2003年 3月 文・写真 三橋 (1ページ完結)

3月29日、ライダースクラブ誌主催のライディングパーティー 「ツインリンクもてぎ」 サーキット走行会に息子と二人で参加した。 目的はペアスロープ20周年を向かえて、本格的レーシングスーツ・ブーツ・グローブの開発。という名目で会社を休むが、単にライダースクラブ誌の中島・山下両氏と勝負したかった為のウソ。でも、グローブくらいは、と近所のグローブ屋JRPショップから最新のモデルを開発と称してだまくらかしゲット。 ・・・こんなインチキをするからバチが当たるのだが、、、。



 息子はアプリリアRS-250、俺はGSF-1200を持参。当然、革ツナギはペアスロープ製(といっても息子は倉庫にあった15年前の既製品、俺のは20年前に作ったフルオーダー・・・共にサイズ的にも強度的にも賞味期限切れ)。
 朝9時から夕方4時までのこの走行会は、3つのクラスに分かれ、息子に走り方を教えるためにややハイペースの中間クラスで一緒に走る。午前中の2回目の慣熟走行が終わり、フリー走行に切り換わるとコースイン約60台が全開。まわりはドカティー748,996,998が多く、コーナリングスピードではGSFなどかなわないのでブレーキング根性勝負。ストレート約220km/hから約60km/h(減速時の速度は確認する余裕なし!)を繰り返すのだが、ほんの2〜3周でリヤブレーキがフェードをおこしGSFペースダウン。すると、今やチョットのハンディーでも息子に抜かれてしまうが、それにしてもなんちゅうショボいブレーキだ(メンテ不良か?)。そしてRSの軽い車体に70馬力エンジン、深いバンク角にモノを言わせ(ついでに怖いもの知らず)、ドカッティー軍団を追い回し、追い抜いていく息子。。。
 
 5回目の走行前、ライダースクラブ中島氏と立ち話 「後ろについてったんだけど、息子さん、いい開けっぷり、寝かせっぷりですねぇ。でもリッターバイクだったらたぶんコケてるんだろうなあ」 「うん、調子こいてっからなぁ、サーキット経験まだ2回目なのに、、、。」 
 的中・・・リッターバイクじゃなくてもその直後、転倒 !

「ツインリンクもてぎ」4.8kmのフルコース。そのメインストレート手前のビクトリーコーナー立ち上がり、俺の真ん前であえなく玉砕。速度は60〜70km/hだろうか、4回転ほどでんぐり返ししていた。

無残な姿のウインカー。その上、ラジエターが圧迫されクーラント冷却水まで滴り落ちている。
ドロと草が入り込み、まったく動かないスロットル。ブレーキレバーは根元からポッキリと折れて無い。リアブレーキも当然破損。完璧にお手上げ。
自走して帰れるはずもなく、困りはてている息子。
もう笑うしかない。。。

アプリリアRS-250は息子に貸しただけで、まぎれも無く俺のバイク。
2サイクルのその美しいスタイルに惚れ、手に入れたのだが、、、、、
カウル、キズだらけだし、重症だし。嗚呼・・・



ピットでこれからどうやって帰るか悩んでいると、ライダースクラブ山下君がニコニコしながらやって来た。
「このバイクからパーツ盗っていいっすよ!」 おっ、排気量はまったく違うけど、同じアプリリアの「ミレ」ではないか。確かにブレーキもウインカーも共通パーツ、これで生き返る。ありがとう、いいやつだな、山下君。
「ところでこのバイク誰んだい?了解得てるんかい?」
「上司の中島のっすから、今いなんでどうぞどうぞ」

ライダースクラブ編集部の方々に修理していただきRS-250は無事生き返った。そして「ミレ」は不動車に、、、。

やがてやって来た中島氏 「・・・ブレーキが、、無いっ!」
奥にGSFとクラッシュRS-250、手前は中島氏のブレーキレバー無しの「ミレ」。このバイクは4月の東京モーターサイクルショウ展示車両だそうで、このままの姿で展示するんだろうか? ゴメン。そしてありがとう。

 ああ、そうそう、幸いにもグローブの実践クラッシュテストができた。グローブ屋JRPに詳しい資料データを伝えよう、きっと良いグローブが出来るから。その見返りに、アプリリアの修理請求書を渡してあげよう。
 (たぶん断られるのでペアスロープ グローブ作りの資料となるだろうが)

ではちょっとだけ裏読者に。(基本的なことだけどね)
甲側はまったくの無傷。人間って、転んだ瞬間、無意識のうちに手のひら側を地面に着いて体を防御する。但し、サーキットでのハイサイド転倒は甲側のパッドが役立つだろう。 やはり手のひら側に転倒時の損傷が多く見える。グレーの部分のパッドは荒い紙やすりで削ったようなアトが残り、親指の付け根に縫製切れと革の削れキズ多数あり。

グローブ選びは甲側のパッドばかりにとらわれず、
良い材質と手のひら側の作りに注意 !!


 まあ、幸か不幸か、遊びだろうがなんだろうが、こうして少しずつより良い製品が生み出されてゆくのです。・・・って、ぜったい信じてくれないでしょうね。動機が不純だから。
でもその2ヵ月後、上記経験を基に弊社20周年記念限定としてスペシャルなグローブを作る。


おわり


「THE 転倒」は連載ではないので、これで完結。の予定。いや、今年あと2回ほどサーキット参りするんで連載になるか、な?・・・「THE 転倒U」な〜んつってね。
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