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 カミさんとのビギナークラス走行は平和に終わり、またレーシングスーツに着替えてフリー走行に備える。なんだか忙しい思いをしているのは、サーキットで革ジャン姿の走行シーンを記録しておこうと、坂上カメラマンが撮っているためだ。その数々の写真は “革ジャンの魅力” ページの中の “サーキットの革ジャン” でたっぷりとお見せしよう。
 おっと、松下のBMWのバッテリー交換が完了していた。で、“レース参戦者クラス”で走るのかな、と思いきや、こちらに近寄ってくる。
 「ヤアヤ〜、たまにはクラスのレベル落として、いっしょに走ろうと思ってね〜。まあ俺様のペースに着いて来れないだろうけど、泣くことはないからねぇ〜」
 国宝級にクソ生意気なヤローだ。さっきバイクをバラしてたすきに、ティッシュをエアクリーナーにしこたま突っ込んでおけばよかった。
私のGSFのタイヤ。上から3番目程度のグリップグレードは、立ち上がりでやや滑るが、心地よい滑り方で不安感なし。なお、公道の場合はサイド5mm残しが私の鉄則。


R1やCBR-RRといったスーパースポーツ系がいちばん多い。10年以上経過した我がGSFや、息子のツーサイクルR1Z-250、もっと古いダイスケのBMWは、ごくごく少数派。


二人の学生を引き連れ、生意気な松下がコースイン。レーシングスーツには、これまた生意気にも、スポンサーのワッペンまで付いている。



 松下の言うことはもっともだ。ヤツは毎週のようにサーキットを走り、毎月のようにレースに出て、先月のBMWのワンメイクレースでは、このサーキットのコースレコードを更新し(またやぶられたが)優勝までしている。
 いっぽう私はといえば、ここ3年間で4回、しかも走行会のみ。これじゃあ走る前から勝負にならない。・・・ならないのは十分承知なのだが、そう易々とあきらめるわけにはゆかない。そんなの私の“意地”が許さない。今日はいつもより気合い、入ってます。
 コースインの直前、古いBMWのダイスケが寄って来た。
 「あのぉ〜、抜けたら抜いていいっスかぁ? このGSF〜」
 「えっ? ナニ言ってるか聞こえネエなぁ〜」
 聞かなかったことにしてやろう。でも、もし、もし万が一、偶然にも、ダイスケや息子に抜かれたりしたら、もう立ち直れないだろう。そん時は頭をボウズにして、練習して出直そう。




 1周目はタイヤあたため走行、2周目からスロットルワイドオープン!
 ダイスケ、息子、私、松下の順に走る。まずは息子の後ろに着くが、ストレートではいくらボロっちいBMWとはいえ、排気量4倍のダイスケ号に離されてゆく。後ろでオイルかぶるのもイヤだし、すぐにパス。
 ダイスケの真後ろに着く。こいつはイケイケの走りだ。ステップやらヒザのバンクセンサーやらをガンガン路面に押し付け、ブレーキングではリアタイヤに白煙を出しながらロックさせてコーナーに突っ込んでゆく。もうこちらが冷や冷やもんなので、これもパス。
 お〜っとぉ、松下が後ろにいることを忘れていた。


さて問題です。これは私(GSF)が松下のインを刺しているのか? 松下がアウトから私を抜き去ろうとしているのか?
・・・それにしても松下め、フルバンク状態でこんなに近づきやがって、左手ちょいと伸ばして、キルスイッチでも切ってやろうかと思った。 答えはこちら>>




 松下とのお遊び並走シーンの直後、あのインチキ松下は意表をついて先行、それを猛然と追う。
 松下の作戦は分かっている。4800mの1周目で、視界に入らなくなるまで私を引き離し、あとでピットに戻ったら鼻高々に「俺様について来ようなんて100年早いっスねえ!」 な〜んて言うにきまってる。 ・・・そうはいかねえんだよお、クソッタレ松下〜!
 レース慣れしている松下は、コーナーのライン取りが上手く、やはりコーナリングスピードはヤツが上。ならば、パワーで上回るGSF、立ち上がり加速とストレート最高速、そしてブレーキング根性勝負で挽回する。1周14あるコーナーの立ち上がりごとに、「マツシタァ、コノヤロー!」 とスロットルワイドオープンする俺であった。
 しかし奮闘むなしく、追い越すことなどまったく不可能。2周を全力で走って30〜50m差をキープするのが精一杯という結果である。
 「な〜んだ、後ろにいたんなら知らせてよぉ、万が一にも抜かれたら、一生言われ続けることになっちゃうんだからさぁ。まっ、全力で走っちゃいなかったけどねっ!」
 そう、確かに全力ではない。でもストレートで伏せてなかっただけじゃねえか、バァ〜カ、、、。
 やはり、クソ生意気なヤローだ。


 


 いやはや、ちょっと大人気なかっただろうか。
 でもねえ、たまには仕事を忘れて、頭を真っ白にして、ただひたすら熱く走るのもいいもんだ。公道でこんなことしたら墓場も近いからねえ。
 ほんとうに楽しいんだよ、サーキット、、、。

 そうそう、レーシングスーツを買ってまでサーキットを走りたかないや! って人に、2006年11月現在、ヒョウドウ社と協力(競争?)して、ツーリング兼用のツーピース革ツナギを企画進行中。もしそれが完成したら、一着で二度おいしいウエアになるでしょう。気長にご期待を。
 ではまた。。。



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