[2010年4月16日]


龍馬とお龍は霧島温泉へ。


 熊本から長崎の往復を二輪旅で楽しんだ我らは、翌日の朝、龍馬とその妻のお龍が新婚旅行をしたとされる、霧島温泉に向かう。
 なお龍馬は蒸気船に憧れ、自ら船主となっている。ならば我らは陸蒸気、熊本からの旅の門出は蒸気機関車で出発しよう。





客車の前後は展望車。
 熊本発、人吉行きの“SL 人吉”は客車3両、その先頭は蒸気機関車「8620型」通称ハチロクである。
 ハチロクは1922年(大正11年)生まれ。1975年に廃車されたが、1988年に豊肥本線“SLあそBOY”として復活(もちろん私は乗車している)。
 しかし83歳(年)という長い年月には老朽化が進み、2005年、ついにチカラ尽き運休。その損傷は大きく、廃車かと思えたが、あきらめきれなかったJR九州は、客車を含み、およそ4億円もの費用を捻出して修理、そして2009年に復活させた。
 2010年の今年で89歳の“58654号機”、龍馬とお龍を追う旅には、もっともふさわしい、そして頼もしい牽引機関車であろう。

 さて熊本駅、9:41発のSL人吉に乗り込もう。しかしその前にハチロクの勇姿をご覧に入れよう。


























 SL人吉は人気列車であることは知っていた。金・土・日曜日を主に運行しているが、土日にキップを入手するのは直前では不可能に近い。だから金曜日を選んだ。しかしカミさんと隣同士の席は取れない。それほど人気があるのだ。

 発車前、機関助士がガンガンと石炭をくべ、煙突からは真っ黒い煙が空に上がる。
 汽笛一声、「ポォォォ〜〜〜」。さらにもの凄いいきおいで黒煙を上げ発車。そう重くないドラフト音(ボッ、ボッ、ボッ、ボッという音)で私の前を通り過ぎる。もう夢中でシャッターを切っている私。




・・・あれっ? カミさんだぁ!


 機関士が手を振って通過。そして客車・・・にカミさんがこれまた手を振って通過。
 「いけねっ、俺もこれに乗るんじゃねえかぁ!!」
 SL人吉は空を真っ黒に焦がして、無情にも私をホームに取り残して走り去っていった。

 ・・・んなわけないっつうの。これは演出。私はこの道ウン十年の“鉄人”(※鉄ちゃん・鉄道ファン)である。次の停車駅で、簡単に追いつける方法を知っていたから、こんなことをしたわけですな。

 SL人吉が発車した19分後に、特急リレーつばめ37号に乗るのである。リレーなどと、なぜそんな名なのかと言えば・・・今はそんな時間はないので、最終話で説明することにしよう。



特急リレーつばめ37号


 熊本10時発のリレーつばめ37号はグングンと加速して、SL人吉を猛追する。次の停車駅はどちらも33km先の新八代駅で、つばめの所要時間は20分。いっぽう19分前に先発したSL人吉は46分を要するので、途中駅で追い越すことになる。
 どこで追い越すのかな〜、なんて考えながら外を眺めていたら、どこぞの駅で黒っぽい車両の横を一瞬にして通過する。これでひと安心。

 つばめはSL人吉の7分前に新八代駅到着。ホームで待っていると、はるか遠くのほうで“のろし”のような煙が上がっており、そしてポォ〜〜〜という汽笛も聞こえる。やっと来たなぁ、ハチロク〜。


 新八代駅でSL人吉に乗車し、カミさんと合流する。ここから人吉まで1時間45分の汽車旅、じっくりと愉しもう。

 ・・・ほんとうにバイクは出てきません。バイクの話もしません。それでもよろしければ、その二、をどうぞ。。。


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