2008年9月11日

 昨晩、焼酎を飲んで騒いでいたせいだろうか今朝は目覚めが悪い。歯磨きして顔を洗ってようやくさっぱりした後には、ここまで一緒に走って来た最後の仲間との別れが待っていた。
 マサヤは東京でアルバイトがあるためこの日の25時までに苫小牧まで行かなくてはならない。ちなみに今いるのが北海道最北端の稚内市。北海道南部の苫小牧までは軽く見積もっても400km以上はあるだろう。そのため朝から別行動を取り、急ぎ苫小牧まで向かわなくてはならない。ユウさんといいマサヤといい、帰りの行程がハードすぎるのはもはやお約束か。
 最後にライダーハウス前にてみんなと集合写真を撮り、その後はマサヤと2人で。
 そしてマサヤと最後の別れの挨拶を交わす。気をつけて!東京でまた会おうなっ!

 ついに・・・最初は6人もいたツーリングメンバーがとうとう僕1人になってしまった。
 みんなで楽しく騒いでいた時間を懐かしく思い、少しだけ寂しくなるが、1人旅というのもまたいいものだろう!と気楽に考え先に進むことにした。

 とりあえず腹が減った・・・と走りながら考えていると、前方にみどり湯で一緒だったライダーの方を発見!隣について話を聞いてみるとこれから稚内駅に駅弁を食べに行くそうだ。これはチャンス!と思い、お願いして同伴させてもらうことになった。
 そして到着したのはJR稚内駅。どこかもの寂しいその構内はやはり最北端の地だからだろうか?ここでお目当ての駅弁を頂く。








駅弁食おうとスクーターについて行く。


カニ弁。“★8個”。千円。カニの爪を豪華に8本も使った駅弁。海鮮弁当かと思いきや牛肉も入ってる。朝からモリモリ食べられた。店内で食べるとお味噌汁+小鉢まで付いてきます。バイクに乗って食べたら駅弁じゃなくて単車弁になるのかな?




 駅弁を食べながらお店のおばちゃんと話していると、年々北海道にやって来るライダーの数が減っているという話を聞いた。確かにライダーの絶対数が昔と比べて減少している今、北海道にツーリングに来るライダーが減少しているのも仕方がないことなのかもしれない。だけどこのまま仕方がないで済ませてしまっていいのだろうか?
 個人的に思うのが若い人にもっとバイクに興味を持ってもらいたい。そして是非、北海道へと行ってもらいたいということだ。そのために出来ることの1つがこの学生二輪旅紀行を面白く、そして若い人に興味を持ってもらえるように書き上げることだと僕は思っている。

 豪華な朝飯を平らげた後は2人で稚内市にある北海道遺産の防波堤ドームを見物しに行く。
 昔はここに駅があり線路が走っていたようだが、今はその面影は見当たらない。柱が延々と連なっていく様は見ていて圧巻。なんとなく古代ローマのパルテノン神殿に似ていなくはない。だけどあっちは世界遺産。同じ遺産でも世界と北海道じゃ大分違うよなぁ、やっぱり。

 ここでみどり湯から一緒だった人と別れることとなったが去り際に僕が持っていたホクレンのフラッグを1枚、餞別にと手渡した。そして互いにフラッグをたなびかせながらそれぞれの目的地へと向かった。

 これからは日本海側の海岸線に沿って南下する道を進むことになる。そして稚内を出発してすぐに北海道ツーリングの中で1番思い出深い道へとバイクを進めた。
それが日本海オロロンラインだ。オロロンラインはその気の抜けた名前からは想像も出来ないくらいそれは素晴らしい道だった!





防波堤ドーム









 どこまでも延々とまっすぐ続く道。ガードレールや道路標識、信号といった人工物は何もない。視界に存在するのは目の前に続く道と、後は北海道の大自然だけだ。左手にはサロベツ原野がどこまでも続き、右手には遠く利尻島に高くそびえる利尻富士を臨むことが出来た。ここは本当に日本だろうか?と、何度も思った。だがここは確かに北海道だ。日本にもまだこんな道が残っていることが単純に嬉しかった。

 どこまでも続くまっすぐな道にバイクを走らせる。その雄大さの前にゴチャゴチャとした考えはどこかへ飛んで行き、何も考えず視界に飛び込んでくる風景を純粋に楽しんでいた。余計なことは考えなくていい。後にはただ、感動だけが残った。
 時折、対向車線のライダーとすれ違う。僕はその1人1人に全力で手を振った。オロロンラインの感動からかどうかはわからないが、相手もそれぞれいっぱいの笑顔で手を振り返してくれた。そして気づいたら・・・僕はヘルメットの中で涙を流していた・・・。
 オロロンラインの素晴らしい景色と一緒に、これまでの旅路を思い出し、そして何よりもすれ違うライダーと北海道を走る喜びを共有したってことが僕の心に強く響いたのだろうか?理由はよくわからない。でもそれでいいじゃないか。とにかく感動したってことは確かなんだ。僕はこの景色を一生忘れないだろう。

 オロロンラインも終盤に差し掛かった辺りで大きなアルファベットのNの形をしたモニュメントを発見した。説明によるとこれはちょうど北緯45度を示す地点のようだ。北極点と赤道のちょうど真ん中ってことになるのかな。
 稚内周辺には大きな風車が多い。これはこの地域特有の日本海からの強風を利用した風力発電の施設なんだろう。全ての風車の横を通り過ぎた時と同時にオロロンラインは終わりを迎えた。
 日本海オロロンライン。この日、僕の中で四国の国道55号を抜き、思い出に残る道No.1になった。この記録はしばらく更新されないだろうなぁ。。。それぐらい素晴らしい道だった。

 この後はしばらく海岸線に沿った道が続いていた。道端にはススキが茂っていて既に北海道には秋が訪れていることが確認出来た。そうだ!本州に帰ったら箱根の仙石原のススキ野原を見に行こう。四季と共にツーリングの楽しみが変わるのもツーリングの醍醐味だよね。






途中で見かけた自衛隊の訓練の様子。









[ ウェブデザイン担当 筆] 上記に「感動した」「僕はこの景色を一生忘れないだろう」「ヘルメットの中で涙を流していた・・・」 とまで書かれていたのでは、そのオロロンラインを大きな写真で扱わなければならんだろう。



なんだかものすごくボケてないかぁ?


これは木村青年の激写。パソコンで余計な加工をしていない臨場感あるオリジナル画像である。 ・・・ていうより、やっぱ載せないほうがよかったかなあ。文章だけで読者に想像してもらったほうが、、、。




 稚内から200km弱走ったところで今日の宿泊地、留萌(るもい)に到着した。ここからもうちょっと頑張れば今日中に札幌まで行けそうだったがそんなに焦る必要もないだろう。
 先に留萌市内のライダーハウス「みつばちハウス留萌」に寄って宿泊の受付を済ませた後、留萌市内へと繰り出すことにした。今回泊まるこのライダーハウス、室内にバイクを駐車出来る上、布団まで付いて料金は無料だ。室内の壁のこれまで立ち寄った旅人の落書きの多さから人気の高さが伺えた。例に漏れず、僕もMMCA代表として名を残してきた。

 市内の温泉に入って汗を流した後は、留萌市内でも1番の夕日を眺められる絶好のスポット黄金岬へとやって来た。夕日のためにわざわざ温泉を早めに切り上げてきたのだ。
 黄金と名が付いているようにこの岬から眺める夕日は素晴らしかった。しばし刻が経つのを忘れ、日本海に落ちる夕日に見入る。気付くといつの間にか周りはカップルだらけだったが、男1人で夕日を眺めて寂しくなかったの?とけっしてツっこんではいけない・・・。ソロツーリングも楽なことばかりじゃないなぁ。。。

 さてさて夕日を見た後は夕飯だ!ってことで市内の有名な寿司屋へと向かう。マップルで紹介されている上、地元の人からの評判が良かったので楽しみだったのだ。










特上生ちらし。“★9つ”。1680円。ウニ、イクラ、カニ、マグロ、エビ、イカ、etc・・・と沢山の海の幸が所狭しと敷き詰められている。一口で色んな味を味わうことが出来て、しかもどれも新鮮だからたまらない!これは美味いなぁ!さすが特上ってことはある。



 ライダーハウスに戻った後は、この日もまた居合わせた人達との宴会が始まった。
 最近は毎晩、旅人同士の宴会が続いている。その話す話題はもちろん北海道のことだが、話が尽きることはない。なぜなら1日毎に北海道の思い出が増えていくからだ。そして、人によって様々な旅の仕方がある。それは正しく十人十色と呼ぶのに相応しい。だから常に自分の知らない話を聞くことが出来て興味は尽きることを知らない。

 どうやら今晩も寝るのは遅くなりそうだな・・・。だけどそれも良しとしよう。こうして一夜限りの宴会に華を咲かせるのであった。



[ ウェブ担当者よりこのページの・・・あとがき]
 載せまいと思っていた。キムラ青年の写真を大きくは。しかしオロロンラインをあそこまで感動した道だと書かれてしまっては、つい武士の情けが出てしまうのだ。
 それにしても、どれだけ感動したか分からんけど、道路走ってるだけで泣くか、ふつ〜。海に向かって「バカヤロ〜」って言うヤツよりクセ〜し、ちょっと話を作ってないかぁ?。幸いにしてかこのページタイトルのように“ついに一人旅” だから、なんの証拠もないじゃないか。
 惜しむらくは、走りながらカメラを、涙流す顔に向けてシャッターを押してほしかったなあ。 ・・・でもダメかぁ、ど〜せピンボケだぁ〜。



<< トップに戻る 10日目へ >>