しっかりとした厚手の皮革は、手を包み込み、アクシデントから手を守ります。ベースとなる革に十分な強度を持たせているために、補強のための革の重ねは最低限にすることができます。それゆえ革が本来備え持つ、横伸びを最大限に生かし、手の運動を妨げることのない、作り方になっています。手を握ると、手の拳の回りの周囲は肉が寄り長くなります。手は運動に合わせて各部とも微妙に太さが変わってきます。その距離の違いを革が吸収することができるのなら、理想に近いグローブと言えます。
デザイン的な要素は必要最低限にとどめています。グローブはあくまでも脇役で、ライダーやライディングウエアを引き立てる小道具であるべき・・・という思想で作っています。グローブにおけるデザインは、必要なものもある反面、虚飾に過ぎないことも多いものです。
シンプルな物は、縫製の手間が減るという考え方では、コストダウンかもしれません。しかしながらシンプルであるが故に、革や縫製にごまかしがきかなくなります。シンプルな物づくりの方が難しいものです。
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