’03年11月11〜13日 
文・写真:三橋 [全7ページ]

 20年間中型二輪を貫き通してきたカミさんが、突然この夏、限定解除するべく教習所に通い大型二輪免許を入手。そしてまた翌月、どうぞ買ってください、と言わんばかりにすぐ近所にドゥカティ屋がオープンした。世間一般的には家の主といえど、カミさんの顔色をうかがいながら、そりゃもうバイクを買うなど大変な行事なのだが、カミさん本人が欲しいとなれば事は簡単、とんとん拍子でムルティストラーダを頂くことに、極めてラッキーである。
 そして納車の翌週、慣らし運転を口実にカミさんと晩秋の信濃に向かった。




 “伊 対 独”・・・イタリーとドイツのバイクを日本人が乗る。これまさしく第二次世界大戦の三国同盟を組んだトリオ。しかしそのトリオ、すべてが敗戦国。なんとも弱いのである。ま、そんなことはどうでもいいので先へ進もう。

 今回のツーリングは、鈍足なカミさんと、しかも慣らし運転のムルティということで私は非力なBMW F-650GSで同行することにした。でないと、ともに愛車であるスズキGSF-1200やカワサキ12Rではまったくペースが合わないから。最近そんなこんなで12Rでツーリングする機会がもっとも少ない。
 ところでムルティとF-650GS、カテゴリー的には非常に似かよっている。そんな気がした。両車を乗り比べる前までは・・・。特にムルティ ストラーダは日本語で“どんな道でも”のような言葉、どちらもデュアルパーパス系ではあるみたいだが、その性格はまるで違う。その辺は文中で所々お知らせしよう。

F-650GSがカマキリなら、ムルティは赤いコオロギといったところ。どちらも昆虫のようなスタイリング。
それにしても、近年ツーリングではフルフェイスをかぶらなくなった。視界が狭くうっとうしいのもあるが、ジェット型の性能がかなり良くなったことが理由。特にJ-フォース(SHOEI)はお気に入りで、バイクに合わせて現在5個所有(自慢してどーする)


 さて、真っ青な秋晴れの中、真っ赤なムルティとの初ツーリング・・・とはゆかず、雨の中を出発。これってどうなんでしょうかね、、、レインスーツのテストツーリングの時は、わざわざ雨の天気予報を選んで走るが、期待した雨は降らず(そういえば2年前、850キロ、1日中雨雲を追いかけた事があった)。今回は晴れの予報だったのに雨。いつも天気予報が当たらんとは言わないが、もうちょっとなんとかしてほしいものだ。そしてまた欲を言ってしまえば、ムルティの納車があと10日少々早ければ紅葉真っ盛りの信州を走れることは分っていたのだが、まあ仕方のないこと、売れ残ったわずかな紅葉に期待しよう。


 雨の中央高速を80km/h+αで大人しく走る。八ヶ岳PAで給油、燃費はムルティ19km/L、F-650が20km/Lといったところ。途中、都内の渋滞を考えればこんなものか。だだし、ナラシが終わったハイペースであればきっと2〜3km/Lほど下がるであろう。
 ここでカミさんのムルティと交換、初めて高速を走ることになる。F-650のゆったりしたポジションと鈍重な加速に慣れた体は、ムルティに一瞬戸惑う。まずはそのつんのめった?ようなポジション。シートは高く、ハンドルバーは低い(けっして前傾という訳ではない)、以前同じカテゴリーのヤマハTDM-850を所有していたが、これともまったく違い、なんか妙、慣れの問題とは違うような気がする。やはり手・足の長いイタリー人的ポジションなのか。
 しかし、その加速感、とにかく元気がいいのである。スロットルを開けるのが楽しいっていう感じでギュンギュン回る。慣らしの許容5000回転でチェンジアップしぐんぐん加速すると、カミさんのF-650を遥か後方に置いてゆく。カミさんでなくてもF-650が着いていくのは一苦労、慣らし運転が終了したら、高速道路だけでなく峠道でも不可能ってな感じだ。それだけ加速の違いは明白。
 尚、F-650GSの名誉の為にお伝えするが、高速道・一般道の一定速度走行は、F-650GSが有利。なんたって走りに落ち着きがあるし、ポジション的に疲れにくい。特に長距離はF-650GSの勝利と思える。

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