近頃峠道を爆走していると、やけにガードレールが、センターラインが、そして対向車が気になってきた。それは気合いの衰えなのか、はたまた単なる年のせいなのか。まあ、峠をゆっくり走れば何の問題もないのだが、性格上そうもゆかない。近頃自分自身を試す意味でも年に1〜2度サーキットを走ることにしているのだが・・・。




 現在、ペアスロープ製品にサーキットのイメージはない。しかし創立した1983年から数年間はレザースーツを作っていたことがあり、当時は弊社主催で筑波・菅生の両サーキット走行会を毎年数回、また、1986年の鈴鹿8耐にチームを作って参戦した経緯(バリントン&フィリス組で8位)もあるように、けっこうサーキットとの縁は深かった。
 あれから十数年、東北自動車道を那須に向かって走る家族がいる。


 今回はライダースクラブ誌が主催する“ライディングパーティー”那須モータースポーツランドのサーキット走行会を、息子、妻、私の家族3名で参加。息子は昨年の筑波、今年春のツインリンクもてぎにひき続き3回目、妻は2回目のサーキット走行である。ただし妻の場合、現在大型二輪取得中で教習所通い、リッターバイク(GSF-1200)は初体験、しかも20年ぶりのサーキット。そして息子は今年ツインリンクもてぎであざやかに転倒したばかりで精神的に立ち直っているかどうか。いづれにしても不安は隠せない。そんなことを考えながら東北自動車道をGSF、マジェスティ(荷物車)、アプリリアRS250の順に走っていると、後ろからとんでもない速度で追い抜いてゆくポルシェ2台、いつもなら爆走に参加するところだが、妻と息子をおいてく訳にはいかないし、今日のところは勘弁してやろう。ってヘルメットの中でつぶやきシロー。(うわっ、柏秀樹さんの悪影響ですいませんまさお。)

高速道路上の右にいるのは覆面パト。
そしてぼう然としている息子。
またかよ!
(1年少々前、第三京浜国道にて、同じアプリリアによって77キロオーバーで覆面パトに御用となっている)
※ちなみに私の免許証は“ゴールド”




でも今回は幸いにも違う。
先ほど抜かれたポルシェを渋滞で追い越し(ザマみろ)先頭に出てみると、なんとキャンピングカーが横転している。それをクレーンで起こす作業中で通行止め。
待つこと10数分、開通となるとそりゃもう前方に何も走ってない超快適な高速道路。

 誰もいない高速道路をマジェスティの全開最高速に合わせて走っていると、後ろからライトをつけて猛然と追ってくる車が・・・まさか覆面パトのワナにはまったか? と思うや否や追い越していった例のポルシェ2台。さすがの私もこんどばかりはキレた(べつに彼らは我々に悪いことしてません)。
 右手全開! 我がGSFはマフラー変更のみのノーマルでありながら、最高速はメーター(輸出用260km/h)を振り切る。ポルシェは速度を上げるが最新型の2台は@50km/hでリミッターが利いてしまうのでなんとか追いつくが、なんとヤツらはそのままの速度で走り続ける(前方は何も走っていないクリア状態)。ネイキッドでこの速度はもの凄く辛い。仕方ないので一度だけ追い抜き、「もうこのへんで勘弁してあげよう!」と伝え(ヘルメットの中で)、道を譲る。ま、早い話が玉砕されたのか。
 たった10数分で、いったい何10キロ走っただろうか。途中のインターチェンジでタバコを吸い終わると、やっとマジェが全開でやってきて那須高原へと3台で向かう。

 サーキット走行は明日の朝からなので、今晩は那須高原の温泉旅館に宿泊予定。不慮の事故により、やや遅れて宿に到着、速攻で温泉に入り、会席料理とやらの晩飯。
 しかしですね、この宿、、、初めての家族ツーリングなので、ひとり2万数千円を大奮発。そのわりには料理がショボイ、ショボすぎ。10室ほどしかないが、金曜日であっても我々含めて2組の客というのもうなずける。同額程度の伊豆の旅館に比べるとレベルが低すぎではないか。・・・なのでその旅館の紹介はカットします。

 朝、これまたショボイ朝食を早々に済ませ、那須温泉から30分ほどのサーキットに向かう。受付は7時から、ミーティングは8時からというのに、その最中、冷たい視線を浴びて我らどうどうと8時半に到着。ダメな家族である。

那須スポーツランドに着くとすでにミーティング(注意事項等の説明会)は始まってる。特にサーキット初心者は(そうでなくても)必ず参加しなければいけないのです。

左はライダースクラブ親分の根本健氏。マイク片手に唄っているのではない。一生懸命、そして分かり易く参加者に説明をしているのです。それにしてもど〜してそのお年であんなに速く、上手く走れるのでしょうか???。

 今回の那須ライディングパーティーは運転技術の順に4クラスに別れ(通常は3クラス)、9時から4時まで毎時間実質10分少々を7回走る。クラス分けの順は、
 1. サーキット走行初めてで、走りに自信のないひと。
 2. 同じく初めてだが、やや早く走りたいひと。
 3. サーキット経験者
 4. 同じく経験者でとにかく攻めるひと。

 当然、妻は1番目の超初心者クラスで、息子と私は4番目の偉そうにハイレベルクラス(でも那須は初心者)。しかし今回、走りより重要な目的がある。20年ぶりに新調した“レーシングスーツ”、しかもRSタイチ、クシタニ、RSAレザーズ各社に作ってもらった(タダではない!)フルオーダー品の着心地はどうなのよ?って試すのである。
 残念ながらここに弊社ペアスロープの名は無い。10数年、革ツナギ作りから離れてしまうと、すでに各社のような製作技術に追いついてゆけないからである。やはり餅は餅屋に作ってもらった方が賢明だ。

[RSタイチ社製]
息子の着るオーダーレーシングスーツ。ホワイトとブラックのツートンはどんなカラーリングのバイクでも違和感が少ない。
[クシタニ社製]
息子のサイズで作ったが、今回、意外にもサイズが合い、妻が着用。グレー基調のモノトーンデザインはシックである。
[RSAレザーズ社製]
左の2社が上部全面パンチングメッシュ加工なのに対し、それを施していない私のスーツ。しかし暑い時期はパンチング有利。


 レザースーツは、よほどサイズが合わない限りは既製品をお薦めしない。肩幅・着丈・また下、特にヒザの位置が合わないと違和感を持ち続けて走ることになる。これ最悪。
 しかしそうは言ってもこれら3着オーダースーツの合計金額は、なんと国産リッターバイクに相当する(一着あたり28〜33万円)。安全の代償として考えれば決して納得できないというものではないが。
※RSタイチ・クシタニは各社既製品(上記のスーツではない)のデザイン・サイズを基本としたイージーオーダーが20万円弱で用意されている。尚、RSAレザーズはフルオーダー(24万円〜)のみ。 お問い合わせは各社に直接どうぞ。
 
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