2006年8月11日

 信州の佐久への最短ルートは関越自動車道・上信越自動車道を経由し佐久インターで降り、3時間ほどの行程。しかし、それでは面白くないので、毎年のようにルートを変えている。今回は天蚕(てんさん:純日本産のカイコ虫)の成虫である蝶(チョウ)をぜひ見てみたいという願望で、安曇野市穂高を経由する。


 中央高速を走る3台、昨年夏と同様にカミさん、筆者、そして女子高生の娘・・・ゼファー750、GSF-1200、エストレア250である。そのエストレアの単コロが問題児、とにかく遅い。先月も穂高を往復、私がエストレアに乗っているが、最高速度130km/h、標高1000mを超える中央高速小淵沢あたりの前後坂道では、こともあろうに100km/hを切ってしまう遅さなのだ。そんな単コロが女子高生を乗せて穂高に向かう。全開で、、、。

全開走行中:小さな娘が、カミさんのデカいウエアを着ると風船のようになる・・・悪い見本。ウエアメーカーとしてジャストサイズを着せなければイカンと思うのだが。


穂高に着くと昼時。当然、蕎麦でしょう。しかしなぜか娘はソースカツ丼。。。 山菜も、きのこも、新蕎麦も、季節外れの夏。味を堪能したとまでは言えない。


先月も訪れた天蚕飼育畑。ネットは外され、あのきれいなライムグリーンのカイコ虫も、その繭もすでに見られない。


 天蚕についてをここで語ってしまうと、それはもう恐ろしく長いことになってしまうので、もし興味が湧いたら別サイト“絹の道”(メニューページ)をあとで見てほしい。

 さて、先月にお会いした天蚕農家の古田さんと、安曇野市経営の、ここ穂高、天蚕センターで待ち合わせ。いよいよ天蚕のチョウを特別に見せていただく。
 そのチョウ、地元農家でそう呼ばれているが、実は“蛾”(が)なのだ。私のような第三者はカイコ、、農家では“おカイコさん”というように、敬意を表して“チョウ”と呼んでいるものと思われる。しかし、あれほどに美しい色合いの幼虫(イモ虫)は、かつて見たこともなかったし、その幼虫の出す“繊維のダイヤモンド”と呼ばれる絹の糸もこれまた美しい。はたして成虫はいかなるものだろうか、、、。
天蚕の幼虫:とにかくでっかく、綺麗で、そして可愛らしい。


 子孫を残す為のカゴに入れられた雄と雌。まずは両翼18cmもあろうかと思われるその大きさに驚く。チョウとして見れば、より美しいのがたくさんいるが、蛾として見ると、これほど綺麗な蛾にお目にかかったことがない。そして羽に描かれたような模様、そう、これはモスラの成虫が頭に浮かぶ(モスラとカイコの違いについても“絹の道”を参考に)。
 来年もまた、このチョウの生んだ卵がかえり、綺麗な幼虫が育ち、繭を作るために美しい糸を出すにちがいない。そして絹織物となって人を着飾る。ここ穂高でも伝統的な“有明紬”(ありあけつむぎ)という絹織物がある。
 ・・・どうです、あなたも一着。でもリッターバイクよりかなり高額ですがね。※天蚕糸は、いわゆる白いカイコの家蚕(かさん)糸とは比較できないほど希少で、100倍?ほど値が張る。
 

安曇野市 穂高の天蚕センターでも織られている“有明紬”


絹織物を撮る我が娘。デジタルカメラには興味がなく、フィルム、しかもポジフィルム。プロカメラマンから安く買ったニコンF3-Pだが、室内で、三脚・ストロボ無しで、たぶん写らん! (筆者はデジカメ ISO感度1600に変更して写すが、感度100固定のポジフィルムではボツだろな)


帰りに、天蚕組合長の等々力さん農家におじゃまする。きれいに改修されているが江戸時代からの立派な蔵だ。


蔵の軒下でひと休み。それにしても、キュウリの朝漬けと採れたてのトマト、最高の味であった。



 こうして我ら3台、穂高をあとにし、東に70kmほど道のりの佐久へと向かう。本来なら1泊したい。穂高周辺だけでも、まだまだ訪ねたい魅力的なところはたくさんあるのだ。ま、次の機会ということで、、、。

佐久に向かう国道254線にちょっとだけあるワインディング。ここでも単コロ250は全開!

<< 戻る かかし巡り >>