2012年5月1日

 前ページの目次で、もうすでにあのメロディーが頭に浮かんだ方も多いはず、そう、京都をイメージする代表曲 “女ひとり”である。私はこの曲が大好きで、ギターの弾き語りでは何度も唄っている。まあ誰も聞いちゃあくれないが。

三千院参道にある1番の歌詞の石碑...
 
 唄のことはさておき、京都といえば “もみじ”がお見事。紅葉の時季にはたいへん多くの観光客が押し寄せる。
 しかし私は5月からの“新緑のもみじ”にもおおいに興味を感じる。あの明るいグリーンの葉が枝いっぱいに連なった光景、それはそれは美しいのである。
 さてどんな感じか・・・“女ひとり”の1番から3番までの歌詞の土地をたどって、皆様にも新緑のもみじをおすそ分け致しましょう。



京都伏見店から大原へ。

 京都市の北に位置する大原三千院。京都伏見店からは20キロ少々の距離だが、それには交通量の多い京都市内を縦断しなければならない。東京都内を走るより風情はあるものの、やはり街中は嫌いだ。ならば大原まで他の道がないものかと地図をみれば・・・琵琶湖西岸ルートがあるではないか。

 ゴールデンウィーク前半の土日祝日はどこにも出ずにしっかりと働き(野菜作りがメイン)、5月1日の月曜日午前(朝ではない)、のんびりとカミさんと京都伏見店を出発。今日は買い物もするのでホンダの250スクーター:フォルツァでのニケツである。

 伏見店から京都南ICで名神高速に乗り名古屋方面へ、そして5分、隣の京都東ICで降り、高速道路みたいな国道161号西大津バイパスを北上し、交通量がほとんどない国道477号、国道367号を経て大原の里に到着。これは京都市内北上ルートに比べて倍の距離はあるが、伏見店から50分ほどで着いてしまうので時間的には同じ。だったらのどかな道を走るほうが気持ちよいのだ。っていうか、20キロ少々の最短距離では近すぎてつまらんのですよ。


 国道367号から三千院参道への信号を曲がってすぐ、さてどこかに駐輪場はないかと停まっていたら、そぐ横の食堂からオバアちゃんが出てきて「ウチに停めたらいいよ」と言ってくれた。続いて「帰りにウチんとこで食べてってなぁ」と、しっかりしてなさる。無料で停めさせてもらうんだから、もちろんである。
 ヘルメットをバイクにしまって、いざ三千院へ。

まずは菜の花畑のお出迎え。

参道まではお土産屋がずらり。
三千院まではゆるい上り坂である。

バイクが下りてきた。この先は通行不可。
漬物屋がいちばん多い。

この漬物屋のオヤジにつかまった。
アイスキュウリ?、これが旨いんだと。

ビールのつまみに最高だと。
カラフルな和傘。 今日のカミさんの目的は、和傘だった。

三千院参道の渓流沿いの道は、新緑のもみじが色を添える。


 参道途中の漬物屋のオヤジに声を掛けられ、足を止めたらその上手い話術にはめられた。
 「アイスきゅうりが旨いのなんのって、、、ビールといっしょならそりゃあ最高ですわぁ」
 漬物は大好物。ノドも渇いていた。ま、帰りはカミさんの後ろに乗ればいいし、、、と決断は3秒とかからなかった。
 「オヤジさん、俺にキュウリとビールを売ってくんなっ」 「へい、毎度おおきにぃ」・・・って初めて来たのだが、、、。





三千院。

 私は缶ビールひとつで顔が赤らんだり、ましてや酔ってふらふらしたりするような、そんな軟弱な酒飲みではないが(橋本店長はそうなる、たった1杯のビールで)、飲んだら乗らない!、これ常識。

 三千院の門跡に着き、拝観料を払って中に入る。他の寺社仏閣の例に漏れず、建物内は撮影禁止だから、その内部の様子をご案内できない。
 建物を奥に進むと、それは立派な庭園が現れた。そこには茶席と題して、縁側で抹茶と羊かんがいただける、500円で。そこで茶席担当のオバちゃんに聞いてみた。ここで写真を撮ってよいのかと。すると「庭に向けて撮るのはいいのですよぉ」と嬉しいお言葉が帰ってきた。
 では庭園から始まる三千院の素晴らしい姿を、少しご案内しよう。












































昼飯はまだだったな。

 いかがだろうか三千院。“女ひとり”の1番の歌詞に選ばれただけのことはありますな。なんたって苔(こけ)が素晴らしい。そしてその上にある新緑のもみじの葉が美しいのなんのって。いったい紅葉の秋は、どんな色彩になるのだろうか、、、。
 三千院周辺には、ほかにも魅力的な寺院もあるが、昼を過ぎて腹も減ってきたことだし、また次回に訪ねるとしよう。

大原寺勝林院




バアさまがスクーターで威勢良く坂を下っていった。三千院の境内周辺はノーヘルOKなのだろうか。

あのオバアちゃんの食堂“さわだ”で待つフォルツァ。


“さわだ”の看板娘?のオバアちゃん。「約束どおり昼飯を食いにきましたよ」 に97歳のニコリ。 宇治でも茶蕎麦を食ったが、なぜかここの素朴な茶蕎麦のほうが旨いと思った。

 なお、今回はご好意で食堂の駐車場に無料で停めさせてもらったが、三千院参道周辺には多くの有料駐車場がある。おおよそクルマは400円、バイクは200円が相場だそうだ。ハイシーズンである紅葉の秋が同じ料金かどうかは知らないが、参考までに。





ちょいと寄り道・・・。

大原のまったりとした田園風景。もちろん私は後ろ。




1台限定の路上駐車場。

 オバアちゃんとこの食堂で昼飯を終え、ちょいと大原周辺の散策。
 三千院の西側の細い道を1キロ少々進むと、道沿いに陶器や味噌や漬物屋がぽつぽつと並び、その奥に寂光院(じゃっこういん)という寺がある。あの聖徳太子が創建したと伝えられているそうだ。
 で、寺の門におられたお坊様に、バイクはどこに停めたらよいのかを尋ねたら、「そこの食堂に観光有料駐車場があります」というので、食堂に行って「バイクなんですがぁ」と尋ねたたら、「バイク1台なら、その“大原女(おおはらめ)”の観光カンバンの後ろに停めたらよろしいな」と。
 端っこだが、道路である。私はおカネを払うつもりで聞いたのだが、商売っ気はないようだ。


寂光院(じゃっこういん)のもみじも見事な枝ぶりである。





またちょいと寄り道、寄り道・・・。

民家のようで、そうではない・・・?

藍染め(あいぞめ)、柿渋染めのお洒落な傘がいろいろとある。



縁側では藍染のTシャツを乾燥中。
 寂光院の近くに“みつる工芸”という染物グッズ屋さんがあることは前もって調べていた。三千院とともに大原に来た目的のひとつでもある。
 寂光院の帰り道、小さな木の案内板に沿って細い道を走ると、なんだか農家の庭に入ってしまった。あれっ、道を間違えたかな?と庭先で困っていると、長靴を履いたオジさんがやってきた。
 「すみません、みつる工芸ってとこは?」と尋ねると、「ここですよ」って。で、「傘がほしいのですが」に「まあお上がりなさい」と家の中へ案内される。
 室内には染物のTシャツ・ハンチングキャップ・バッグが案外無造作に置かれている。その中にトンボの日傘があり、それを購入。16,800円と高価だが麻素材の藍染めに柿渋めのトンボ柄は、たいへん手間の掛かった逸品である。
 お支払いのときオジさんが名刺をくれた。いやはやオジさんとは失礼なことで、ここの社長だった。ついつい私も名刺を差し上げたら、即座に隣の部屋の若い人に渡し、パソコンをカシャカシャでペアスロープのHPが開かれていた。

柿渋染めは奥が深い。染色現場にて。 これは草木染めであろう。

 「せっかく来たのだから、染色の現場をご覧ください」と社長は言う。染色に興味がないはずがない私なので、お言葉にあまえる。
 染色のさまざまな説明をしていただき、なにか弊社ペアスロープでも製品展開ができそうな気がして「特注の染色、していただけるのですか?」と尋ねると、「お受けしますよぉ〜」と答えてくれた。もし、柿渋染めの麻素材グッズが弊社にラインナップされたばら、染色現場は、ここだと思って間違いないだろう。京都伏見店から、そう遠くはないので、よいアイデアが浮かんだら、また来よう、と大原の里を後にする。








 さてそろそろ京都伏見店に戻ろう、、、とはゆかず、カミさんは京都市内の和傘の傘屋に寄りたいと言う。おおざっぱな地図はあるけれど、道、分かんないし、ナビないし、スクーターだからタンクバックの上でで地図が見れないし、、、上下左右、道を間違えながらも傘屋にたどりつき、また傘(こんどは和傘)を購入。

 伏見店に戻ったのは、閉店時間のちょうど午後7時であった。
 いやぁ〜大原はいいところですよ、皆さん。特に三千院の新緑のもみじと苔(こけ)は、5月〜7月のうちに見ておくべきですぞ。紅葉の時だけ行くなんてのはシロートのすることですよぉ。(こう偉そうに言ったが、今までの私はシロートなようで・・・)











次は“京都栂尾(とがのを) 高山寺”・・・さらに凄い新緑ですなあ。


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