プロである坂上カメラマンの仕事は、あと2カットとなった。長いようで短い二日間が終えようとしている。
 この撮影隊と来る前、下見の時に決めていた場所があった。それは酒造りに関わる桶や樽を作る小屋である。当主武重氏から、それはそれは古い年代物のカギをお借りし、その扉を開く。

小屋のカギ。いったいいつの時代から使っているのだろう。この蔵元には、初めて見る脇役が多い。


分かりますかぁ?、正面のちょうちん。

 小屋の中に入ると、木の香りがぷ〜んとする。前回訪れた時に当主いわく 「今は酒造りの桶や樽を作る職人がほとんどいなくてね、困ったことですよ」 。そしてお祝い事で見る鏡開き(トンカチで酒樽を割る光景)も近頃は少なくなっているそうだ。酒を振舞うのはいいが、クルマでやって来た人はどうすんのよっ、といった配慮もあるらしい。
 小屋の唯一の裸電球に、弊社から持ってきた江戸ちょうちんをセットしてみる。本来はロウソク用のちょうちんだが、ちょうと暗いので。さて撮影しよう、、、あれっ、学生たち、どこ行ったかな?


蔵元にあるもの、なにもかもが珍しいのだろう。


やたらに手を触れるんじゃない! 撮影だ、おい!


ウインター製品のイメージカット撮影。学生たちはアシスタント。




 “熱燗と防寒” 我ながらいい語呂合わせだ。しかしバイク用品の横に置いて、反感を持つ人もおられるんじゃないか、という心配もあった。でもこの写真の下に “※酒は20歳になってから。飲酒運転はやめよう!” などというクサい注意書きは入れない。なぜなら、そんなのあったりまえのことだし、もう我々は大人なのだし、そんなこと書かなければ分からないような愚か者ではございませんよね。

 さあ、ついに最後の撮影カットに入る。昨日からの行動で、若者たちに伝統文化、ニッポンの酒造り、もの作りがなんたるかを復習させる ・・・単車オヤヂ殿がこの蔵元の酒をクチにしながら。


 実の息子に酒を注がれ、眼光するどく語る親父。真ん中にいる息子ダイスケの友人、木村青年も聞き入っている ・・・いい写真だ。


神妙に酒を語る武重氏。でもその表情とは裏腹に「自由な飲み方でいいんですよ」
 ところでこの武重本家酒造の酒の味、これもきっと気になるところでしょう。では単車オヤヂ殿がクチにした“大吟醸 酔牧水(よいぼくすい)”。木箱に入ったこの蔵元最高価格(1800ml 税抜き1万円:2008年9月時点)の酒は、常温か冷やで頂く。上品なほんのり甘口で、大吟醸酒ならではのフルーティーな香りとのど越し・・・と、なんだかありきたりのコメントで申し訳ない。酒の味は感覚的に分かっても、それを言葉にするのは、私程度の若輩者では無理です。
 そういえば当主武重氏に酒の飲み方について聞いたことがある。
 「ウチのサイトでお薦めの酒の温度を○△×で表記してるけど、あれはあくまで参考というだけですよ。よくある既成概念に惑わされず、個人個人が酒を楽しんで旨く飲めればそれでいいんです」
 私はこの言葉を聞いて安心した。ああしちゃいけない、こうして飲まなきゃいけない、では楽しんで飲めませんものねえ。まっ、百聞は一見にしかず、いや一口にしかず、、、飲んでみてくださいな、この武重さんとこの酒を。


武重本家酒造に30種近くある日本酒のなかで、いちばんの好みは“牧水きもと純米酒”(税抜き1,800ml/2,330円 720ml/1,170円:2008年9月時点)。甘すぎず、すっきりとしたノド越しが良い。ただし、困ったことに720mlの瓶、一晩でゴクリ、とすぐカラに。

 さあ、これで2008年秋冬製品撮影紀行:蔵元編は全工程無事終了した。これで少しは日本酒が、いやいや、弊社製品もお分かりいただけたことだろう。
 ・・・どちらも皆さんを、きっと心地よく酔わせます。。。


はぁ〜い皆さん、楽しそうだけどそろそろ撤収だよ、帰るよっ・・・


協力:武重本家酒造株式会社 http://www.takeshige-honke.co.jp/index.html
ペアスロープ カタログ(限定800部) 恐れ入ります。300円分の切手を郵送ください。


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