2008年7月20日


 レンタカーを借りると、まずは一周30kmほどの島の外周道路を走ってみる。交通量は極端に少なく、舗装も良く、快適な道だ。場所によっては北海道的な雰囲気もあり、箱根的なワインディング箇所も、共に短いけれどある。これはバイクで走ったほうが楽しそうだが、松下の知人から借りるのは、島をもっと探索してからにする。
 さて初日の今日は海に重点を置くことにしよう。真っ青な海。チャレンジ三宅島イベント会場で売っていた旨そうな魚貝類は、はたしているのだろうか。。。

島のいたるところで咲いている色鮮やかなユリ。


島の東側のビューポイントにて松下の訳わかんないバンザイ。




 現在、島に海水浴場と謳っている浜は4箇所ある。その海岸を見て回ったが、海水浴を楽しんでいる人はひとつの浜で1〜2家族程度と閑散としている。今日は7月20日で、ちまたの会社は3連休、そして学校は夏休みに突入しているのになぜだろうかと疑問に思う。今日の朝に着いた東京からの数百名の人々は、いったいどこにいったのだろうか。
 そういえば二輪編集部に在籍していた知人I君が、この三宅島出身だ。彼に電話して島の海の事情を聞いてみることに、、、
「三宅島の海水浴場に砂浜はないっスよ。ジャリとか磯とかって感じで、岸からすぐ深いし、潮の流れは速いし、え?サカナはいっぱいいるけど、気をつけないと危ないっスから」
 なるほど、どうやら子連れの家族向きの海岸ではないようである。


島でいちばん広いの大久保浜。砂浜に見えるが“ジャリ”浜だ。この全長2kmほどの浜に海水浴客は、ほんの4〜5名。




 島の南東に位置する長太郎池に立ち寄る。池といっても、岩に囲まれた海のプールのようで、ここなら安全に泳げそうだ。「松ちゃんよぉ、昼飯食ってから、ここでちょっと海の中、調べようかぁ」 ということでメシ屋がいちばん多い阿古地区の港町に向かう。

 松下が案内したメシ屋は“ココナッツガーデン”。おお、なんと南国ムード漂う名だ。きっとトロピカルなデザートなんかが出てくるのだろう、とCOCONAT GARDENと欧文で書かれた看板を奥に入り、メニューを見れば、タンタンメン、ギョーザ、冷やし中華・・・等々。
 「おい松ちゃん!なんかちがくね〜? 店の名前とメニューの料理がぁ。それに店内の壁にはよお、釣り師自慢の魚拓がいっぱい飾ってあるしよお。・・・ま、いいかぁ、俺は冷やし中華と生ビール、クルマの運転は頼むな!」

帰りに撮った写真をよくよく見れば、欧文の看板の奥には“冷やし中華”のノボリが。でもこのココナッツガーデン、誰も文句は言えないほど、ほんとに旨かった。





 釣り師御用達?中華風ココナッツガーデンで腹を満たし、途中のスーパーでよく冷えたスイカを買って“長太郎池”の向かう。もう気分は海水浴一直線、仕事など頭から完全に離れている。


さあて久しぶりの海、はたして泳げるだろうか、潜れるだろうか。茶パツの松下、海パンも派手。


水深1〜3メートルくらいの長太郎池、水中メガネで海中を覗くと、カラフルな小さな魚がわんさかと泳いでいる。


 長太郎池は、岩場に囲まれた波穏やかな海水浴場だと聞いていた。午前中見た姿もそのとおりだった。だがしかし、その様子は徐々に変わってきた。
 潮がどんどん上がってきて囲まれていたはずの岩から波が押し寄せている。ちょっと危ないかな、と思いつつ、サザエなんぞがいるのではないかと波のある岩場を探索。シッタカ(ヨウジで突っついて食う、酒のツマミでおなじみの小さな貝)は無数にいるものの、サザエ、アワビ、トコブシの姿は見つからない。
午前中の穏やかな姿。これなら子供づれの家族でも安心だ。


ほ〜らね、肩、ひじ、手首がキズだらけ。そして「海をナメちゃイカンよぉ〜」と笑ってる松下。


トマト色の海パンはいた松下が、トマトを食っている。


 夕方の5時、氷といっしょに入れた冷やしたスイカを誰も食おうとしない。そう、寒いのである。
 東京の夏の5時はまだまだ暑い。しかし陽が傾き始める三宅島のその時間は、海風が涼しい。だから海から上がると寒いのは当然で、生ぬるいトマトを食う松下が正解かもしれない。う〜ん、ひとっ風呂、温泉に入りたくなった。
 本日の海の魚貝類収穫ゼロ、ケガ人ひとり。
 (帰りに“サザエ、トコブシ、イセエビ等を獲るべからず!”の看板に気づくが、心配御無用である。)



壁の向こうが露天風呂。海を一望。


温泉の隣りにある食事処“ふるさと味覚館”
 早朝着いた錆ヶ浜(さびがはま)港のすぐ近くに温泉がある。その名は“ふるさとの湯”、泉質は薄茶色のナトリウム塩化物強塩質である。
 いやいや、やはり温泉があるのはありがたいものだ。冷えた体が瞬時に温まる。またこのロケーションもいい。真っ青な海にオレンジ色の夕日、東京都とは思えないほど美しい。

 さ〜て、温泉浸かったらビール。これニッポンの基本。さっそく隣りの“ふるさと味覚館”に直行する。今夜は(も)しこたま飲んでやる。まったく飲まないカミさんが運転すればいいし。


生ビールの最初の一杯、これはもう言葉では表現できないほど旨い!!!




 始めに出てきた料理は“キンメダイのカルパッチョ”・・・旨い!。そして三宅島近海の3種の刺身たち・・・極上! やがてここのオーナーである深沢氏も我々の席に着き、いっしょに飲んで話し始める。
 「カンパチの刺身、東京の人には硬く感じるんじゃないかなあ、、、」
 そう、新鮮すぎてシコシコ感が強い。こんな食感の刺身は東京で食ったことがない。
 「東京の市場に届く頃には、柔らかくなってるんだけどねえ。どう、美味しいかねえ」
 十分すぎるほど旨いッス。

 昨年から松下の顔見知りであった深沢氏に島の現状を聞く。まだまだ三宅島は復興途中であることを思い知らされるのだ。
 そうそう、お台場のイベントで目についた島の麦焼酎“雄山一(おやまいち)”、しっかりメニューにあったので、たらふく頂いておきました。




 10年ぶりにクルマを運転するというカミさんが、酒も飲んでいないのになぜかフラフラとしながら、なんとか宿にたどり着く。
 「オバちゃ〜ん、帰ったよぉ〜」てな声で宿に入り、すかさず「オバちゃ〜ん、ちょっと一杯飲ませてくれる〜。あっ、スイカあるんだけど切ってくれるぅ〜」。宿の夕食をキャンセルした分、まだまだ今宵は飲むのである。海で食わなかったスイカをツマミに。

 ・・・そういえば今日、バイクに乗ってないんじゃねえかぁ〜、これでツーリング紀行と言えんのかぁ、松下よぉ!

 明日は乗ろう!、、、。


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