亀岡酒造

僕の住む高松と南予地方(南伊予・・・愛媛県の南部のこと)とは、同じ四国でも場所的には一番遠い所。だから言葉や文化も全く違ったりするのです。もちろん「食」も同じこと。普段なかなか行かない場所だけに、知られざる美味い物があったりするのです。


 最近は、四国の高速道路も次々と整備されておりまして、今では高松から宇和島のちょっと手前まで行くことができます。

 もっとも、一昔前(約10数年前)までは、感覚的には一泊しないと行けない所。それぐらいの時間距離的な遠さがあったのです。同じ四国内なのに。

 先日TVで、南予の名物を取り上げた特集を見ていると、何と美味そうな物ばかり・・・。それも僕の知らない・食べたことの無い物がいっぱいあったのです。

 今回のテーマは「南予の美味い物」で行こうと思います。


 ツーリングの当日、高松を午前8時に出発。この時間の平日の高速は、社名ロゴの入った、白いバンばかり。若い営業マンが四国内の小都市を目指して、結構イイスピードで飛ばしています。ちょっと油断するとバンディットでも置いて行かれるようなスピードで・・・。もちろん取締も頻繁にしていますので、注意しましょうね。


 高松から、約2時間程度で松山へ。松山から終点の西予宇和までは、現在無料化の社会実験中。どの車も高速道路がタダ! なんです。
 そのせいか、交通量も結構ありまして、前述の営業車ばかりでなく、「普通なら下道通るでしょう・・・」といった風情のトラックやダンプまで、走っていたりするのです。

 当日は、冬型気候が強まっていたため、高速道路ではミゾレのような雨まじり。当然ですが四国でバイクを見かける気候じゃないですわなぁ・・・。

 何とかお昼までに宇和島に到着しました。



 宇和島で食べたかったのは、鯛めし。愛媛の名物として有名なんですが、同じ鯛めしでも松山で出される物と、ここ宇和島の物とは全く別物。

 宇和海でとれる、コリコリっとした鯛の刺身を、タレと卵、ノリや海藻などを混ぜあわせて、ご飯にかけて食べるのです。言わば贅沢な「卵かけごはん」。

 アツアツのご飯と、鯛の刺身と卵が絶妙なバランス。こりゃ絶品ですわなぁ。鯛だって、本物の味。海の幸が豊富な当地ならでは・・・です。



 同じ所で、もう一品頼みました。それは「フカの湯ざらし」。宇和海で捕れる小振りのサメを切り身にして、冷水にさらした物。

 身は、サッパリとした白身。皮にゼラチン質の歯ごたえのある部分があって、固いコンニャクのような食べ応えがあります。

 酢味噌を付けて食べるのですが、サメ!って驚くほどのクセは無し。「独特の食感のある白身魚やなぁ」というのが印象でした。

ほづみ亭(宇和島駅近く) 鯛めし¥950 フカの湯ざらし¥750


 
 もうひとつ、この地で食べておかないといけないのがジャコ天。新鮮なハランボ(学名ホタルジャコ)と呼ばれる小魚を、手作業で頭や内蔵を取り出し、ミンチにして整形したもの。

 これ、ちょっとオーブンで温めると、酒のツマミに最高なんですよね。定番のお土産だったりします。

 一枚¥140ナリ。伊達家で有名な宇和島城近くの野中かまぼこ店で買いました。




 さて実は、今回の旅のメインは、鯛めしでもフカでもなく、「太刀魚巻き」。竹の棒に太刀魚をグルグル巻きにして、焼いた物。その姿、なかなかインパクトがある食べものなんです。

 「これ食べたい!」と直感的に思ったのが、今回宇和島に来たホントの理由。

 場所は、宇和島から北へ少々。吉田という町に太刀魚巻きの元祖と呼ばれる河合太刀魚巻店があります。

 いつもは、店の前で太刀魚巻きを焼いているそうですが、「が〜ん!」。「今日は仕込みの日」という看板が出ているではないですか・・・(せっかく来たのにショック)。

 気を取りなおして、戸を開けると、本当にお店の人がホントに仕込み中。

 「あの〜、どうしても食べたいのですが・・・」
 お店の人「今日は海がシケとるから、無いでぇ」
 「そんなら、いつなら食べられるん? あとで送ってもらえるなら・・・」
 お店の人「とれたら送りましょうか? でも、いつになるか判らんでぇ(笑顔で)」

 そんなやりとりをした後、出来上がり次第、家まで送ってもらうことにしました。1週間程度日持ちするので、通販でも大丈夫だそうです。1本400円になります。

 
南予は、カンキツ類も有名。西予と宇和島の間の峠では、直売所が何店もあります。おばあちゃんのいる店で「せとか」という種類を買いました。バイクなので、「量半分でエエわ」というワガママな相談にものってくれます。



 それから、さらに北上して、八幡浜の町へ。この地でゲットしたいのが、「削りかまぼこ」。
 八幡浜は、好漁場を背景とした練り物などの名産地。エソと呼ばれる魚をすりつぶしてカマボコにして、それを日陰で自然乾燥。
 それをかつおぶしのように薄く削ってできたのがコレ。

 ごはんにかけて食べたら「おいし〜い!」。お土産で持って帰ると、子どもたちは早速トリコに。酒のツマミにもイケルのでは。

八幡浜のカマボコ屋さんで購入。一袋¥400。赤と白が有り。



 さて最後は、この一日二輪旅恒例の、酒蔵巡り。八幡浜からさらに松山方面へ戻り、レトロな町並みが残る内子へ。

 内子中学校のすぐ近くに「千代の亀」ブランドの亀岡酒造があります。

 ここは、手間暇かけた純米大吟醸が有名なんですが、なかでもオススメなのが、「秘蔵しずく酒」。地元農家が作る無農薬米を精白し、7年以上寝かした日本酒です。


 さらに特徴的なのが、冷凍保存であること。半分ほど解凍して、ビンをシェイクし、シャーベット状にして飲むのが最適らしいのです。味は辛口。微かですが発泡性もあるとの事。もちろんこの蔵元で販売しています。

もっとも高価なので、今のところまだインプレできていない・・・のです。シャーベット状であるのは、わずかな時間なので、大勢で一気に飲んでみたい! そんな時に開けたいと思っています。720ml 
¥5250ナリ。




 内子の酒蔵を最後に、高速で家路へ向かいました。
 
 今回紹介したのは、高松では食べられない物ばかり。最近では、「お取り寄せ」もブームでしょうが、ワザワザ行って買出しするのも楽しいですね。お店の人と愉しくお話しながら・・・。

 意外とオススメなのが、ジャコ天やカマボコといった練り物。
 そりゃウチの近くのスーパーで売っている物とは味が違う・・・。こちらの店によっても微妙に異なるのではないでしょうか? 
 素朴な味なんですが、「元々こんな味だったんだ!」という感動。
 いろんなお店を訪問して、味わってみてください。

 今回買ったものは、全て「アタリ」ばかりでした。南予へ行く方。ぜひオススメします。(酒飲みの方は尚更ぜひ・・・)




ツーリングの翌々日。河合太刀魚巻店から、頼んでいた物が到着。意外と早かったのでビックリ。味・・・うなぎの蒲焼きに近いのですが、噛んでみると太刀魚だった。タレもまろやかで、太刀魚にピッタリ。マジオススメです。食べるなら夏がいいですねぇ。ビールにピッタシ。


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