高松市春日川河口と琴電

昨日も今日もニュースでは、”定額給付金”の話題でいっぱい。どこやらの大臣は、「私も12.000円頂きますよ、鴨鍋など美味しそう・・・」とも。まだ、ウチに給付金が入ったわけじゃないんですが、勢い余って出かけてきました。そう・・・「鴨」を食べにですよ。

 香川県って、水が少ない土地なんですが、それを補うために、あちこちにため池が作られています。

 冬になると、ため池や、河口の水辺には、多くの水鳥が訪れていて、鴨も例外なく、県内どこの池や川でも見ることができます。

 そういえば、高松の藩主が作った栗林公園には、殿様が鴨を狩猟をする「鴨場」が残っていて、細々ながらですが”鴨料理”は、古く江戸時代から続く、隠れた郷土の名産品として、息づいていたということになります。

栗林公園の鴨場とその施設・・・鴨をおびき寄せるための覗き窓

覗き窓から餌をやって、飼い慣らしたアヒルをおびき寄せ、それにつられた鴨がやってくるのを待ちます。

堀の両側に隠れていた人が、網を持って立ち上がり、驚いた鴨が飛び立つ所を大きな網でしとめます。(アヒルは飛べないのでした)
<図画出典:栗林公園の案内看板>


 この猟は、飼い慣らしたアヒルを利用するのですが、今現在、鴨場が残るのは、ここ栗林公園の他に、千葉や埼玉などにある宮内庁管轄の鴨場が残るのみ。そういえばテレビで皇族の方々が、外国の賓客を招いて鴨猟をしているのを見たことがあります。
 それは、食べるための「猟」というよりは、自然とたわむれる「遊び」のたぐいだったのかもしれません。

 さて、今回の目的は、冒頭の大臣が食べたいとおっしゃる「鴨鍋」。おじゃまするのは、栗林公園からほど近い繁華街の中にある「銀波亭」という鴨専門の料理屋です。

 ここで使う鴨の肉は、さすがに県内産だけとはいかないらしく、日本各地から鴨を集めてくるそうです。

 一般的な話ですが、散弾で打ち落とした物は、血が回って味が落ちるそうですが、鴨料理には生け捕りにしたものが良いらしい・・・のです(殿様の遊びにも一理有りといったところです)。



 予約していた時間に、その料理屋へお伺いすると、座敷に通され、そこではすでに鴨鍋の準備が出来上がっていたのでした。

鴨の胸肉と、もも肉などをミンチにしたつみれ。写真は2人前ですが、ウチの子ども用に、つみれを増量しております。

ざっくりと切った季節の野菜や豆腐やこんにゃくと一緒に煮込んでいきます。

取材なら、野菜や肉を見栄え良く並べて撮るのですが、
この日ばかりは、そんな事を忘れて、いつの間にやらこの状態。
でも、おいしそうなのは伝わるでしょう・・・。


 鍋の出汁は、砂糖と醤油を使った、比較的濃い目の甘辛い味。そこに鴨独特のコクのある油が絡み合って、野菜や肉の味をさらに引き出しているのです。

 胸肉は軽くしゃぶしゃぶし、つみれはじっくり煮込んでいただきます。

 「鴨ネギ」という言葉があるように、鴨はネギと一緒に煮込んで、独特の臭いを取る必要があるのかと思っていたのですが、そんな心配はまるで不必要。肉自体はあっさりとしていて、全く嫌みの無い味に仕上がっていたのでした。

 しかも、野菜にはその鴨の脂が溶けだした出汁がからんで、おいしく煮込まれているのでした。


 特に感動だったのが、このつみれ。甘みのある肉汁がジュワーと噛む毎に溶けだしてくるのです。当然我が家の子どもたちと、奪い合いになったのでした。

ご当地で、鍋の締めというともちろん「讃岐うどん」。鴨肉の油が残る出汁にうどんを投入。
しかも麺は、あの超有名な「山越」の物。もちろん溶き卵にうどんを入れて、「釜卵」の完成なのでした。

 鍋だけじゃなくて、締めのうどんまで完璧。暖かい物を食べると、「ほっこり」するのですが、おいしさのあまり心まで暖まったのでした。

 鍋とうどんの他に、前菜、デザート、そしておまけの「キジ肉」も付いて、一人前¥3700也。決して安い食べ物じゃないのですが、値段以上に価値のある料理だと思います。

 かの大臣じゃないですが、たまには贅沢もよろしいのではないでしょうか?
※鍋は2人前〜 予約が必要です

ウチの近くの河口で優雅に佇む鴨たち・・・。
おいしそうに見えてくるのは僕だけでしょうか?
(今回も残念ながらツーリングではありませんでした。悪しからず・・・。)




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