来ない部分ですが、工房で一つ一つ気を抜くことなく作っているのです。

 
 右が一般的なウレタンスポンジインナーの素材。左がサンステートを組み合わせた素材。その厚さは一目瞭然です。皮膚から出る熱をアルミ蒸着フィルムで閉じ込め、暖かくなった空気を細かな化学綿の層で保持し、手を寒さから守るという仕組みになっています。  

 グローブで使うサンステート素材は、「捨て縫い」無しでは縫い合わせることが困難です。PG-30W・33Wのインナーは、写真のように捨て縫いと本縫いのWのステッチになっています。インナーの縫製の手間も2倍近くに・・・。

 インナーが出来上がってから、中間のグローブである透湿・防水機能のあるフィルムを重ねます。少しブカブカなのは、フィルムが引っ張られたり、吊ったりすることで、操作性が悪くなるのを防ぐねらいがあります。

 これまでいろんなウインターグローブを見てきましたが、PG-30W・33Wほどインナーに凝った物づくりをしているのも、珍しいかと思います(もちろん手間の多さゆえ、職人泣かせのグローブです)。

 昨年にモデルチェンジをして、その操作性が大幅に改善されました。まだお試しで無い方、その暖かさを店頭で感じてみてください。
 

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