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二輪家族 その昔の映画、山田洋次監督の“家族”を思い出す。九州の炭鉱を辞め、何昼夜も鉄道を乗り継ぎ、その間の苦難を乗り越え北海道に向かって酪農をめざす家族の物語である。我々家族も鉄道で北海道に向かうことは同じだが、映画のような苦難はないし、しかも、酪農ではなくお遊びのツーリングである。 今回は、私と妻、大学2年の息子、そして高校一年の次女の4名。次女はこのツーリングに合わせて中型免許の教習所にかよっているが、混んでいるため予約がままならず出発日までに免許は取れなかった。しかたなく道内タンデムとなる。実はもう一人長女がいるのだが、北海道にはまったく興味を示さない典型的な女子高生で留守番。妹といっしょに中型を取りに行けといっても、これまた興味なし。困ったものだ(世間の家庭では女子高生が中型免許など許さないだろうから、我が家庭は逆か)。 しかし、なぜバイクの旅なのに鉄道での渡道になるのかと言えば往路のフェリーのキップが取れなかったからである。いや、意図的に取る努力をしなかったと言う方が正解か。 近年、何の影響か台風の上陸が多く、その時期も早まっている。もし、往路のフェリーが欠航すれば、その後の渡道計画はご破算になる。陸走りという手もあるが、タンデムの場合は遠慮したいし。 ということで、苫小牧まで潟gーリクのバイク配送を利用した。そして鉄道利用なら、よほどのことでない限り、台風による運休の確率は低い。ただし、渡道の費用はバイク配送、電車賃含めて5万数千円と高額。フェリーの約3倍は非常に痛いが、計画ご破算はもっと痛い。台風の保険と思えばいかなるものか。 |
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男は鉄道 8月6日東京駅23番ホームで東北新幹線「はやて17号」を待つ。本来は上野を夕方に出る寝台特急「北斗星」で苫小牧に向かうはずだったが、キップが取れず特急列車三本立てになってしまった。えっ、飛行機ですかぁ? ビュ〜ンとたった1時間半で着いてしまうような乗り物では旅情が湧きませんな。 新幹線「はやて」は13時56分、東京駅を滑るように走り出し、上野、大宮と各駅に止まり、いたってドン速。しかし大宮を出るとグイグイと加速し、仙台、盛岡、そして終点の八戸と最高速度275km/hでつっ走る。東京〜八戸間631.9kmを2時間59分だから、表定速度210km/h。これは都市部のドン速や停車時間を含めてだから、実際、大宮以北で走っている速度はほとんど240km/h以上。もし、高速道路に制限速度がなかったとしても、これではハイパワーバイクも太刀打ち出来ないだろう。 八戸で「スーパー白鳥17号」に乗り換える。「スーパー」と名がついているが、「安い」といった意味あいではなく、通常の特急より速い、スーパーマン的と言えば理解できよう。なおJRグループはなにかと「スーパー」と付けたがるようで、他にも、「スーパーひたち」「スーパーくろしお」「スーパーあずさ」などがある。ちなみに次女あずさは、中央本線を走る「あずさ」から名付けたことは言うまでもない。 スーパー白鳥は、三沢、青森等、こまめに停車し、53.85kmの青函トンネルを最高速度140km/h、24分ほどで通過する。陽が暮れて、津軽海峡のイカ釣りの漁火を眺め、函館に近づくと、脳裏のなかで唄っているのは、北島三郎「函館の女(ひと)」(古い!)。 函館に到着し、今夜の宿は、駅前のビジネスホテルに直行。まあ、寝る前に街に出て、イカ刺しで一杯呑むことは忘れてないがね。 |
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鉄道豆知識 |
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魅惑のDML、DMF 函館の朝は快晴。駅前には函館名物の路面電車が頻繁に走る。乗りたいところだが、函館発札幌行き「スーパー北斗1号」の発車時刻がせまっているので、駅弁を買ってホームに直行。 7時20分、エンジンの唸りをあげてスーパー北斗は発車。ギアが1速、2速、とチェンジされて加速、3速に入るころには100km/hを越えているだろう。また、カーブで速く曲がれるよう、車両を傾けて走るところなどバイクに似ている。実に好感の持てる振り子式気動車だ。 国道5号線を並走する車やバイクをグイグイ抜いて、八雲、長万部、洞爺に止まると、反対ホームに前夜、上野を出た「北斗星3号」に追いつく。この寝台特急は人気があり、満席で予約できなかった列車だが、結局、苫小牧には「スーパー北斗」のほうが早く着く。余談だが、その「北斗星」を引っぱっているDD51ディーゼル機関車のエンジンはDML-61型、我が「スーパー北斗」のエンジンはDMF-13型・・・弊社ジャケットの品番と同じなのは単なる偶然か。 列車はアクセル全開(正確にはフルノッチ)で、牧場の点在する草原を駆け抜け、苫小牧へと向かう。 |
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鉄道豆知識 |
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苫小牧に到着。SHOEIのヘルメットバッグを下げ、SG-088サマージャケットを着て気動車を降りる。 |
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いよいよ、これからバイクの旅が始まる。 |
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