2010年4月14日

凛々しい姿の、その足元。



 朝、一晩休ませた頑強な21オンスジーンズを履いて、ホテルからタクシーに乗り風頭(かざがしら)公園に向かう。これからいよいよ長崎の龍馬ゆかりの地に足を踏み入れるのである。
 しかしなぜバイクで行かないのかは、これからご案内する写真を見ていただければ納得できよう。


 ホテルからタクシーで10分少々、標高150mほどの風頭公園に登り、そして徒歩3分で龍馬の銅像に着く。その大きさは全身3.2mと、高知県桂浜の像5.25mをコンパクトにした感じだ。なおふたつの銅像に共通していることは、海を眺めていることである。
 龍馬が勝海舟のお供で1864年に訪れた理由は、先に書いたように、外国連合艦隊と長州藩の争いに調停を結ばせること。しかし龍馬は、外国の文化漂うこの長崎がよほど気に入ったようで、翌年からも訪れるようになる。その頃からだ、龍馬がブーツを履くようになったのは。
 さて銅像をカッコ良く撮ろうかな・・・な〜んて思うも逆光でやんの、、、。 銅像正面の後ろに太陽があったのでは、まともには撮れんね。じゃあストロボ(フラッシュ)を使おう、、、と考えたが、忘れてきたし。。。




海援隊の旗がたなびく逆光の龍馬、これもまた良しかな。





眼下には長崎湾。右の石碑は司馬遼太郎“竜馬がゆく”。










 風頭公園の龍馬像の特長は、左足を台座からはみ出すように前に出している為、履いているブーツが良く見えることだ。これより大きな高知桂浜の龍馬像では、真横のやぐらに登れる期間以外は、ほとんど見えないのである。
 観光客がだ〜れもいないので、不謹慎にも龍馬像のブーツの前に私のR-01ブーツを置いてみた。あれま、なんとなく形が似ているな。
 べつにマネをしたわけではない。似ているのはどちらもサイドゴア風といった、同じような作りのせいだ。では、龍馬ブーツの製造方式はどんなだろうか? いや、銅像を見た限りではさっぱり分からん・・・龍馬の銅像を見に来て、こんなブーツのことばかり考えているのは、きっと私だけなんだろうなあ。。。(申し訳ないけれど、ブーツの話はあとにまだつづく。その理由が、いやでもこの先に出てくるので)



外国の連合艦隊と長州藩の戦い、そして江戸幕府のその対応に対して思った言葉がこれ。その時龍馬は若干29歳。でっかい人だったのだなあ・・・。




龍馬通りを下る。



 風頭公園の龍馬像から細い道を下る。その道は、いつの頃からか“龍馬通り”と呼ばれている。

 写真を見る限り「なんだ、バイク通れるじゃないかぁ」と思われるだろう。確かにクルマだってなんとか通れる。しかし龍馬通りはこんなに広い?道ばかりではない。下ってゆくにしたがい、クルマどころか、バイク、チャリで走ることだって御免こうむる。まあ、トライアル車ならなんとかなるだろうが、非常識なことでしょうな。





 やがて龍馬通りは、バイク1台がやっと通れるかどうかの路地となり、そして階段の登場。そう、前もって調べておいたので、バイクでは来なかったのである。
 階段まじりの路地を降りると、小さな若宮稲荷神社に出る。その境内で存在感を表しているのは、先の風頭公園の龍馬像のミニチュア版、ではなくて、この銅像をもとに、あとであちらを作ったというもの。同じ格好をしているが、なぜかこの神社のほうが凛々しい、と感じるのは、けっして私だけではないだろう。














 龍馬通りをさらに進むと、街を見下ろすちょっとした空間に船のカジ、とその下に大きなブーツ。これは龍馬が履いた、ブーツだけの銅像である。龍馬像は全国に数多くあれど、そのブーツだけの銅像はここだけではないだろうか。しかも人が靴を履いたまま、スッポリと龍馬ブーツを履くことができる。
 このブーツ像の案内板には「日本でいちばん最初にブーツを履いたのは坂本龍馬・・・」と書かれていた。それがほんとかどうかは知らないが、幕末以前にブーツを履いた人物の写真も絵も見たことはないので、きっとそうなのだろう。
 羽織はかまにカタナ、その足元にブーツ。今でも妙だが、当時はもっと妙な姿であったろう。しかしなぜ龍馬はブーツを好んで履いていたのだろうか。カッコいいから? いや、龍馬は命を狙われているのを知っていて、刺客から逃げるのには、ブーツが都合良いと考えたのだろう、と私は推測する。




またとなりに置いてみたりして。。。




龍馬の会社、亀山社中。


 龍馬のブーツ像から数十メートル先に、龍馬が日本で最初に作った商社“亀山社中(かめやましゃちゅう)”の記念館がある。勝海舟と訪れた長崎、その翌年に龍馬が作ったのである。


 亀山社中の最大の業績は、薩摩藩名義で武器を購入し、長州藩に運搬したこと。そしてすぐ、龍馬は犬猿の関係であった薩摩と長州に手を結ばせ、薩長同盟で倒幕の道筋を作るのである。ま、速い話が武器を扱う会社と言ってしまえば聞こえは悪いかもしれないが、そこには龍馬ならではの奥深い戦略があったのだろう。
 なお龍馬は、すぐ後に亀山社中を発展させた“海援隊”を結成。海援隊・・・「母に捧げるバラード」「あんたが大将」「贈る言葉」の武田鉄矢ではないですぞ。とはいえ武田鉄矢は大の龍馬ファンで、海援隊というグループ名は、この長崎の龍馬の結社からのものである。







会社というより別荘のような。

龍馬のカタナ(複製)。

長州藩の高杉晋作から譲り受けた龍馬の拳銃(複製)。これがあの寺田屋で役に立つ。
坂本家の家紋のついた羽織(複製)。そしてその右には、なんとこれまた例の複製が。。。




龍馬の写真をもとに、長崎で作られた再現品。


 言っちゃ悪いが「勝ったねっ!」。リーガルコーポレーションの新潟の工場で作ったもらった私のR-01のほうが・・・だね!




商品が気になって仕方ない方は、こちらへ >>

 おそらく龍馬の履いていたブーツは、親交のあったグラバーから手に入れた英国製に違いない。その製法はといえば、R-01/R-02と同じく、高価なグッドイヤーウエルト式であろう。なぜなら、チャールズ・グッドイヤー・ジュニアは1800年代半ばにその機械化の製法を考案し、すぐに英国に広まっている。当時も今も最高峰のブーツの製法、龍馬もグラバーもそれ以外のショボいブーツを履くわけがない・・・と、夫婦坂は考えるのである。
※グットイヤーウエルト製法を詳しく知りたい方は、こちらへ >>


龍馬も足元は大事にしていた!


[ 実はこの旅で思いついたことがある。龍馬がニコッ とするようなブーツの製作。2010年5月末日現在、R-01/R-02同様、リーガルコーポレーションの新潟工場でその上級モデルの試作品製作中。すっごく高価な材質を使ったすっごくカッコいいブーツ、いずれお披露目いたしましょう。※販売するかどうかはまだ未定。発売できるとしても早くて年末。いや来年かな?・・・リーガルコーポレーションさん、頼りにしてますぜぇ! と龍馬さんもきっと申しております。]



 この九州の旅のメインは長崎。そしてその長崎の龍馬通りを散策することが目的。そしてまた、龍馬通りの亀山社中にある、龍馬のブーツの複製をこの目で見ることが、私にとってメイン中のメインである。ちょっとした満足感を持って亀山社中をあとにし、長い階段の続く竜馬通りを下りてゆく。
 あっ、皆さんもし龍馬通りを歩いてみたいと思われるなら、我らの逆コースを選ばないようにね。体力に自信があるならよいけれど、上っていったら足腰がヘロヘロになりますよっ。下りにせよ上りにせよ、だからこの通りにジイさまバアさまの観光客は少ない。(とは言うものの、2010年は龍馬ブーム。休日の亀山社中は長だの列ですぞ)

 龍馬通りを離れ、川沿いを歩く。この中島川にはいくつもの石橋が掛かっており、風情を感じる。







眼鏡橋




1本2400円ですぞ!


 長崎市内にはカステラ屋が多い。それを見つけるたびにあの歌が脳裏に流れる。「カステラ一番 電話は二番 3時のおやつは文明堂〜♪」、最近はCM見ないけど、これを歌える人は、もうりっぱなオジさんオバさんジイさんバアさんだ。
 眼鏡橋のすぐ前にあるカステラ屋を見つけたカミさんが店内に入る。遅れて私も。
 店員さんの試食の勧めにひとクチ食ったら、これが凄く旨い。これ買おう、とカミさんに言ったら店員さんは「このカステラは、あの桐の箱に入ってる品です。ありがとうございます」 だと。試食にそんなの食わせるなっての。
 桐の箱に入った、そんな高価なカステラなど生まれてこのかた食ったことがなかったけど、言ってしまったのだから仕方がない。
 カミさん残して外で一服。やがて店から出てきたカミさんに、これから宿に戻って紅茶でも飲みながら食おう、と袋の中を覗いたら・・・ドラ焼でやんの。長崎はなあ、カステラだろ、カステラ!(桐の箱のカステラは自宅発送)




長崎駅方面に向かう路面電車を駅で待つ。 線路とブーツ(写真に意図はない)



おっ、まるで計ったようにやってきたのは“龍馬電車”。





“電車運転手募集”・・・こういった広告にはつい目が留まってしまう。転職して運転手になりてえなあ・・・と思うも募集は「20〜30才」だと。


 第5話のページは、こんなに長いのにまだ昼前。特別なのですよ、龍馬さんを、そして龍馬さんの履いてたブーツ(ついでに我がブーツも)をしっかりご案内しようとしたものだから。。。

 さて昼飯は何を食おうか、、、。今日はまだバイクに乗ってないのだから、ドラ焼でもちょくら食ってから佐世保にでも行って、あの有名な佐世保バーガーを昼飯としようか。。。




※お待たせしました。次のページはたっぷりツーリングです。


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