長い長いゴールデンウイークも終わったある日、ペアスロープから四国工房に一本の電話がかかってきました。声の主は店舗スタッフの池田(店頭で見かける方も多いと思います)。

 池田 「冬物グローブの打ち合わせで工房に行きたいのですけど・・・」
 尾原 「別にいいよ。飛行機? JR? 迎えにいくよ。」
 池田 「徳島行きのフェリーにバイク乗せろって言われてまして。」
 尾原 「えっ 四国ツーリングでもすんの?」
 池田 「次の日、鹿児島まで走って来いと言われてまして・・・。」
 尾原 「はあ?」

ウインターグローブのインナーと防水・透湿フィルム

 彼によると、親方(三橋)がツーリング紀行「薩摩編」が作りたくなったので鹿児島に行くのだそう。でも、東京〜鹿児島間はバイクで行くには、あまりにも遠すぎるっていうので、思いついた名案がコレ。
 鹿児島までの往きは池田に任し、ついでに四国に寄って冬物グローブの打ち合わせをして来いっていうことなのでした。
 さらに過酷なことに、池田はのんびりと九州ツーリングを楽しむ時間も無く、鹿児島に着いた翌朝、三橋と入れ違いに、東京へ強制送還というスケジュール。

 で・・・僕は・・・というと、生憎というか幸いというか、この週のスケジュール表は真っ白なのでして、またまた無理を言って「長州編」に引き続き、九州「薩摩」行きに混ぜてもらうことになりました。

 電話から3〜4日後、本当に池田がやって来たのでした。

池田が四国に来てから、最も大事なウインターグローブの打ち合わせをしました。今年のテーマは「操作性を求めた美しいグローブ」が良いのではないかという共通見解。真面目に試作に取り組んでおります。


 そして、次の日にいざ鹿児島へ向けて出発。総行程600kmの道のりです。朝5時出発なのですが、出鼻をくじくようなあいにくの雨模様。


出かける途端に、前の日には降っていなかった雨がシトシトと。この日の走る距離を考えると泣きたくなる気分に。ちなみにこの時に合羽を着ていなかった池田も、10分後に着用したのでした。

自宅から四国の西端、三崎までは高速を経由して約3時間。道中もちろんずうっと雨。池田自慢の新調した革ジャンも写真に撮れるのは九州四国間のフェリーの中だけでした。

雨が降ると地図が濡れるので、二人とも地図を見なくなり、注意力も散漫になります。その結果、道を間違え、立ち往生の憂き目に合います。九州上陸後、大分県山中にて。

 そういえば池田とは、ここ何年もの間、一緒に仕事をしているのですが、なぜか連れだって走ったことは一度もありません。本当は日頃のストレスを発散させるがために、共にブンブン走りたかったでしょうが・・・。
 ましてや池田は親方の借り物バイク。例え転んでも、自分が傷つこうとも、バイクに傷を付けてはならんのです・・・。



旅はまだ続く