しまなみ海道・来島大橋

2014年秋と2015年冬のツーリングは、題して「大人の社会見学ツーリング」。そう、子ども時代の遠足をツーリングでやってみる・・・という企画ですね。大人になって、歴史や産業のことを勉強したり、工場見学をするなんて、意外と新鮮かもしれません。今回の目的地は、高知県東部の馬路村と、愛媛県のしまなみ海道に。楽しい小さな旅になりました。


2014年 秋のツーリング 目的地 高知県馬路村 (2014.11.24)



 「ごっくん馬路村」という清涼飲料をご存知でしょうか? ゆず風味のドリンクで、ウチの子どもたちにも、そして意外と後味がすっきりしているので、大人にも人気がある飲み物です。

 これを作っているのが、高知県東部の馬路村。沿岸部の国道から山に向かって約20km、高知市街から1時間以上車で走らないと着けない、山奥の村なんです。

 でもね、高知の典型的な過疎の村ですけど、前述の「ごっくん」だけじゃなくて、いろんな村おこしをしていてとても元気が良い・・・!

 それで、僕的にとても興味がわきまして今回のツーリング先に選んだ次第なんです。



 さて旅は、高松から南に向かうところから始まります。今回は総勢8台。いつものツーリングより距離が短いので、行きは高速を使わないで高知へ向かいます。

 ところどころの道の駅で仲間と合流して、一団は少しづつ大きくなります。高松と高知を結ぶ国道32号は、高速ができるまでは四国の南北をつなぐ大動脈。でも今は、交通量も少なくて走りやすい道ですね。時々、大型トラックに行手を阻まれると抜けないのでイラッとしますが・・・。


 当日は、快晴で絶好のツーリング日和。

 まもなく12月・・・ということもあって、紅葉もそろそろ終わりの季節。当日は、冬支度こそ必要でしたが、日が照ってくるとポカポカして気持ちいいですね。

国道32号、大歩危渓谷付近にある休憩所「WESTWEST」にて一休み。休日になるとツーリングライダーが集まる四国の人気スポットです。
 
 高知県の南国市街まで国道32号を使い、それから海沿いに移り、高知と徳島を結ぶ国道55号で東に向かいます。国道55号は、右手に太平洋を見ながら走る対面の国道。交通量も意外と少なく、これまた走りやすい道路です。ところどころに計画中の高速道路が部分開通しておりました。

 高知と室戸岬のちょうど中間ぐらいのところに、安田という町がありまして、馬路へは、そこから山へ向かって進みます。道は安田川に沿ってクネクネと曲がっていきます。フラットなワインディングですが、20kmもありますので、結構走りがいがありますね。


いつも高知に来ると思うのですが、
右に見える太平洋が、なんとなく気分まで爽快にさせてくれます。



安田川は、アメゴやアユが捕れる清流です。
道は細いながらも、交通量も少ないので快走できます。


小一時間ほど走ると、馬路村の小さな市街に到着しました。
目的地は、馬路温泉という宿泊施設。
レストランも併設していて、村の名物を食べることができます。
到着したのは、お昼前。お腹が空いて丁度いい時間になりました。

 Mさんが食べたのが、この田舎寿司。柚子酢を使った酢飯に、山菜やコンニャクを乗せています。極めてヘルシーですね。

 僕は、イノシシ鍋定食。豚汁のようなイノシシ鍋に、写真の馬刺しがついてきます。イノシシも馬も、肉にクセが無く、さっぱりと美味しいのが特徴でした。こちらは冬季限定のメニューです。
 Oさんは、土佐名物の地鶏「土佐ジロー」の定食でした。山の恵み・川の恵みなどなど、ほんとに地元ならではのメニューばかりです。しかもどれも新鮮で美味しい・・・。どうりで笑顔が出てくるはずです。
 
 さて、一行は食べてばかりじゃなくて、本来の目的「社会見学」という名の散策に出かけます。

 温泉からほど近い所に、かつて馬路村にあった森林鉄道を小さく復元し、体験乗車ができる所があります。
 森林鉄道とは、山から木材を搬出するために作られた鉄道で、山間地を縫うようにはしるため、線路幅が小さいのが特徴です。馬路村には、安田川沿いに森林鉄道の遺構がところどころ残っています。

 実際乗ってみると線路幅が狭く、通常の鉄道と違い簡易な作りのため、大きく揺れたりして、乗り心地こそとても快適なものじゃないのですが、「大丈夫なの・・・?」的なスリルもあって、それが逆に「当時はこんな感じで、狭い山の中を走っていたのかなぁ・・・」と思わせてくれます。

 森林鉄道の駅舎の隣には「インクライン」という斜面を登る装置があります。

 これもかつて木材の搬出に使っていたケーブルカーのようなものです。動力に水を使って動かしているのですが、車体の水を捨てると上に登り、上で水を車体に貯めると下がる仕組みになっています。

 これももちろん観光用にアレンジしたものですが、よく考えた仕組みだな〜と感心させられました。


森林鉄道という背景の説明が無ければ、ただの遊園地の乗り物ですが、
古びた線路や、その風景を見ながら乗ると、昔の暮らしが思い出されるようですね。



こちらがインクライン。小さなゴンドラの下にタンクがあって、
その水を放出すると、少しづつ上に上がっていきます。
頂上には、村内を一望できる展望台があります。

 森林鉄道とインクラインを堪能した一行は、村内にある「ごっくん馬路村」の工場に移動しました。
 村の木立に囲まれた中に、ひときわ新しい建物の工場が現れます。そう、ここが「ごっくん」を作っている工場です。

 もともと林業が盛んだった村で、他にこれといった産業の無い所です。農業の方は、農地が少なく斜面を拓いた畑で作るゆずが、唯一の特産品だったのでした。

 ゆずそのもののの販売以外に、売上を増やそうとゆずを絞って、加工して販売する。・・・最初は小さな村の農協の取り組みだったのですが、度重なる試行錯誤の中、生まれたのが「ごっくん」なのでした。

 今では、近代的な工場の中に、大勢の村人が働いています。もちろん扱う商品も「ごっくん」だけじゃなくて、調味料や入浴剤、化粧品なども作っています。馬路村は、全国にファンがいる地域ブランドに育ちましたね。
 


祭日だったため、工場のラインは止まっていたのですが、
清潔で近代的な工場にびっくりしたのでした。



工場見学は、一般の場合予約なしでも大丈夫です。
ひととおり見学の後、「ごっくん」のお土産があります。


馬路村に来て、お昼を食べて、森林鉄道とインクラインに乗って
「ごっくん」の工場を見学すると、早くも数時間が経過しました。
早くも帰らないといけない時間に。

ツーリング途中の移動が無く、単一の目的地だけで終わってしまうのは、
とても珍しいのですが、それだけ馬路村の魅力があるという事なんです。

本当は、温泉も入ろうと魂胆していたのでしたが、晩秋の日暮れは早いので
さっさと家路につくことにしました。


 帰りは、来た道を引き返したのでしたが、高知からは高速道路を使って戻りました。

 馬路村のように、山間部にあって、山向こうに通り抜けれる道(オフ車は別)が無い場合、あえてこの場所に来ることもほとんど無いのでしょうけど、馬路村は違ったのでした。一日遊べて、食べて、勉強になる楽しい村なのでした。しかも11月は、ユズ生産の最盛期。村中がユズの香りに覆われていたのです。

 馬路村に行ったことが無い方、ツーリングの目的地がマンネリ化している方、ぜひぜひオススメしておきます。




2015年 冬のツーリング 目的地 しまなみ海道 (2015.2.11)


 冬のツーリングは、恒例の建国記念の日。例年、冬の瀬戸内の天候は安定しているのですが、問題は寒さ。路面凍結があると、いくらツーリングのベテランといっても、危ないのは同じこと。

 いくら温暖な四国といえども、高速以外で峠越えするのは、危険なのです。それと、松山から西側は、季節風の風向きによっては、雪になることも多いです。それだけに、冬のツーリングで行く所は限られてきます。

 今回の目的地は、しまなみ海道。瀬戸内沿岸は、かなり冷え込んでも問題なくツーリングできますね。

 しまなみ海道は、愛媛県の今治と広島県の尾道を結ぶ、島伝いの高速道路です。明石〜鳴門、児島〜坂出の橋と違って、しまなみは、人や自転車、そして原付バイクが通れるのが特徴です。他の本州と四国を結ぶ橋と違って、島々を渡って通過するというよりも、観光目的で通られる方が多いのではないでしょうか。

 しまなみの6つの島、すべてを探訪するのは、とても一日では回りきれないので、今回の訪問は、愛媛県側の大島と大三島にしました。



 当日、屋島工房を西に向かいます。高松道・松山道を経由して、今治小松自動車道を終点の今治まで乗ります。
 今治市内を少し走った後、いざしまなみ海道に。

 

 当日の参加は、5台。さすがに厳冬期ですので、どうしても参加者は少なくなりますね。気温は出かけに10度以下と冷え込んだのですが、かろうじて日差しもあり、時間が経つにつれ暖かくなりました。

 今治からしまなみ海道に入ると、ひときわ大きい吊り橋があらわれます。そう、これが来島海峡大橋。


しまなみ海道、最大の見どころがこの来島海峡大橋。
平成11年に完成した三連吊り橋で、橋長960m・1515m・1570mと、
巨大な橋が3つ並ぶ姿は圧巻です。


 来島海峡大橋を渡ってすぐの大島南ICで降ります。向かうは、道の駅「よしみいきいき館」。ここの港から、来島海峡の急流を体験できる観潮船に乗ることができます。

 来島海峡は、日本三大潮流の一つ。徳島の鳴門海峡、下関の関門海峡とならんで称される、海の難所です。潮の干満とともに海水が移動し、川のように。
 観潮船は約50分間、急流見学はもちろん、来島海峡大橋を下からくぐったり、村上水軍の居城を巡ったりします。


先ほど通ってきた来島海峡大橋を下から望みます。
よくもまぁ・・・こんな巨大建造物を作ったことに感心させられます。


これがメインの潮流見物。潮の早いところは、ところどころ渦が巻くほど。
ラフティングとまでは行かないですが、船の暴れ具合は、かなりの迫力かと。
ベテラン船長が巧みなスロットルさばきで、急流を案内してくれます。



自称海の男K君も、暴れる海流と、
ふりかかる水しぶきに呆然としたご様子。



日本一の海事都市、今治の波止浜港にも入っていきます。
修理や建造中の船を見ることができます。
円安の影響か、どのドックも船が入って賑わっている様子ですね。


観潮船は、大人1500円。かなり迫力があって、見どころも十分で乗る人を飽きさせません。
出航時間等は、日によって異なりますので、事前に問い合わせや
予約をしておいた方が良いでしょう。

お昼は、観潮船乗り場のすぐ近く「よしみいきいき館」で七輪を囲んだバーベキューです。ごらんのような海の幸に鯛めしが付いてきます。

ただひたすら、焼けるのを待って、黙々と食べていきます。食事云々もそうですが、焼けるまでの間が楽しいじゃないですか・・・。

さて、大島はこれくらいにして、次の目的地である大三島に向かいます。
途中の伯方島は、今回はスルーしました。


しまなみ海道は、大小いろんな形の橋を渡ります。
それぞれ形が違っていて、面白いですね。



大三島では、島の西側にある、伯方塩業を目指します。

伯方塩業とは「伯方の塩」のCMでも有名ですね。
人工的に作る塩じゃなくて、メキシコやオーストラリアから輸入した
天日塩田塩を、工場内で瀬戸内海の水に溶かしてから、
再度煮詰めて塩にしているのです。

この製法の方が、海水中の「にがり」を残した、まろやかな塩を作ることができるそうです。

 工場内部は、写真NGですので外観のみです。見学の日程・時間等の詳細は、HPをご確認下さい。

 帰りにお土産の塩サンプルを頂きました。そして売店で恒例のソフトクリームを頂きました。もちろん塩風味。塩辛くは、なかったです。

 大三島も、塩の工場以外にもっと見る所があるのでしょうが、
先ほどの七輪バーベキューに、予想外に時間を食ったため、今回の旅はここにて終了。
せっかく島に来たのですから、ぐるっと一周して帰ることにしました。

 右手には、海がすぐ近くに。左の山にはみかん畑が続きます。
本日唯一のワインディングでした。一行は、ゆったりと走り抜けたのでした。


これまでの屋島工房ツーリングは、慌ただしく走り、
目的地にタッチして帰ることが多い! ツーリングばかりでしたが、
今回のようにじっくりと楽しみながら、バイクに乗る時間以外を愉しむのも良いですね。

おまけに、潮流や塩のことも勉強できましたし・・・。
一同、なんとなく満足感を得て、家路についたのでした。


夕日に照らされながら、来島海峡大橋を四国方面に向かいました。

 さて、秋と冬のツーリング、無事に終わりました。

 「大人の社会見学」とうたっていますが、なにぶん大人になると、自然や歴史・産業のことを勉強することなんてほとんど無いですよね。今回の参加者に伺うと、地元四国の人でも行っていないところばかり・・・。

 まだまだ四国には、馬路村やしまなみのような楽しいツーリングスポットがありそうです。
 「大人の社会見学」ツーリングも、今後定番化しようと思っています。



 屋島工房ツーリングは、年四回のペースで今後も続けていきます。
 毎回メンバーが異なるので、メンバー間の新しいつながりが増えて、とても楽しいですね。
 行く先は、基本その時々の店主の思いつき・・・。日帰りベースですが、時には遠出もしようと思います。
 
 「参加したい・・・」って声、最近よく伺います。ぜひぜひご一緒に走りませんか。新しいメンバーを歓迎しています。詳しくは屋島工房のHPをチェックして下さい。


<< 戻る