2007年3月5日 記
◆レポート:松下ヨシナリ
  写真:坂上修造/三橋弘行

 みなさん、新製品のページでご覧になった方も多いと思いますが、いよいよ俺、松下流革ジャン【PSP-3】が世に出る事となった。

 このコーナーでは、散々脱線話を自分勝手に展開してて、いかにも「突然」に、出来上がったように見えてしまうかもしれないが、水面下では、夫婦坂オヤヂと試作段階から随分と意見を戦わせていた訳なんです。
 そして細部に渡り「俺」と「夫婦坂オヤヂ」の両者が考える革ジャンとしての“超高速モデルの俺の理想形”を具現化したものが、このPSP-3に集約されている事は間違いありません。


 さて先日、関東某所でペアスロープ・カタログの撮影が行われた。
 今回のモデルは、夫婦坂オヤヂ、オヤッさんの奥さん、長男のユウ、高校3年のお嬢さん(この家族4名全員大型二輪)、そしてオレ松下というメンバー。おいおい、シロートばっかリじゃねーかよ!!(笑)
 ちなみに俺だって、最近ではモデルの仕事も増えてはいるが、ハッキリ言って数年前の酒席で「オマエやれ!」とオヤッさんに言われただけの、インチキモデルである。

 撮影はビッグマシンなどでお馴染みのプロカメラマン坂上修三氏。 なんちゃってモデルの俺達をいかにもカッチョ良く切り取ってしまうのだから、やっぱりプロは凄い。
 蛇足だがカメラマンがもう1人。かの夫婦坂オヤジである。彼はいつも「おれぁシロートカメラマンだ」と言っているが、そこは製品のプロデュース&製作者。プロに限りなく近いレベルの写真を撮る。これは、製品と被写体に対する“愛”なのか?(笑)
 ちなみに、彼の使用するレンズなどの機材は「最高レベル」と付け加えておこう。プロと同等な高性能レンズ等を駆使して撮影を楽しんでいる(ように見える)

 撮影は終始、和やかな雰囲気で行われる。というか、ワイワイと井戸端会議よろしく、あっちでカメラ談義するプロとアマチュアカメラマンが居るわ、まるで同年代の様に笑い合う母娘も微笑ましいかぎり。ただ1人、何度撮影を経験しても緊張感でガチガチのユウを除いて(笑)
 このユウは某大学院に通う若者だが、「じゃ、向こうから歩いてきて」という修三カメラマンの指示に緊張しすぎて、手足が同時に出たりする始末(笑)。コレには一同大爆笑! おいおい、だく足歩行のラクダさんじゃないんだから! な〜んていうツッコミにも表情ひとつ変えない。肝が据わってるんだか無いんだか(笑)
奥さんと、この春に大型二輪免許取りたてのお嬢さん。




長男坊のユウと俺。




撮影中はニコリともしない真面目な(ように見える)坂上カメラマン。




「右足を出したら、左手が出るんだぞ、、、」

俺を拝んでいるような格好で撮影中の坂上カメラマン。

で、、、写真はこうなる。


 兎に角、俺にとって、ペアスロープの撮影は仕事の枠を越えた“楽しさ”が満載だ。
 「コットンジャック」の着心地の良さに驚き。「スウィングジャック」と「レザーパンツ」の相性の良さに“粋”を感じ。寒風の中「メッシュジャケット」の撮影にブルブル震えた(笑)
 手前味噌だが、この素敵な雰囲気の中、「良い写真が撮れないわけが無い」素直にそう思ってしまう。

 肝心のPSP-3。この原稿を書いている時点で、もう既に数回のツーリングにテスト使用した。今年は記録的な暖冬でお困りの方も多いと思うが、モーターサイクル業界で考えると、ブルブルと震えながらバイクに跨ることも少ないので、とても助かる。

 ソデを通して、最初に感じるのは「腕回りの可動の軽さ」だ。
 脇から腕までに配された、ケブラー繊維のニットがモノ凄く効いている。このHYODさんからカツアゲ(ゲット)してきたケブラー繊維は、同社のレーシングスーツと同じモノを使用している。
 肩のアウトパッドは、ベースモデルのG-310Dのものとカタチが若干違うことに気付いただろうか? この辺りにも手を抜かない、ニヤリとさせるコダワリがあるのだ。
 肩と胸に配されたチェッカー柄と「PSP-3」のロゴは、革を切り出して、ひとつひとつ丁寧に縫い付けてあり、まるで職人さんの「どうだ! 凄いだろうッ!!」という声が聞こえてきそうだ。「大変なんだよぉ〜」という声も聞こえてきそうだが・・(笑)

 インナーパッドは、HYODさんのハードパッドは使わず、フェルトパッドを採用した。
 何故? 俺は一回に千キロ以上走るようなロングツーリングにも年に1回出掛けているが、ハードパッドは個人的な見解を言うと「邪魔!」もちろん、安全性うんぬんという意見もあろうが、正直「転んだらイタイのは当り前」もちろん、クラッシュの度合いにもよるが、不幸にも致命的な事故に会った時は、レーシングスーツレベルのプロテクションが必要となるし、正直、そこを追いかけて、この「理想の革ジャン」を企画していない。究極の安全性と運動性を求めるなら「PSP-1」の様な2ピーススーツか、レーシングスーツを着用して出掛ければよろしい。実際、俺自身もショートツーリングの際に、革ツナギで出かけることも多い。
 大切なのは、自分の装備とマシン、旅のフィールドと使い勝手をイメージ、シミュレーションし“最適な妥協点”を見いだして走りに出かけるコトじゃないだろうか。つまり、今回のモデルの「使用フィールド」と「俺の使い方」を考え、敢えてハードパッドは採用しなかったって訳なんです。・・・とは言っても、PSP-3のフェルトパッドが並の強度ではないことを付け加えておこう。

 なお、「超高速対応モデルゆえ、街着には全く適さないぞ!」
 とは、夫婦坂オヤヂの言葉。でも、俺は電車で移動するときも、普段でも、このPSP-3を着るよ。だって、単純に“格好いい”じゃないですか!
 まぁ、コイツを着て、電車の吊り革に掴まってる俺を想像すると、ちょっと微妙ですが(笑)、そっか、電車はヤメるかな・・・
着心地よさそうなコットンジャケットを着るユウと、PSP-3革ジャンの俺。




脇の下、ヒジ内側にレーシングスーツ用ケブラーニットを使う。これで、より動きやすい革ジャンとなる。




夫婦坂工房自慢の縫製。「手間惜しんだら、いいもん出来ねえ!」の見本。




右の奥さんが着てるのは、PSP-3の兄弟分、ナイロン製のPSP-2。値段は4分の1以下!だけど、やっぱ革のほうがカッコいいのである !!

ゼファーは夫婦坂奥さんの、R-6は長男坊ユウの。

 さてさて、「俺の革ジャン」PSP-3が世に送りだされたわけですが、こうなると人間欲が出てくる。オヤッさんが許してくれれば、更に第2弾、3弾の「オレ流革ジャン」を企画したいという野望はある。俺自身が「夫婦坂工房の新しい風」になり得れば、本当に幸せだ。

 あれ? なんか忘れてる。
そうそう! この革ジャンに合う、“オレ流革パン”が欲しいぞ!
 またオヤッさんに提案してみよう。イッパツ却下されそうだが、根気よく説得すればなんとかなるかな。と、言うわけでこのコーナー、まだ続きます。気長にお付合いください。
暖冬とはいえ、2月にフルメッシュウェアの撮影はとっても寒〜い。


 最後に! この抜群に目立つ「PSP-3」着用の俺からお願い。
 旅先で、このウェアと出会ったら(気付いたら)、親指を立てる「サムアップ」をよろしく! ピースサインが絶滅の危機に瀕している昨今。そんな通じ合い方も“粋”だと思いませんか? 是非よろしくお願いします!!
 もちろん、「俺」を判別できたら、気軽に声を掛けてください。見知らぬ者同士、旅先で革ジャン談義に花を咲かせるのも、また一興というものです。

 なんだか夢が広がりますねぇ。この春、新しい革ジャンに袖を通し、何処に出掛けようか。




“俺の革ジャン・・・” 脱線しながらまだまだつづきます。

また近々お会いしましょう。

<< トップに戻る