58番 仙遊寺山門

第八回 菩提の道場編 その三 一日目

二輪で遍路旅は、後半の追い込みに入っています。今回は寺と寺の間が短いので、お参りする寺の数を稼ぐ予定です。果たして順調に愛媛の巡礼を終え、最後の香川に入ることができるのでしょうか?


 昨年秋から始めた「二輪で・・・遍路旅」。今回で8回目。ホントに長く続いてしまったものです。

 さて、遍路旅をしていると、同じく巡礼をしている方々と頻繁に出会います。バス旅行の団体の方々、自家用車で巡っている方、僕と同じく二輪の方、自転車の方、公共交通機関を使われる方、そして”歩き”の方。
 また旅の手段だけでなく、1〜88番まで通しで巡礼される方と、そうではなく、何回かに分けて回られる方、といった期間も人により異なります。

 巡礼される方の中で一番尊敬されるのが、「通しで歩き」の人。実際、ここ愛媛まで来ると、自分がバイクでたどってきた長い道のりのことを考えると、”歩き”の方々をホントに尊敬せざるをえません。

 「歩くって辛いんだろうなぁ」と思って、”歩き”の人の話を聞くと、みんな一様に”吹っ切れていて”楽しんでいる様子。乗り物を使う僕らには解らない世界がありそうなのです。なんだか、その爽やかな顔を見ていると、苦行を乗り越えて来た方を羨ましく思えることもあります。

 今の僕はとても”歩き”は真似できないのですが、でも二輪は車の旅とは違い、”歩き”に近い疑似体験ができるのかな・・・。ということにも最近気が付いてきました。ここにきて、二輪で遍路旅とは如何なるものなのか、見えてきたような気がしました。


49番浄土寺。本堂は、室町時代の建物。江戸の昔の落書きがあるとの事。
50番繁多寺。松山市内を見下ろす場所にある寺。
道後温泉にほど近い51番石手寺。観光客でとっても賑やか。
 
 今年の8月は例年にない猛暑・・・。四国地方は真夏日が何日も続いていたのでした。天気は晴れて、写真を撮るには安定していていいのですが、こう暑いと、絶えず水気をとり続けないとバテてしまうのです。

石手寺に着くやいなや、門前の「五十一番食堂」で、焼き餅とミルク金時を頂きました。餅は1個70円。





石手寺は、あたかも仏教のテーマパークのあり様。国宝の山門に始まり、大きな五鈷や地獄を表した回廊、地下洞窟、八十八カ所の寺の砂を集めた袋など・・・。しばらく楽しめます。

 今日は、58番仙遊寺の宿坊に予約をしていて、夕方5時までに、そこまで行かないと、また逆戻りしなきゃならなくなってしまいます。というわけでいつもより急いでお参りしています。

52番太山寺。松山港近くの小高い山の中腹に位置する寺。
53番円明寺。集落の中にひっそりと佇む寺。キリシタン灯籠が境内に。
54番延命寺。もともと53番と同じ名前だったのを明治時代に改名して今の名前に。
55番南光坊。今治の街の真ん中に位置する。八十八カ所中、唯一「坊」の付く寺。
56番泰山寺。水害の多いこの地を鎮めるため建てられた寺。
57番栄福寺。海難事故や病気の治癒を祈願する人が多い寺。
58番仙遊寺。宿坊完備。境内から温泉が沸く寺。

 初日は、49番から58番の10カ寺を駆け足で巡りました。こんなに急いで回ったのは、最初の徳島で14カ寺回って以来の事。
 最初から宿を決めていたので仕方ないのですが、慌ただしい回り方は、あまり楽しいものではないですね。
 今日出会った歩き遍路の方がこうおっしゃっていました。「同じ様な寺でも、柱や屋根、建物一つ見ただけでも大きく違うものです。そんなことを探す余裕があると楽しいですよ・・・」
 僕にはまだまだ、巡礼の本質が見えていないようです。

仙遊寺の宿坊に泊まったワケは、この精進料理が目的。野菜や豆腐が材料ながらも、見た目や味が少しずつ違うので、飽きずにおいしかったのでした。夏バテ気味の胃腸にも良かったです。






おまけ・・・その1
この秋・冬モデルからラインナップに加わった「鹿屋島」を持ち込んだのですが、今回は汗でベトベトになりそうなので使わずじまい。素材は、1.4mm厚のニュージーランド産鹿革。着けていることを忘れさせるほど、柔らかいのが特徴。



おまけ・・・その2
52番太山寺にある、かつてあった三重塔の礎石を、たわしで擦ると、痔が良くなるとか。昔の人もこんなおまじないを信じるなんて、さぞかし苦しんでいたんでしょうね。(僕もわかる・・・その気持ち)


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