安芸灘とびしま海道

2016年秋のツーリングは、題して「橋渡ってばかりのツーリング」。目的地は、広島県と愛媛県をつなぐ安芸灘とびしま海道。実は以前ソロツーリングで訪れたことがあり、その様子をこのツーリングサイトにて報告したことがあります。今回はお客様とのツーリング。島と島を結ぶ橋を、飛び石のようにたどる、瀬戸内ならではのツーリングになりました。


2016年 秋のツーリング 目的地 安芸灘とびしま海道 (2017.11.3)




 屋島工房ツーリングは、今回が24回目の開催となりました。

 毎回毎回、ツーリングの行き先に困るようになりました。それもそうですね、年四回も行くものですから。しかも、お客様と一緒に行く関係上、「行き当たりばったり・・・」というわけにもいきません。それゆえ、行ける所が限られてくるんですね。

 遠くに行けるなら、もっと選択肢があるのですが、そこはバラバラの職業を背負った責任ある大人ばかり。基本日帰りにならざるを得ないんですね。

 さて、今回の目的地は「安芸灘とびしま海道」。以前、2010年の8月に訪問し、当グローブサイトでもレポートしています。もうあれから6年も経つのですね。


 安芸灘とびしま海道は、広島県の呉市の東から、橋を渡りながら島伝いに愛媛県へ至るルートです。とびしま海道の東には、尾道と今治を結ぶしまなみ海道がつながり、今では本州と四国をつなぐ動脈となっているのですが、とびしま海道は、しまなみ海道の真ん中にある大三島の直前まで、橋でつながっています。

 いずれ将来的には、しまなみ海道と、とびしま海道がつながって、新しいルートができれば良いのですが、現在のところとびしま海道は、愛媛県の岡村島までの盲腸線。メジャーなツーリングルートとして知られることもなく、いまいちマイナーな理由がこんなところにもあります。

 今回は、愛媛県側から呉に抜けるコースと、広島県側から大三島に抜けるコースの2パターンを考えたのですが、愛媛側からだと、大三島と岡村島を結ぶフェリーの時間が、どうも都合よく合わず、今回も前回と同じく広島から入るルートになりました。


 屋島工房から、広島県呉まで約200km。結構な距離がありますので、屋島工房をいつもより早く、午前7時に出発しました。途中サービスエリアなどで仲間を増やしつつ、一行は西に向います。

 まず渡ったのは、香川と岡山をつなぐ瀬戸大橋。こちらを渡った順番に言うと・・・

1.南備讃瀬戸大橋
2.北備讃瀬戸大橋
3.与島橋
4.岩黒島橋
5.櫃石島橋
6.下津井瀬戸大橋


 6つの橋の総称で「瀬戸大橋」なんですね。もちろん僕らにとっては、日常的に通る橋ですので、できた頃とくらべると何の感慨もありませんが、依然として風光明媚なのは言うまでもありません。



瀬戸大橋から、山陽道を西に。広島の東で呉方面に向かう無料の高速に分岐します。
対面通行ですが、交通量が少ないので走りやすいですね。

高速を降りて、呉市内を東に数分走ると
安芸灘大橋のたもとに着きます。

安芸灘とびしま海道は、この安芸灘大橋のみ有料です(あとは無料)。しかも観光施策のキャンペーン中なのでしょう、とびしま海道の島内で買い物をすれば、帰りの通行券をプレゼントしてくれます(ご希望の方は、条件を要確認!)。

安芸灘大橋の料金所は、久しぶりのETCじゃない料金所でしたので、
ちょちょまって(焦って)、自分だけサクッと払って通過しましたが・・・。

あとのメンバー、一人ずつの通過で、ちょっとした混乱になりました。
(料金所でお金払うのも、慣れていないと難しいです。)

はい・・・こういう場合、先頭がまとめて払うべきでした(反省)。
昔はそうやってましたね。昭和のツーリングあるあるネタです。

こちらが、7.安芸灘大橋です。呉市と下蒲刈島を結びます。橋長1175mのとびしま海道では、比較的長い吊橋です。

下蒲刈島は、かつて瀬戸内海が主要交通路だった時代の要衝で、
島の中心部には、松濤園という建物があり、海の交通の番所や
朝鮮通信使をもてなした施設が残り、現在に伝わっています。

走るだけじゃなくて、時々真面目に学ぶのが屋島工房ツーリングの楽しみの一つです。言ってみれば、大人の社会科見学です。

瀬戸内海の小さな島と朝鮮半島との結びつきを知らなかった方も多く、ホントに勉強になりました。もちろんお約束のくり抜き看板でパシャリ。

下蒲刈島をあとにして、一行は次の島へ。


8.蒲刈大橋。とびしま海道の中では最も古い橋です。
鉄骨をふんだんに使ったトラス橋です。橋長480m。

 とびしま海道の架橋は、1970年台から現在まで続いているのですが、もちろんその橋長や地形によって得手不得手があり、橋の形式は変わるのでしょうが、時代時代によっても、使われる技術が変わるのだと思います。

 吊橋、アーチ、トラスといったふうに、いろんな形式の橋があるのは、そんな理由なのでしょう。巨大橋の見本市状態にもなっていますね。


 朝から走り続けて、下蒲刈島で松濤園の見学をしていると、上蒲刈島に付く頃には、お昼近くなっていました。

 そろそろお昼なんですが、ここは島ですので、大勢で食べられる飲食店も少なめです。最初からあたりを付けていました、上蒲刈島のレストランに入ることになりました。そりゃ・・・ここは瀬戸内の島。もちろん食べるのは地元の魚に限ります。

店内に生簀のあるお店です。注文すると、生簀の魚をすくってさばいてくれます。

ちらし寿司や刺し身の定食を各自頼みました。そりゃ・・・島で食べる魚です、美味いに決まっているでしょう。

名物の一つがオコゼの料理。一匹まるまるを唐揚げにして、頂きました。ヒレや骨もパリパリで美味しいです。値段は大きさによりますが時価だったような(汗)。
 
 天気も、昼頃になるとポカポカしてきて、お腹もいっぱいになって眠くなりそうなものですが、橋はまだまだ続き、先も長そうなので、少しばかりペースを上げ急ぐことになりました。


とびしま海道の道は、よく整備されていて、しかも交通が少ないので走りやすいです。



上蒲刈島は、藻塩で有名。
古代に藻を使った製塩をしていた遺跡が出てきたそうです。
もちろん、その遺跡もしっかり見学しました。
残念なのは藻塩を買えなかったこと。

 上蒲刈島をぐるりと一周してから、次の島へ向かうことにしました。次は豊かな島と書いて「豊島(とよしま)」。海の中からおむすび型の山が突き出したような島です。平地がほとんどなく、斜面で作られるミカン栽培が盛んな島です。
 

8.豊島大橋。2008年に完成した、とびしま海道の中では最も新しい吊橋です。橋長907mで安芸灘大橋についで長い橋になっています。

9.豊浜大橋。豊島と大崎下島を結ぶトラス橋です。完成は1992年とちょっと古いですね。ちなみに橋長は543m。

御手洗(みたらい)という、江戸時代の風情が残る、大崎下島に上陸。
1800年代には、潮待ち・風待ちの港として、中国地方随一の港だったそうです。

島であるがゆえに、戦争の焼失もなく、高度成長時代の建物の更新も無く、
その昔のままタイムスリップしたような町並みが残りました。

もちろんかの坂本龍馬も、この島で数日過ごした記録が残っています。
御手洗の歴史ある、いろんな所を見学したのち、次の島へ。

10.平羅橋。大崎下島と平羅島を結ぶ小さな橋です。こちらはロープを斜めに吊った斜張橋。全長98.5mです。

11.中の瀬戸大橋。平羅島と中ノ島を結ぶニールセンローゼ橋。アーチから斜めのワイヤーで吊られる特殊な吊橋です。251m。

12.岡村大橋。中の島から岡村島を結ぶ、こちらもニールセンローゼ橋。特徴的なアーチがきれいですね。228m。唯一の県境をまたぐ橋です。

 岡村大橋を渡ると、そこは安芸灘とびしま海道の終点、岡村島になります。こちらは愛媛県今治市になります。

 岡村島から先は、さらに島伝いにしまなみ海道へつなげるべく、大三島への架橋構想、そしてさらにとびしま海道の北側にある大崎上島への架橋構想もありますが・・・、今のところ進んでいません。素人目に見て、どちらも大きなお金の必要な公共事業になりそうです。

 でもね、とびしま海道を盲腸線のまま置いておくのももったくなく、橋がつながれば、観光客も膨れ上がり、大きな経済効果があること間違いないでしょう。ライダー目線からも、絶好のツーリングスポットなのは疑いようもないので、ぜひとも近い将来の架橋を期待したいですね。「生きてるうちに作って欲しい♡」。


無骨なトラスで作られた豊浜大橋をバックに、島を快走。


2つのニールセンローゼ橋を渡ってから、岡村島へたどり着きました。

 さて、岡村島から大三島へ船で渡ります。一日に何本も出ていませんので前もって時刻を調べておく必要があります。万が一乗り遅れた場合は・・・呉まで戻らなきゃなりませんね。とにかく今日は、このフェリーの時間だけは厳守。すべて岡村島のこのフェリーに乗るべく、時間の帳尻を合わせたのでした。


岡村島で、大三島ブルーラインに乗ります。わずか20分少々の船旅です。乗船してもロープで縛られることなく、「倒れんように持っといてね」との船員からのお言葉がありました。

港の桟橋にて軽く集合写真を撮りました。すでに時刻は16時頃。日が傾きつつありました。寒くなるので、日没までには帰りたくなります(今回は無理か)。

さて名残惜しいですが、岡村島で安芸灘とびしま海道ともさよならをしました。
船旅の後、降り着いたのは、大三島の西端の宗方港。
ちょっと遠回りですが、大三島の南を通って、
しまなみ海道の大三島インターへ向いました。

13.大三島橋。大三島と伯方島を結んでいます。橋長328mのアーチ橋。


14.伯方・大島大橋。2つの橋が一体となっている橋です。
橋長1230mの吊橋と箱桁橋がつながっています。

そして日没前、最後にたどりついたのが、今日最後の橋。

15.16.17来島海峡大橋。全長4105mの三連吊橋。
毎回、その巨大さに圧倒されます。「よく作ったなぁ・・・こんなの」。
 

 さて、今回は17もの巨大な橋を渡ってばかりのツーリングになりました。瀬戸内を島伝いに旅することって、ここ以外にできそうもないです。当日は天候も良く、とても楽しいツーリングになりました。安芸灘とびしま海道は、意外と知られていない穴場スポットです。今回もほぼ全員が初めての訪問となりました。ぜひこちら方面に来られましたら、とびしま海道に行かれることおすすめしておきます。



 2017年の厳冬期ツーリングは、淡路島方面を予定していたのですが、当日は、警報が出るほどの雪と強風の予報になっていたため、早々に中止と判断させてもらいました。楽しみにされていた方申し訳ありません。厳冬期ツーリングとうたっているだけに、たいていの寒さは覚悟していたのですが、雪は・・・バイクにとって危険ですし、淡路島は風が吹くとバイクの場合、早々に孤立する恐れがありますからね。



 屋島工房ツーリングは、今後も年四回のペースで続けていきます。

 行く先は、基本その時々の店主の思いつきで計画しています。通常のツーリングに加えて、新たな試みとしてオフロードバイクによる林道ツーリングも計画しようと思っています。興味がありましたらぜひご参加下さい。


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