[ 後半 ] |
(マン島5日目:6/8金曜) いよいよ100周年のマン島TTレースも、この日の“セニアTT”クラスでラストレース。セニアが終わった後は、著名なゲストライダーや往年の名ライダーのチャンピオンパレードが行われるのみとなった。 俺は、ずーっと行きたかった超有名なジャンピングスポット「バラフ・ブリッジ」でレースを観戦(取材)することにした。 いや〜 2回目なのに今更ですが、ナマでジャンピングスポット見ちゃいましたよー!! 凄いですッ! 大感動でした!!(笑) って言うか、あいつらマジ“アホ”ですな。 このレース中に優勝したJマクギネス選手が、2週目にコースレコードを更新した! この記録が島中に流れているラジオ放送局「マンクス・レディオ」で流れた瞬間の地鳴りのような歓声は本当に凄いものだった。そして彼はTT史上初めて平均速度130mph(209km/h)を突破、17分21秒99を叩き出し彼自身13回目のTT勝利を挙げた。これは、ジョーイ・ダンロップの26勝、マイク・ヘイルウッドの14勝に次ぐトンでもない記録だ。 2006年にハットトリック(3勝)を挙げているマクギネスという34歳のライダーは、来年もしかしたらヘイルウッドの記録を塗り替えてしまうかもしれない。 ちなみに、オレ自身が、昨年ドノーマルのCBR600RRで早朝に頑張ってみたタイムは(もちろん対面通行ですよ)約30分。さっきも言ったけどクルマで流すと約60分。それを考えると驚異的なラップタイムなのが解っていただけるだろう。ハッキリ言って、俺達がよく知っているGPやWSBKの一線級のライダーは全く出ていませんし、名前を聞いても知らないライダーばかり。それでも心躍るのが「マン島TTレースだから」なのかもしれませんね。 マジな話、悪い事は言いません。バイク好きは全員、マン島TTレースに行くべきです。最高に楽しめること請け合いです!! ただし!“危険”という2文字は、目を背ける事のできないマン島TTレースの持つもう一つの側面だ。島内で、TTレースに反対している方々も当然居るし、様々な論議が有る事も承知しているつもり。ただ、この島にはモーターサイクルファンを引きつけてやまない“何か”が有る事は間違いない。毎回、こういった原稿を書かせていただく時、おことわりさせていただくのだが、僕自身がTTの在り方について論じるつもりはない。ただ、ありのままを伝えたいとは思っている。 屁理屈かも知れないが、システマチックにショーアップされた、クローズドサーキットで行われるワールドGPも良いが、TTは島に入りさえすればスタンド以外殆どが無料で観戦できる。しかも、場所によってはホンの数メートル先を時速300キロ近いマシンが唸りを挙げて駆け抜ける“非日常”の世界は、俺の大好きなバックカントリー・スキーにも通ずる妖しいトキメキが、危うさと共存している事を俺はどうしても意識してしまう。エベレストを目指す登山家、より深く潜ろうとするフリー・ダイバー、年々危険度を増す3Dエアが許されたワールドカップ・モーグルも我々をドキドキさせる大きな魅力を持っている事は否定できないと思う。 しかし・・・ 今回は、最終日のセニアクラスの中団グループでのクラッシュが、あろう事か十数年ぶりに観客を巻き込む最悪の死亡事故となってしまった。その他にも、一方通行のマウンテン区間で一般のライダーが亡くなっている。 毎年、特にこの季節になると「存続危うし」と報じられるマン島TTレース。しかし、競技者も観戦者もボランティアのオフィシャル達も、このレースに関わる全ての人々が、このレースを愛する思いと共にまた此処に集まるんだ。 来年も101回大会がきっと開催されるだろう。そのスタートを待つ列の中に何人の日本人が並ぶのだろうか。俺も、いつか競技者としてこの列に加わりたいという夢は持ち続けるつもりだ。そんな事を思いながら、100周年のTTウィーク最後の「チャンピオンズ・パレード」をパーラメントスクウェアでぼんやりと眺めていた。 ちなみに、チャンピオンズ・パレードには、唯一の日本人優勝者、スズキの伊藤光男氏。イギリスで絶大な人気を誇る、芳賀ノリユキ選手とか、色んな有名人が走っていました。あ、パドックにはケビン・シュワンツ氏もいたな。 |
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