手織りも機械織りも本場大島紬に違いはない。何が違うのかは読んで字のごとく、手織りは人力、機械織りは動力を利用したマシンで織り上げる。
しかしボタンひとつの全自動かといえば、そうではなく、機械に頼っても一反織るのには2日ほど要する。


それでも手織りの12日以上に比べればずいぶんと早いもので、当然、コストも抑えられる。
とは言っても、同業社から「そんな高い素材使ってんの・・・」と言われる弊社オリジナルの高機能ナイロン素材より、はるかに高額です。。。



2006年7月25日 発信



 機械織りの本場大島紬は、鹿児島市から北北西に位置する川内(せんだい)市の “ きもの幸造 ” にお願いした。その代表である原之薗幸造(はらのその こうぞう)さん(右写真)、温和です、にこやかです、なごやかです。友好的でぇす。闘争心むき出しの某手織り工房(の次男)とは対照的である。
 鹿児島で初めて会った大島紬関係者が某手織り・・・あの昔の武士のような健二郎氏だったが為に、この業界は、薩摩は、なんとおっかない人達の集まりなんだろうか、と思ってしまったではないか。もし和解がなければ、私は生涯、鹿児島の地に足を踏み入れることはなかったであろう。
 温厚な原之薗氏は80年前から染物業を営む三代目、現在は大島紬だけでなく、その他織物や小物を企画製作し、卸しと小売を兼ねた店舗を経営している。なかでも “焼酎染め” という大島紬、なにやら面白そうな(旨そうな)織物にも興味を引く。
原之薗幸造氏:店舗のある川内市の隣り、薩摩郡さつま町育ち。“はらのその”さんという姓から、さぞかし名のあるご先祖様がおられるのでしょうね、まさか平家では? の問いに「農家です」・・・ひと安心。


きもの幸造店内:ここにずらっと揃うカラフルな反物は大島紬ではない。ちりめんやら何やら何。(まったく分からん、スミマセン)


 “きもの幸造”には英国タータンチェックによく似た機械織りの大島紬が豊富にある。それを購入して弊社ジャケットに融合させることもできるが、それでは能が無い。やはり夫婦坂オリジナルの本場大島紬を作りたいのだ。
 そしてもうひとつオリジナルで作らなければならない理由は、絹織物の伝統的な生地のサイズ、そして厚さ。幅が38cm程度ではジャケットに使うのに無理があり、機械織り限界可能なまで幅を広げ48cmとし、絹糸を2割ほど太くして織り上げる。柄のデザインだけではなく、丈夫で幅広のオリジナル本場大島紬となる。原之薗氏も機械織り工房にとっても、こんな規格外は初めての受注だそうだ。
 織り上がるまでは50日かかる。7月上旬に弊社に着くであろう特注反物が待ち遠しい。
数々の機械織り大島紬 格子柄。

夫婦坂オリジナル格子柄、打ち合わせ中。


どこに行っても芋焼酎は話題になる。川内市には“村尾”、ちょっと西の大口町には“伊佐美”とメジャーな銘柄の蔵元はあるが、筆者の芋焼酎好きを知って、原之薗氏が送ってくれた、地元さつま町の“うえぞの”。
紫芋のなかでも山川紫という品種を使っているそうで、こりゃあ並の旨さではない。(いつのまにかカラになり、後日さつま町の酒屋に発注)


 2006年7月上旬、予定どおり弊社オリジナル大島紬機械織りが届く。絹糸を太くしたので、通常の大島紬よりガッシリとした感じ、絹特有の淡い光沢も美しい。
 到着後すぐ、いたずらでこの反物を使ったハンチングを作ってみた・・・これが社内でなかなかの好評。しかし、いたずらなどしている場合ではない。ジャケットとの難しい融合が待っているのだ。

※この帆布と大島紬のハンチングは定番品にならないが、“製品 裏 情報”サイトでゲリラ的に限定販売予定。(2006年10月末発信)


 そうそう、“きもの幸造”は小売店でもあるから、鹿児島の川内市に通りがかりの際はお立ち寄りを。着物に興味がなくても、絹織物を使った数々の小物を販売している。(詳しくは下記表示のHPにどうぞ)

ただしここはダメ!
念のために申し上げよう。もし、住所が分かっても、行かないように。
見学禁止、立入り禁止、撮影禁止に会話禁止。悲惨な結果は目に見えている。(筆者のようなアホは例外)


 夫婦坂オリジナル本場大島紬 格子柄 は、主に革ジャンや繊維ジャケットの裏地に活用する。
 「それじゃ、着たら見えない!」って? エリもとにチラッと見える程度、それでい〜いんです。
 ・・・それが男の“粋(いき)”ってもんです。

 ご期待ください。



“きもの幸造”ホームページ ・・・ http://www.kimono-kozo.com/

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