朝、宿のおカミさんに見送られて、志賀高原を目指す。
 ここからの志賀草津道路は全国でも指折りの景色良いワインディングロード、私の好きな道ベスト10のなかにも入る。
 しかし、昨日までの青空が、今朝はどんより曇っている。いつ降ったのか路面まで濡れている。
 この先、雨は降らないのだろうか。志賀高原の紅葉は美しく待っていてくれるのだろうか。不安を抱きながらぐんぐんと標高を上げてゆく。
2006年10月27日


草津からだいぶ登ってきたが、下界はキリで見えない。



遠く新潟方面の山々に、下から雲が上がってくる異様な状況。





 草津温泉から、およそ20kmの素晴らしいワインディングを走ると、群馬県の県境、渋峠に着く。その道のりは、あいにくのキリと曇り空。路面が乾いていたのがせめてもの幸いだ。
 国道では日本一高い渋峠の標高は2172mだから、草津から1000m登ってきたことになる。気温は7.5度、けっこう冷える。
 こういうところで問題なのがカミさんである。信州でも寒いと言われる佐久の生まれなのに、とにかく寒がり(佐久地方の真冬の朝晩は、日常的に氷点下)。
 スタイリッシュな格好をしているが、実は防寒仕様である。革ジャンの防寒サンステートライナーはもちろんのこと、上下薄手の保温アンダーウエア、ネックウォーマー、PG-30防寒グローブ、そしてホカロン。私のライディング装備とはずいぶんと違う。おそらく体感温度が5度以上は低いと思われる。
※DML-82革ジャン、G-02革パン共に、カラー・サイズオーダー品。

渋峠付近は7.5度。それほど厳しい寒さではないが、、、。

私は、カミさんのPG-30より防寒性能は劣るが操作性が良いPG-28(左)を予備として持参する。しかし、たった7.5度では、結局使わずじまい。 そしてジーンズ。とは言っても、ヒョウドウ社の防寒デニム。私の場合、5度以上の気温ならアンダーパンツすらはかない。
※防寒グローブをあまり使わない理由は、カメラの操作ができない事情もあります。・・・が、いずれにしてもこの程度の気温では、私は不要。 ※ヒョウドウ社防寒デニムは優れモノなので、11月11日より例外的に弊社でも販売します。スソ上げはその場。詳しくは“製品裏情報”ページを。

ホカロン・・・





 渋峠を越えると群馬県から長野県に入る。もう、結果的に“上州 極上の紅葉旅”は終えたのだ。
 しかし、紅葉の奥利根から百キロ以上走っているが、それに匹敵する紅葉は見当たらない。これではちょっと消化不良なので、信州に越境してまでも“極上”を探そう。




 峠から中腹まで下りると青空も顔を出し、白樺の林が広がる。本来、その黄色い葉を付けたその姿も、それは綺麗なものだが、少々時期遅く落葉の気配。残念だ。






 青い空が広がったと思えば、突然のキリ。山の天気は瞬時に変わる。雨が落ちてこないだけでも、これ幸いか。

 信州に入って来たものの、こんな天気では紅葉もあきらめか、、、とワインディングを下っていると、進行方向右側に、キリのなかで薄らいだ赤っぽい色がかすかに視界に入る。
 ん?、、、なんだあれ。 数秒考えてたら通り過ぎた。即刻Uターンして眺めていると、みるみるうちにキリが晴れて、魔法のように太陽が射す。そこに現れたのは、
 ・・・白樺林と赤やオレンジのモミジ。




 今までにも紅葉のモミジは何度も見たが、こんなに色鮮やかな、美しいモミジは生まれて初めてのことだ。
 写真には収められなかったが、キリのなかからぼんやりと現れる光景も幻想的。そして陽が射して青空のもとのモミジは、瞬時に鮮やかな色彩に変化する。・・・燃えているようなモミジ、とはこのことだろう。
 この光景の演出には、白樺林がおおいに役立っている。真っ白な白樺の木々が、モミジの赤やオレンジを際立たせているのだろう。こういったシチュエーションの紅葉は、そうやたらにあるものではない。
















カメラ、2台あるのに、ケイタイで撮らなくても、、、。
(一眼カメラあるのにそれをIXYで撮る筆者)





 志賀高原の極上のモミジを皆さまにお贈りしたが、写真に収めた画像と、現実に目で見た実像とは異なる。今や実像は頭の中での記憶でしかないが、やはり違う。
 なんと表現したらよいのだろうか。たとえば、旨そうな料理の写真がある。誰しも「旨そう」と思うだろう。 でも実際にそれを食った人は「旨いっ!」なのだ。「旨そう」と「旨い!」の違いが写真と実像の違いだ。分かるかなあ、分かんねえだろうなあ。(古い!)

 “百聞は一見にしかず” ・・・こんなヒマ人のツーリングサイトばかり見てないで、皆さんもバイク旅にどんどん出て、この目でニッポンの美しい風景に触れ合ってみてはいかがだろうか。 その時、なにか弊社製品をご愛用いただけたなら幸いである。
 
2006年11月8日 記 三橋弘行






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