2009年5月24日

 いよいよ本題、温泉の話である。竹炭も濃かったかもしれないが、これからの話はそれ以上だ。しかし私が水で薄めて軽〜くするのでどうぞご安心を。そしてこれを読んで少しでも理解されたなら、あなたはきっといい湯に癒されることでしょう。

 山芳園は“源泉旅館”である。源泉とは、100%そのものの温泉のこと。このページの話は薄めても、水で薄めた湯は“源泉”とは言わない。
 源泉旅館は全国的には多くあるが一般的ではない。たいていの温泉旅館・ホテルは源泉から出る湯を分岐して各宿の湯船に注がれている。例外もあるが○○温泉郷といわれるのは源泉分岐が多い。
 ここで言いたいのは源泉・源泉分岐、どちらが良いかどうかではない。どちらも源泉にかわりがないのだ。私の場合、そこから湯船に満たされた温泉の鮮度、そこに感心を持つ。

 さて、話が濃くなる前に、私程度が持つ温泉基礎知識の三要素をサラッとお伝えしよう。

[循環式と源泉掛け流し]
循環式 浴槽に注がれた温泉をろ過・過熱して、再び浴槽に戻す。
源泉掛け流し 噴出した温泉をそのまま浴槽に入れ、あふれた湯は垂れ流す。これは湯量豊富な温泉地の特長。(※源泉の温度が高いため加水、またはその逆で加温しても、循環式ではないので源泉掛け流しと称する温泉もある)
私の場合、それはもう源泉掛け流しを好んで浸かりに行く。「垂れ流し」とは聞こえは悪いが、私の為だけに大地の恵みが流れ過ぎてゆく。そんな気がして気分が良い。
[泉質] 
単純温泉・二酸化炭素泉・放射能泉等々多くの種類はあるが、私はほとんど気にしていない(酸性かアルカリ性か程度)。どの泉質の湯に浸かってもバイクに乗った後は気持ちいいのだ。
[効能] 
2008年秋、東北の旅に出た時、初日にカミさんが立ち転けし、しこたま腰を打った。その晩の宿の温泉に、打ち身・ねんざ等々の効能ありと表示されていた。これはラッキー、と浸からせたがその当日に腰を暖めるのは逆効果。効能知識はあっても、医学基礎知識が無知では馬鹿丸出しである。ちなみによくある宣伝文句に「美人の湯」というのがある。すでに手遅れとおぼしきバアさまが多く浸かっている。ウソとは断言できないが、もし絶大な効果があれば、世の中に美容整形外科、化粧品はないだろう。

 ま、これが私なりの温泉基礎三要素である。その三つの基本を知っておくだけでも、気分良く浸かれるってものだ。


 ここで宿のダンナが登場。もちろんこの宿の湯は源泉掛け流しである。
「いや、ちがうんだな、“源泉脈掛け流し”なんだな」
 あ、そうだった、ここは“脈”という字が間につくのだった。でもそれ、聞きなれないぞ、と言えば、
「そりゃあ、俺が作った造語だもん」と、このオヤジが勝手に作った言葉だ。
 源泉脈掛け流しとは、加水・加温しないのはもちろんのこと、圧力も抜かず、空気に触れずに源泉の湯を直接湯船に注ぐのだと言う。言葉では簡単に聞こえるが、そんじょそこらにある温泉ではない。
 旅館の敷地内にある源泉温度は75℃。これでは高温のため湯の銅管に霧を噴霧させて冷やし、湯船に送るそうだ。客は「いい湯だなあ〜」と、まったり浸かっているが、深度1000mの源泉湧出方法は、その設備や管理にとても手間が掛かっている。それでも“源泉脈掛け流し”としているのは、
「温泉の良い成分が気化しないし、酸化しないし、これがほんとの天然の湯なのよ」

炭焼きや果樹の話はニコニコしていたが、温泉話では熱く語る。それにしても森本レオに似てるんだな、、、。

 空気に触れず湯船に、、、そこで思い出した。昨年(2008年)の秋に行った青森県八甲田の蔦(つた)温泉、岡山県奥津温泉の旅館 東和楼(とうわろう)、そして今年(2009年)の春の岩手県鉛(なまり)温泉、それぞれ共通点があった。湯船は全て宿の地下。そして源泉の湯が湯船の下から湧き出ているのだ。それも源泉“脈”掛け流しと同じ意味ではないかとダンナに問えば、
「そうだよ、それは“足元湧出”というんだ。源泉脈からの湯に直接浸かれるというのは、ほんとに贅沢なことなんだな。いちばん高級な温泉なんだな、これが」






 なお、天然の足元湧出ができる温泉には条件がある。源泉温度が熱すぎても低すぎてもだめ。適温でなくては浸かれないのだ。だから全国でも少数派の温泉。
 そんな少数派に立て続けに浸かったが、その時点では足元湧出という言葉を知らずにいた偶然。しかしネットを駆使して「この温泉はいい湯なんだろうなあ」の思いで泊まった温泉旅館なので、私の“勘”は案外当たっている。


 と、まあ温泉の基本的なこと(とはいえやや濃い内容だが)を述べたが、本来、宿のダンナの語りはそんな生やさしいものはなく、もっともっと濃い内容をダダダァ〜〜〜〜って機関銃のようにしゃべりまくっていたのだ。私のような「ちょっとだけ温泉ファン」にはとてもついてゆけず、しかもそれらを軽く翻訳できるほどの文章の才能もなく・・・で、書くのをあきらめたしだい。スマンことです、ダンナ〜、そして読者の皆さん!
 ということで、せっかくだからダンナ自らも努力して造った山芳園の温泉をご覧にいれよう。












 大きな露天風呂は混浴。しかし何年も浸かっているにもかかわらず、まだ一度も綺麗な女性に出会ったことはない。(女性専用タイムがあるので当然か) だから泳いじゃったりするが、これはマナーに反する。でもダンナいわく、
「だ〜れもいなけりゃ、いいんじゃないのぉ〜」と心は広い。

 では皆さん、いい湯に浸かって仕事の疲れをとり、身も心も癒される二輪温泉旅、、、お薦めします。

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