2009年10月6日


 朝、ペンションの部屋を出て辺りを見回すと、そこは広大な美瑛の丘の上。なんとも爽やかな空気だ。
 今日の行程は、大雪山の外周をを時計回りに走り、また美瑛に戻ってくるという計画。まあたいした距離ではなさそうだから、この丘をちょいとうろついてから周遊しようか・・・。

 さて朝飯だ。ペンションの居心地は悪くないのだが、朝がパンというのがどうもなあ。私は、朝はご飯と決めている。パンだとパワーが出ないのだ。(ご飯でもたいしたパワーではないが)





 美瑛の丘から見る大雪山の山頂は雪景色。それに雲が帽子のようにかぶさっている。なんとも幻想的な景色だ。
 またこの丘には数々の名所がある。「セブンスターの木」「マイルドセブンの丘」(ともにタバコの宣伝で登場)、「ケンとメリーの木」(ニッサンスカイラインのCM)、「親子の木」「パフィーの木」等々。とはいえ案内板がなければ通り過ぎるだろう。それらはこの丘の自然にとけ込んでいるから。そして私のような凡人には、どれを見ても感動がない。ロマンがないのか、私には・・・困ったことに。
 なんだかんだで11時を過ぎようとしている。そろそろ目的の大雪回りをしようじゃないか。


カミさんの後ろに乗って写真を撮る。


層雲峡はもうすぐだ。



旭川を過ぎ、山間部に入れば紅葉の気配。


小さなゼファーも娘が乗ると大きく見える。(身長153cmしかないので)


 北海道は札幌などの市街地をのぞいては交通量が少ない。しかし紅葉シーズンならば、平日であってもそこそこクルマは多いのだろうと想像したが、予想に反して少ない。前にも後ろにもクルマがいないというのは、なんと爽快な気分で走れるのだろうか。これだけでも北海道に来た価値はある。・・・おっといけない。本州を走っていたならすでに予備タンになる距離。そろそろガソリン補給しなければ、と思ってもスタンドはなし。




層雲峡に近づくと雪をかぶった大雪の山々が間近に見えてくる。



シャッターを押す私がミラーに写る。こういった場合、ミラーの角度を変えればよいが、そうなるとカミさんは後ろが見えないわけで・・・。






層雲峡。紅葉の見ごろには1週間近く早いことは分かっていた。しかしこの時季、いつ雪が降ってくるのか不安。







層雲峡を通り過ぎ、三国峠に向かう。











 標高1139mの三国峠に到着。いやまいった、とにかく寒い。途中にあった道路上の気温計は10度だったから、ここまで上ってきて、もっと気温は下がっているだろう。なのに全員春物ウェア。北海道の秋を甘くみたわけだ。
 ということで峠の茶屋?であったか〜い蕎麦を食う。空きっ腹に冷え切ったカラダ、汁まで完食、ありがたいご馳走だ。
 ところでガソリンが気になる。CB、ゼファーともに満タンから300キロ近く走っているわけで、本州の旅ならとっくに予備タン。14リッターで予備タンになるニケツしてきたゼファー(満タン17L)が心配だ。いや、もしかして燃料コックが壊れてるんじゃないか?
 茶屋のダンナにスタンドまでの距離を聞く。
「この峠を下りてけばすぐだな、最初の信号の辺りだったかな・・・」
「なら安心。で、何キロくらい先ですかぁ?」
「うん、50キロ少々だな」
「えっ?、50キロ以上も先ですかぁ!」
 ふつ〜、次の信号辺りなんて聞けば、数キロ先(都内なら数百m先)と思うが、ここは北海道の山の中。この三国峠までだって、層雲峡のずっと手前から50キロくらい、そいうや信号機なかったなあ・・・恐るべし北海道!(ようするに100キロは信号なしということ。それはそれで嬉しい)
 タンク容量が2リッター多いCBをニケツとして、この先、燃費優先走行としよう。(といっても今までと走り方は変えようがない)


三国峠からの眺め。雄大そのもの。



ここは峠から数百メートルの定番写真スポットの橋。


写真スポットのその橋を渡る。


カミさんを撮っている娘、ミラーで丸見え。


娘をカミさんのCBに乗せ、私のひとり走行写真に切り替える。



一人で真横を撮るのは辛い。対向車こないから前見なくてもいいけど。なお、雨の気配がないのに娘のレインウェア姿は、防寒対策。




 ゼファーのオドメーターは昨日の満タンから320kmを越えた。しかしまだ予備タンにはならない。これならまだ60km以上走れるわけで、ガス欠の心配は消えた。というよりも、この広大な景色の中を走る快適な道路で、ガソリンのことなど頭から離れていた。
 やはりいいものだ、CBとゼファーのほど良いパワーは。これが我が家にあるチョイ古愛車、スズキGSF1200(バンディットの先祖)なら、メーター読み260km/hを振り切る俊足なので、60だの80km/hだので走るなど我慢ができないだろう。ましてやヤヤ古のカワサキZXR1200(絶版)なら、そんな速度、チャンチャラおかしくて走る気がしない(2000年に同バイクでチャンチャラおかしくない速度で北海道を走っている。もう時効か)。
 いいよ、やっぱナナハンは。ストレスなく走れる。お薦めのバイクだ! ・・・って、今頃気づいても、すでに絶版車である。






ゼファー:なかなか美しいスタイリングだ。


我らは逆方向から来た。上川町まで180kmはちょいとおおげさか。実際は120kmほどだ。とはいえまちがいなくガソリンには要注意。
 三国峠から南に40kmほど走ったところでカミさんの乗るゼファーが止まった。予備タン突入である。その距離333kmで14L使い、燃費23.8km/L。半分ニケツで走ったわりには燃費がいい。予備タン残量が3リッターあると考えれば、あと70km、合計400kmの航続距離があるのだろう。まあ信号がまれにしかない北海道だけの燃費だろうが。
 帯広の平野に出てきて待望のガソリンスタンドに入る。ゼファー、CBの順でガス補給するが、昨日と同様、CBは0.5リッター多く入る。イメージからするとホンダ(CB)よりカワサキ(ゼファー)の方が燃費は悪そうな気がするが、実際は逆。人(バイク)を見た目(企業イメージ)で判断してはいけない。・・・たった1km/Lのちがいだけど、燃費がいいと勝った気がするのはなぜだろう?

勝狩峠(狩勝峠だったか)をカミさんの限界コーナリング速度で越え、誰もいない国道を文章で書けない速度で美瑛に戻る。もう撮影困難な暗さ。


 雨も降ってないのに全員レインウェア着用で、昨日と同じく真っ暗な中、美瑛のペンション(昨晩とは違う宿)に到着。大雪山周遊は、北海道地図で見ればほんの小さなダ円なので、明るいうちに戻ってこれるだろうと軽く考えていたが、その距離350km(到着後に判明)。のんびりと午前11時頃にスタートして、すべて一般道。あちらこちらで写真を撮ったり、昼飯休憩、ガス補給等を考えたら、平均速度50km/hでも7時間は掛かる計算なのだから、暗くなるのは当然のこと。寒さ同様、距離感まで北海道を甘くみたわけだ。
 夕飯は苦手な洋食。苦手といっても料理ではなくナイフとフォーク。だから箸でいただく。
 ビール、日本酒(冷酒)を、洋食をツマミにグイグイいくが、なぜが不安でまったりとは楽しめない。不安、それは昨晩テレビで見た台風情報である。
 このペンションの部屋にテレビはない。オーナーにNHKのニュースを見たいので、どこにテレビがあるのかを尋ねる。


 「ウチにテレビはないのです。そのかわり、たくさんの綺麗な星を楽しんでいただけます・・・」
 旅の晩、気になるのは翌日の天気。ましてや台風が近づいているとなれば、その進路はおおいに気になる。しかも明日の夕方、苫小牧からフェリーに乗って帰るのだ。星どころではない。だいたいから曇っていて星など出てないではないか。
 困った顔をした私に、オーナーがパソコンからプリントした台風情報を持ってきてくれた。
 ・・・不安的中! 台風18号は進路を変え、東北、北海道方面に進む予想図だった。で、もっと情報を知りたい、しかしテレビはなし。各部屋にテレビがなくても、やはりどこかに1台はほしいものだ。


 台風18号のやつめ〜〜〜。18号といえばドラゴンボールZに出てきた人造人間を思い出す(のちにクリリンと結婚)。当初は悪役だが、やがて改心し孫悟空たちの味方になる(視聴者として私の年齢が上限かな?)。現在の18号はそりゃあもう厄介者。味方になってくれるなら、なお進路を変えて太平洋に戻ってほしいものだが、、、。


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