'02年11月3〜8日 写真:大島一浩 文:石野哲也
(前編6ページ)

味覚の秋といえば、日本中どこでも美味しいものがあふれている。とくれば、旅にも出たいじゃないか、獲れ採れの味覚に舌鼓を打ちたいじゃないか、寒い冬を前に、じっくりと走りにも行きたいじゃないか……という単純な構想のもと、トントントンと話が進んだ南国土佐&うどんの讃岐ツーリング。幕末と爆走、そしてバクバク食べるバクバク隊といささか強引なこじつけを含めつつ、いざ出発!!

森林 坂本龍馬
栗焼酎
戻り鰹 讃岐うどん


「南国土佐で美味いモンを食べまくって、おまけに流行りの讃岐うどんの名店を案内してもらってガッツリ食べるツーリングに……行きたい?」

 久しぶりに訪れたペアスロープ夫婦坂店(※注/大田区上池台の夫婦坂にしか店舗はありません)で、三橋店長に乗鞍ツーリングが楽しかったという話を2時間ほど聞いた後に、こんどは次回の四国紀行の予定を聞いていたのだ。
「でもなぁ、本当のテーマは美味しい食べ物じゃないんだよ。すべての旅は洗足池から始まるんぢゃぁ」 (洗足池は東京都大田区の中原街道沿いにある。)
 オイオイ、三橋さんが遠い目をしている……ププッ。
「ここの近所に洗足(せんぞく)池があんだろ。俺も俺の子供も小さい頃からあすこで遊んでてさぁ。いうなれば洗足池専属だっ。その洗足池には幕末に江戸幕府の要人でありながら、破天荒な活躍をして、幕府海軍の設立にも貢献した勝海舟のお墓があるのだよ。勝海舟といえば、坂本龍馬だろぉ。龍馬は弟子だからさぁ。んで、土佐に行きたいわけよ。しかも洗足池といえば、西郷隆盛の留魂碑もあったんだね。ってぇことは、いずれ薩摩にも詣でるってぇのが筋じゃぁありませんかってんだ、べらぼうめぇ。おいら江戸っ子だし、海の男だからさぁ。土佐と薩摩とくれば、必然的に長州も行かななるめぇよ……あいよぉっ、おまいさん行っといでぇ……てなもんよ三度笠。おいら江戸っ子だし、海の男だからさぁ」
洗足池

勝海舟夫妻の墓
 要約すると、脂ののった戻りガツオと、大好きな栗焼酎を手に入れて、ついでに、ライディンググローブを造らせたら日本一のJRプロダクツの尾原さんという若手に、讃岐うどんの名店を案内させる四国ツーリングに行くぞ……と。その後は、薩摩焼酎やら、フグ刺しで一杯やりたいツーリングにも行きたいぞ……と。でも、文化的な香りを醸しだすためには、洗足池からのこじつけをしてみましたと。
 でも、面白そうだから、おべっか大作戦を発令させよう。
「よっ、よっ、よぉ。どうにもこうにも、素晴らしい計画でやんすねぇ。あっしもね、三橋さんこそ平成の勝海舟、革製品の坂本龍馬じゃねぇか、って思ってたんでやんす。ちなみにね、あっしは、四国の道は詳しいですよぉ。ぜひお役に立ちたい。ぜひ、ご一緒に発ちたい……なんちて」
「おぅ、いいねぇ。それじゃ、四国のレポートをがっちり書いてくんな。それと、来春のウェアの試作品もテストするから。あと、古くからの知り合いで、自遊人という雑誌でバリバリ活躍中で江戸っ子の写真家・大島さんも行くからね。時に、おまいさんも江戸っ子かい?」
「餃子で有名な宇都宮でげすが……なにか?」。。。

参加メンバー

三橋弘行 三橋弘行/ペアスロープ代表でありながら、今回の秋の味覚三昧ツーリングの発起人であり、プロデューサーでもある。毎度、製品テストと称してのツーリングを繰り返すのか、ツーリングと称した製品テストなのかは微妙ながら、よく走る&よく話す元気なおじさん。食にこだわり、酒にこだわり、幕末にこだわる。今回はやけにピックアップのいい初期型のSUZUKI GSF1200で参加。
大島一浩 大島一浩/三橋さんとは古くからのつき合いであり、1984年以来ペアスロープのカタログ写真を手がけるジェントルマン。「自遊人」をはじめ各旅行誌で活躍中。根っからの写真家なのか、携帯電話のカメラでも写真を撮りまくり、本人は息子に送ると言っているが、本当はどこに送っているのかは不明。実は×××オヤジなのか? カメラ機材もあるので最新型のYAMAHAマジェスティに荷物満載で参加。
尾原義則 尾原義則/香川県白鳥町の株式会社JRプロダクツより参加。三橋さんが、ジャケットのテストをするならと、数種類のグローブをテストするべく徳島港で合流するやいなや、フェリー乗り場にグローブ露店を広げた真面目な男。生粋の讃岐っ子で、うどんへのこだわりはグローブへの愛よりも深い。ただし、表情に乏しく嬉しそうな顔を見たのは全てが終わって会社に戻ったときくらいか? 初期型YAMAHA TDM850で参加。(※2006年よりペアスロープ専属のグローブマン)
石野哲也 石野哲也/以前、ツーリング雑誌の編集者をしていた経験を巧みに誇張して、今回の四国ツーリングに紛れ込むものの、自分のスポーツスターは汚いし、荷物がたくさん積めないからと一蹴され、悲しみにくれていたところを優しい声をかけられる。「ゲルマン魂を貸そう!!」ゆえに三橋さんの格好良いドイツ車、BMW R100R(釣り竿付)で参加。
サイト編集部注:某ツーリング雑誌ORは'02年3月号で休刊となり、石野氏は元編集長としてのその責任を感じて弊社ツーリングサイトで読者を楽しませる事となる。尚、OR誌は'03年3月にめでたく復刊となることを記しておく。詳しくは巻末にて。

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