徳島県阿南市

とかく気温が下がると、出不精になりがちな秋・冬時期。でも、そんな時期こそ美味しいものに出会うチャンスです。とくに海の幸って、とれたてって格別。バイクに乗り、産地まで出かけて、新鮮なまま食す。これこそバイクの機動力が活かせる場面なんですね。今回は、食べる事に目的をおいた秋の徳島ツーリング、冬の岡山ツーリングの模様をレポートします。


2013年 秋のツーリング 目的地 四国最東端 蒲生田岬 (2013.11.23)


 秋のツーリングの日程は、屋島工房の都合上、ツーリングライダーの多い9〜10月を外して、どうしても晩秋の、11月末になってしまいます。

 今回の目的地は、四国最東端の蒲生田岬(かもだみさき)。
 四国最西端の佐多岬、最南端の足摺岬、そして室戸岬は有名なんですが、最東端は知らない方も多いのではないかと思います(ちなみに北端は、高松市庵治町の竹居観音岬)。

 行政区域的には、徳島県阿南市に属する岬なのですが、R55からは、山越えをした所、いわゆる「陸の孤島」と、言える所にあります。

 ちょうど紀伊水道の瀬戸内海と太平洋の境目ともいえる岬。関西の食を担う大切な漁場とも知られています。
 たぶん・・・美味しいものに出会えるチャンスは多いかと。


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 さて旅は、高松から東へ、高松道を徳島方面に向かいます。高松道を鳴門ICで降り、徳島市内を南下します。国道11号は、徳島市街地でよく渋滞するので、途中脇道に入りながら阿南市方面へ。

 今回のツーリング参加者は僕を入れて6名と、気候の良い時期のツーリングに較べると、少なめですが、参加者はいずれもツーリングの酸いも甘いも知り尽くしたベテランぞろい。言わば少数精鋭のバイク集団なのですね。

 目指す目的地は、阿南市伊座利。

 太平洋を目の前にした小さな集落で、地元の主婦が小さな食堂をやっているのを聞いて、どうしても行ってみたくなりました。秋には目の前の海で捕れる伊勢海老を筆頭に、旬の魚で来た人をもてなしてくれる・・・との事。こりゃ、行くっきゃないですね。

当日の天候は、快晴。出発時は少し寒かったのですが、日差しによりどんどん温度が上がっていきました。

 重ね着をしていたのですが、インナーを次々に脱いでいくことに。
 
 徳島県の阿南市までは、快適な2〜3車線の国道が続きます。阿南市を越えると、交通量も少なくなり対面1車線の国道になります。このあたりから、海側にはリアス式海岸が連なり、山と谷がギザギザに海に突き出す地形になっていきます。

 国道を東に曲がり、海沿いの伊座利集落を目指すのですが、途中から狭いワインディングになっていきます。

 今回目的のそのお店、11時開店なので、いくら人気だと言っても、11時台なら余裕で食べ物にありつけるだろう・・・という算段だったのです。しかも、道中すれ違う車もほとんどいない、ちょっと寂しい感じの場所ですし。


太平洋を目指して、山越えをするのですが、道はどんどん狭くなっていきます。
すれ違う人や車のいない静かな所です。


 ところがですよ、港についてみると、バイクが十数台止まっていて、食堂の前は小さなお祭り騒ぎ。まだ12時前という時刻なのに・・・。

 店の人に聞くと、「順番にご案内します。名前書いておいて下さいね。」と言われたので、名前を書く紙を見てみると、10組目ぐらいの二十人ぐらい後のご様子。店の様子を観察すると、チェーンの牛丼屋さんのような客回転ではもちろん無いので、どう考えても1〜2時間待ちという状態。

 太陽の出ているのが短い、晩秋の貴重な時間なので、一同思案の後、別の食堂を探すことになりました。
 せっかく旬の魚を求める「第一目的地」だったはずだったのですが、残念ながらここ伊座利では、何も口にせず後にすることになりました。


2〜3組のバイクの集団が、すでに客待ちをしていました。
バイク乗り・・・みんな考えることは同じですね。

 空きっ腹のまま、一行は次の目的地、蒲生田岬へ。

 岬の近くには、かもだ岬温泉センターというのがあって、そこも地元の人が、海や山で採れる幸を使って食堂を開いているとの情報があり、今日の昼食はそちらへスイッチすることにしました。

 やはりツーリングの旅って、第二希望・第三希望を用意しておく必要がありますね。


一同お腹が空いているのでペースも上がりました。
岬まで長閑な集落と、小さな山越えが続きます。


岬へは、このような海と山が切り立ったところも。
その昔、陸の孤島と言われる訳もなんとなくわかった気がしました。

 蒲生田岬には、昼の1時前に到着。先ほどの事例もありますので、僕が食堂の混雑具合を確認すると、こちらはテーブルが空いている模様。

 一同「ホッ」として、バイクを降りたのでした。

 食堂のおすすめは、シラス丼と、このハモ天丼。ハモは淡路島が有名ですが、こちら徳島産も有名です。
 淡白な白身がふんわりと揚がっていて、一同無言でガツガツと食べました。

 ハモって、高松でもスーパーで売っていて、何となく水っぽくて味が薄いのですが、こちらのハモ、さすが地元産だけあって、淡白な中にもほんわりと風味があり、とても美味しいのでした。

 お腹いっぱいになった後は、腹ごなしとして、近くの蒲生田岬を散策することに。
 岬の灯台は小さな山の上に立っていて、頂上までの階段を一気に駆け上がると、みんな息切れで「ゼェゼェ」という状態に。

 小山に登るとさすがに見晴らし良く、紀伊水道が一望できます。目の前の小島が伊島。それだけじゃなく、和歌山の街も見えていました。

四国最東端って、穴場中の穴場。
今回のツーリング仲間でもここに来たことがあるのは、
釣りに来たことがあるMさんだけ。

でもね、このロケーションといい、道中の道(ちょっと狭いけど)といい、
もっとツーリングライダーにも知られてもいい所だと思います。


蒲生田岬から、再度伊座利方面に戻って
海沿いを由岐方面に。ごらんのような狭路ですが、
交通量がほとんど無いので、快適なペースで走れます。


 海岸を由岐まで行ってUターン。部分開通の高速道路「日和佐道路」に乗って、R55を北上しました。
 まだ十分お腹も空いていないのですが、せっかくの徳島なんでご当地ラーメンを食べて帰ることに。小松島市のラーメン店に立ち寄ることになりました。

 小松島市内にある、岡本さんへお邪魔しました。人気店らしいのですが、午後4時台という中途半端な時間帯なので、待ち時間無しでラーメンにありつけました。

 ここは、白い出汁ですね。チャーシューたっぷりのやつを頼みました。トッピングは、玉子。
 玉子のお陰で、味がまろやかになるんですね。
 こんなの毎日食べてたら、健康診断が怖いですけど・・・。

 自称、徳島ラーメン通のK君も、「フンフン」とうなずきながらもご満悦の模様。
 何となく奥行き? のある味わい・・・と流石ラーメン通のコメント。
 何はともあれ美味しゅうございました。




 帰りは、おきまりの徳島市内の渋滞につかまったのですが、すり抜けで前に出る気力も無く、ゆっくりと帰路につきました。

 走行距離の短いツーリングでしたが、美味しいものを食べられて一同ご満悦。寒さのせいで程よい疲れこそありましたが、楽しい一日を過ごすことができました。




2014年 冬のツーリング 目的地 岡山B級グルメ巡り (2014.2.11)

 冬のツーリングも、寒いので走行距離が短いぐらいでちょうどいい・・・というのは、これまでのツーリングで経験済み。欲張って遠い所行くと、ろくでもないですからね。

 それと、温暖な中国・四国でもこの時期立ち入れないのが、山間部であったり、雪が降る所であったり。典型的な冬型ならば、平地である限りツーリングには問題無いのですが、松山の西の方は、季節風が吹くと雪が降ることも多いものです。
 岡山方面も、強い風が吹くと瀬戸大橋が止まるのですが、こちらはフェリーという代替手段があるので、帰れなくなることは無し。ツーリングの目的地として選択肢に入りますね。

 今回の目的は、岡山のB級グルメ巡り。
 最近でもB級グルメのブームが続いていて、岡山各地でもいろんな食べ物があるのですが、中でも外せないのが以前このサイトでご紹介した日生(ひなせ)のかきおこ。それだけじゃちょっと寂しいので、もう一つ岡山県西部の笠岡という町のラーメンをチョイスしてみました。

 中でも笠岡では、シャコ(海老の仲間のような)が入っているラーメンがあるという情報を聞きつけて、その店に行くことに。

 

より大きな地図で かきおこツーリング を表示
 朝は、高松のフェリー乗り場で待ち合わせをして、岡山県の宇野港に。
 昔有料道路だったブルーラインを使って日生に行き、そして赤穂に移動。

 赤穂から岡山を西に笠岡まで高速で移動し、笠岡からは、海岸線を通って瀬戸中央道まで戻るというコースです。
 一筆書きでTの字状になりました。

 

 当日の天気は良かったのですが、シベリアからの寒気に日本列島が包まれ、朝の気温は0℃前後。道端の水たまりも少し凍っている感じです。前日も雪〜雨だったのですが、夜のうちに路面が乾いていたので、問題なく走れたのですが、濡れたままだったら、ちょっと走るのに厳しいかな、という状態。

 正直言って目覚めた瞬間は、「同行の方にキャンセルの電話入れようかな・・・」って思いたくなるぐらいの厳しい寒さでした。


あまりの寒さに、朝一時間でもフェリーに乗ってゆっくりと移動できるのは、
ありがたい瞬間なのでした。



いつもは10台前後なんですが、あまりにも条件が悪く、参加者は僕を入れて3名。
一人、途中から車で付いて来た方もいらっしゃいました。

 極寒の中、二号線バイパス、岡山ブルーラインを通って、日生方面へ向かいました。途中瀬戸内に流れ込んだ雪雲によって、チラホラと雪が舞う始末。気温も太陽が出ないので上がらず、体感的には氷点下ぐらいかと。あまりにも寒さ厳しいので、くじけて引き返したくなったのは言うまでもありません。


ブルーラインの片上大橋は、凍結防止剤がまかれていてザラザラの路面。
後ろの山は、うっすらと白い雪化粧。

そうこうしているうちに、なんとか日生にたどり着き、駅前でかきおこ店を検索。
何件もかきおこ店はあるのですが、11時台にもかかわらず、行列のできている店もありました。
事前にチェックを入れていた店は、いずれも十数人待ち、という状態。

今回は、この先の道中も長いので、予定を変えて空いているお店をチョイスしました。


 地元産のかきをふんだんに乗せたお好み焼きです。プリプリで身が大きく、しかも味が濃いのが特徴です。

 お好み焼きとの相性も、決して悪くないと思います。コテを持ったら、全員無口に。食べ終わるまでバクバク食べ続けます。

人気店≒美味しい所なんでしょうけど、地元で捕れるカキの味が格別なので、
空いている店でも、十分に美味しいかと。一同満足したのでありました。

お腹がいっぱいになったところで、日生を後に。
東のとなり町である赤穂市を散策いたしました。

 赤穂の中心には赤穂城があり、由緒ある町並みが周辺を囲んでいます。
 赤穂城の城内には、大石神社があり、忠臣蔵で有名な大石内蔵助や義士を祀っています。

 大石神社で、忠臣蔵の勉強をした後は、お約束の義士の衣装コスプレ。気分は高まり、吉良邸への討ち入り前ですか・・・(なんてね)

 赤穂と言えば、「赤穂の塩」も有名です。瀬戸内海の他の地方と同じく塩田があったのでしょうね。たぶん塩田であったと思われる埋立地には、大きな公園と塩のことを学べる海洋科学館があります。そこへちょっと、立ち寄ることにしました。


 展示は、塩のことから、瀬戸内のことまで広範囲に網羅しています。ですが、展示自体は、僕らが子どもの頃に企画したものかな?
 ちょっと懐かしい感じの科学館です。

 科学館に入館すると無料で塩作りの体験ができます。
 「かんすい」という塩田で海水の塩分濃度を高めたものを煮詰めていきます。

 最終的に、真っ白い塩に変わります。工業的に作られた塩と違って、辛いだけじゃなくてまろやかです。
 たぶんおにぎりにしたら美味しいのでしょう。出来た塩は、少量ですが、おみやげになりました。

というわけで、バクバク食べるだけじゃなく少し塩の勉強も・・・。

 塩作りの体験が終わって、午後二時過ぎ。当初、予定が遅れるようだと、この辺りで解散・・・ということも考えていたのですが、もうちょっと走りたいなぁ・・・とも思い、予定通り山陽道を西に移動することにしました。


山陽道の日陰部分には、数日前の雪が残り、風もきつくて、苦行のようでした。

 午後四時頃に笠岡に到着しました。IC近くの食堂を目指します。その名もずばり「しゃこ丼の店」。

 すぐ近くに干潟が見える、国道2号船から少し入った所に「しゃこ丼の店」があります。
 名物は、シャコを乗せた丼ぶりなんですが、われわれの目的は、シャコラーメン。

 笠岡ラーメンもいろんな味があるらしいのですが、基本鶏肉を入れた中華そばが起源のようです。
 そんな素朴な味のラーメンにシャコのフライを乗せたのがシャコラーメン。

味・・・もちろん美味しかったですよ。
シャコのフライは、クセがなくサクサクとした歯ごたえだし。
コクのある甘みも感じられるほど。
ラーメンは、あっさり系の味付けで、フライに合うのかも。

でもね、「別々に食べたかった・・・」とつぶやいた、同行のア・ナ・タ・・・
店の方に失礼ですよ(^^)。

 ラーメンを食べて、ほっこりと温まった一行は、笠岡から海岸線に進路をとって、海沿いを水島方面に向かいました。そういえば今日はタイヤの横の方を使って無かったなぁ・・・、と適度なスピードで快走。
 ちょうど太陽が沈む頃合いだったので景色も美しかったのです。


夕日に照らされながら、交通量の少ない海岸線を走りました。

 さて、瀬戸中央道に乗る頃になると、日もくれて辺りは真っ暗。

 それとともに、気温も下がり、体感的には朝出てくるころと同じ0℃前後。瀬戸大橋の風もつよく、拷問を受けているような厳しい高速移動になりました。何はともあれ全員無事帰着。良かった良かった。

 まあ、こんな気候でも、毎年ツーリングやっています。おかげ様で、ジャケットやパンツは、適切に重ね着をすれば、寒くて凍えるようなことは、無いですね。

 もちろん、この時期のツーリングは、グローブの開発という命題が根底にありまして、来年のウインターグローブの開発を進めています。ちょうど、今回のような気候(つまり道路が凍結寸前の気温帯)のツーリングでも、ある程度快適な状態を保つことができるよう、ウインターグローブを改良しています。



 さて、屋島工房ツーリングは、年四回のペースで今後も続けていきます。
 一日一緒に行動していると、最初は知らない者どうし何となくよそよそしいのですが、そのうち連帯感が芽生えて、打ち解けるようになってきます。年齢も仕事もバラバラな集団なんですが、一つの趣味でまとまれる・・・というのはとても楽しいものです。

 「ぜひ参加したい・・・」って声、最近よく伺います。ぜひぜひご一緒に走りませんか。新しいメンバーを歓迎しています。詳しくは屋島工房のHPをチェックして下さい。

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