2024年5月16日 送信

※上記画像は浜松城ではありません、弊社ペアスロープ発注先の牛革加工所、その近所「姫路城」です。

 あいかわらず戦国風に書いてます、、、どうかご了承を。

 4月23日、東京のペアスロープ本店を出陣。クルマで向かうは浜松城近隣のヒョウドウプロダクツ社である。その敵陣で人生初のエアブースト瞬間膨張を体験し、それが革ジャンや繊維ウェアでも適応可能なのか、ほんとに信頼性が高いものなのかを検証してみようと思う。
 なんなら自らバイクで転んだほうが、と思うも私はやめておこう。敵陣から人質を取って、転んでもらうという実験、そのほうが合理的でしょう。……とは言うものの、私はエアブーストに賛成したわけではない。転けなければいいわけで、その精神は今も変わらない。

 さて私一人で訪問というのはあまりにも多勢に無勢。なので助っ人として八重洲出版のモーターサイクリスト元編集長 五十嵐部長をうまいこと言って誘い出した。彼は私の温泉本(究極の癒やし湯・究極のにごり湯)の出版責任者であり、長いお付き合いもあるので「あのさ、実はすごく面白いことがあるんだけど、いっしょに浜松行く?」をすっかり信用。あいかわらずいい人である。

 浜松のヒョウドウプロダクツ本社兼店舗に到着。悔しいがペアスロープと比べたらドデカイ店舗だ。でも大きければいいってもんじゃない! とブツクサ言いながら真っ赤なジャケット(戦国時代なら「赤備え」姿)を着て広い敷地に降り立つ。
 ん?、、、来店用駐車場にはバイクもクルマも停まっておらず、お客さんの気配もまったくない。「HYODブランドが人気が高いのは知っていたが、な〜んだぁ、たいしたことないじゃないかぁ……」と正面入り口に目を向ければ「定休日」で閉門。なるほど。。。。



さまざまなサインやウェアに「オレンジ」を使うのはHYOD流。
ちなみにペアスロープのコーポレートカラーは「グリーン」。そしてウェアやグッズは「オリーブグリーン」を好む。

余談ではあるが・・・ヒョウドウプロダクツ本社のあるJR東海のコーポレートカラーは「オレンジ」、弊社ペアスロープ本店のあるJR東日本は「グリーン」である。ペアスロープの場合はJR東日本より歴史が古く、元祖は弊社。

 正面入り口が閉門していたので裏に回り、開門してもらって会議室に入れば敵将の家康、ではなくヒョウドウプロダクツ社長およびエアブーストのスタッフさんたちが待ち受けており、しばし雑談。その合間にレーシングスーツの縫製工場を見学。と言いつつ、しっかり写真撮影。
 それにしても広く、なおかつずらりと並ぶレーシングスーツ。よく見ればキズついた転倒スーツが多い。それを顔なじみである担当のスタッフ氏に聞けば、「ほんと、レーシングライダーさんたちの修理品が多いですよ。みなさんよく転けちゃって、こちらはたいへんですよ」。
 ご存じないでしょうが、弊社ペアスロープもかつて(1980年後半まで)はレーシングスーツを作っていたし、レース活動もしていた。なのでその苦労は分かる。現在のペアスロープは革ジャンの修理だけど、まあ40年間も作り続けているので毎月数着、まれに多い月には10数着の修理はある。修理って、ある程度は本体革も裏地も分解しなければならないので、皆さまの想像以上にたいへんなのです。
 おっと、ここは敵陣の城内。部外者がウロウロ、ジロジロ見たら反撃されるやもしれないので、会議室に戻るとしよう。





 会議室へと向かう途中の廊下で、エアブースト担当ではない販売部の以前から顔見知りのスタッフ氏とばったり出会う。
「おっ、久しぶりですなあ、元気してます?」
「元気ですよぉ、こんにちはぁ、、、」 
「ところであなただけなぜ私服なんですかねえ」
「今日は休みなんですが、社長からお呼びがかかって。三橋さんの酒のお相手にと、、、」
「えっ、俺の?」
「そうですよお、社内には酒をガンガン飲めるもんがおらんので、、、」
「いや、そりゃ悪いことしちゃったねえ」
「いいんですよお、私も酒好きですから、、、」
 敵陣とかなんとか書いているが、ヒョウドウプロダクツさんには顔見知りのスタッフさんはたいへん多く、個々それぞれの人と話すとこんな感じである。他の業界とは少々違い、二輪業界って、どういうわけだか親近感というか仲間意識といおうか、同業社でも本気の敵意識などほぼないのです。



いよいよエアブースト瞬間膨張
※上部が暗いのは照明のせいではありません。顔を隠さねばいかん人がいるので悪しからず。


3月下旬の東京モーターサイクルショーでエアブーストを説明してもらった担当責任者のK氏。顔出しダメとは聞いてないのでアップ。

 広々とした会議室では敵陣の大将と武将たち(HYODスタッフさんたち)に囲まれてエアブーストの話が始まる。そこでヒョウドウプロダクツ社長が、、、
「お話しより先に、エアブースト膨張の体験をしたほうがいいんじゃないですかねえ?」
 おっ、いきなりそれですかぁ。確かに爆発(瞬間膨張)を体験したほうが話を聞きやすいし質問もしやすい。ではその「いきなり」を動画で2発!

 まずはジャケットを着ないで、1発! そして弊社革ジャンを着て、2発目! 「もし革ジャンが破損したら弁償してね!」と敵将に伝えるが、冗談じゃない、まだどんな瞬間膨張かは知らないが、そんな現代ヨロイで我がペアスロープの革ジャンが壊れるわけがな〜い。

※音量は下げてご覧下さい。(特に屋外や電車・バス等の中では)











バンッ! ……な、な、なんだこりゃ〜〜〜!

 まずは音に驚く。でもそれは壁に囲まれ、静かな会議室だからこそ。そして室内反響音も増幅しているから。もしエンジン音も騒がしい道路上なら違うだろう。
 そして同時に瞬間膨張するエアブースト。これは瞬間なんてものではない。目にも止まらぬ、とはこのことで、0.025秒で膨らむのです!と言うK氏の話を実感。(そもそも0.025秒と言われても、それってどんな瞬間なんだ?)

 つづいて革ジャンを着ての2発目。「バンッ!」……革ジャンと身体の間にエアブーストが膨張するので、圧迫感は生じる。と同時に思うのは、、、

 ……これはまさしくヨロイだ! しなやかな革ジャンヨロイの中の頑強なヨロイだ!
    防御力は既存のプロテクションパッドと別物だぁ!


 背中と胸部、そして首をも防御する。背のセキヅイ保護は重要だと、30年ほど前(1990年代)からの二輪ウェアはまずセキヅイパッドから広まった。そして近年は胸部パッド。しかし首を防御する方法はなかなか出てこなかった。でも、エアブーストにいたっては重要な3点を同時に防御。敵ながらアッパレだ。

 でもしかし“ほどほどのプロテクションで快適に走り、転けなきゃいいじゃん”派の私が、これを「良し」とするかどうか……。
 確かに効果的なのが分かる。しかしですなあ、これは室内体験であって、実際に転倒したわけではない。道路上でのリアルな転倒で、ほんとうに瞬間膨張するの……? 身体のダメージはほんとに避けられるの……? エアブーストを着て走る違和感はどうなの……?

 大将の家康、ではなくヒョウドウプロダクツ社長は、きっと私がこんな問いかけをするにちがいないと、あらかじめ策を練っていた。それは、全日本ロードレース最高峰クラス「JSB 1000」のHYODレーシングスーツ契約ライダーである関口太郎選手を最初からこの会議室に呼んでいたのである。社長いわく、「彼は転けまくってるので、なんなりと質問をどうぞ!」だって。

 ほ〜〜〜なるほど、最強の助っ人なわけだ。では重箱の隅を突っつくように攻めてみよう。真っ赤なペアスロープジャケットを貸してあげた「赤備え」の助っ人、八重洲出版五十嵐部長と共に。。。
 


筆者の瞬間膨張を見て笑う五十嵐部長……攻撃、大丈夫かな?



「どこからでも攻めて来なさい」、、、と笑顔で余裕たっぷりの関口レーシングライダー





※HYODエアブーストの発売は6月下旬ころだそうです。
ペアスロープで販売するか?・・・こういうのを「ひとのフンドシで相撲を取る」と言いましょう。筆者はまだ納得したわけではありませんので、まったくの未定です。
第3話 おしまい







家康の四天王であった井伊直政(メニューページの銅像)の軍は「赤備え」で武装していたが、赤備えの元祖は武田信玄の最も強い武将と言われた山県昌景(やまがた まさかげ)の軍が有名。家康は浜松城の北西(ヒョウドウプロダクツ本社の北西約5キロ)の「三方ヶ原の戦い」で山県軍に惨敗し、恐れおののき浜松城に逃げ帰っていた・・・恐るべし、武田軍の「赤備え」!


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