2004年1月&3月
文・写真:三橋 [全3ページ]

2003年12月某日、弊社忘年会での酔っ払いどおしの会話から、このストーリーは始まる。「ねえねえ三橋さぁ〜ん、奥さん大型二輪取ってドカのムルティストラーダ買ったんだっててねえ、そりゃメデたいやぁ!メデたいついでに私のライディングスクールに奥さん来てみない? 親切丁寧に教えますよぉ〜、ライディングテクニックは基本が大事、転けないで楽しく乗れるようにねっ、転ばぬ先の杖、私に任せなさいって。」 「ん〜、転けたら痛いもんネェ、それじゃぁお言葉に甘えてカミさんお願い、し、ま・・・あ、あれぇ?今日箱根で豪快に転けてきたの柏さんじゃ〜ん。バイク壊したんでしょ?説得力ないなぁ〜」 「いやぁ、猿も木から落ちる。な〜んちゃって〜・・・・・」


 そうなんだ。曲芸みたいなUターンをする柏さんだって転けることがあるのだから、免許取立てのカミさんなんて言うに及ばず、せっかくだから教えてもらおうということになった。そして後日、ヒョコッと柏さんが来店する。
 「ちょっとお願いがあるんだけど、奥さんを教えるライディングスクールで、私の生徒さんたちにウエア学の講義を開いてちょうだいな。」 「あっ、前から言ってたアレですよねえ、モーターサイクルジャーナリスト柏氏 対 メーカー三橋のウエア論の戦い、ってやつでしょ。ええ、もう喜んで!」 「違うって、ウエア専門業の人と戦っても私は不利、そりゃズルイよぉ。だったらライディングテクニック比べもやらなきゃ。」 「それっ、柏さんもっとズルイ!絶対ズルイ!」、、、いやはや大人気ない会話である。
 しかし今回ばかりは柏さんの要望どおり、私一人で講義を行うことになる。そしてライディングスクール事務局からあたえられたテーマは、
 「やはり冬でもライデイングを楽しみたい!・・・冬のウエアリングについて」 
 なんだか硬そうなテーマだが、内容はかなりソフトにしようと思う。

 [従来のレーシングスーツ]
 そして柏さんからもう一つ頼まれ事があった。’04春からの新しいレーシングスーツのデザイン及びコーディネイト依頼である。弊社ペアスロープは革ツナギメーカーでも、ましてやデザイン会社でもない。それに、柏さんはゴールドウインさんのウエアアドバイザーであり、革ツナギはRSAさん、グローブはJRPさんと、それぞれサポートを受けている。ペアスロープ製品などひとっつも(ここは強調)持っていないのに「なぜ?」と思われるだろうが、答えはいたって単純、「カッコいいオヤジであり続けましょうよ、柏さん!」 ただそれだけ。
 このHP最終項(3ページ目)でその力作をお見せするのでお楽しみに。
 
柏ライディング アート スクールにて。
 1月某日、朝9時前にカミさんと東京港区三田の会場に到着。まずは教室で柏さんの安全運転講義から。とはいっても教習所や免許証更新のときの講習とはちがい、もっと現実的な事故回避などなど。30年もバイクに乗ってる私でも「なるほどぉ」ってなる。
 「スロットルを開けることは、だれにだってできます。でも確実に止まるブレーキ操作ができる人は、ほとんどいない。今日はコース実習でそこんとこを集中して行います」 
 熱く、熱く語る柏秀樹氏である。

そして私のウエアリング講義
なんかクソ真面目に話してるように見えるが、「違うんですよ、お客さん!」。
 いや、これつい口癖になってしまう。(カタログ読んだ人しか解らないギャグでした。すいません)
写真提供:事務局
“冬のウエアリング”といっても、今回は、本格的なウインターギアを買わなくても、いかに安い予算で冬を快適に走れるか・・・というウエアメーカーの風上にもおけぬ知恵を伝授。当然、弊社カタログ、HPにも公開しない。「ここだけの話」ってやつで、このスクールへの大サービス。
写真提供:事務局
それにしても、カミさんが最前列(右)にいては、なんともやりにくい。最後列にはデンと柏校長が構えているし。
お笑いウエア講座「激安予算でポッカポカ」、おそまつさまでした。
写真提供:事務局


コース実習。
さて、ここからが柏校長の熱い指導の始まり。募集生徒15名までとしているのは、ひとりひとりを教えられる限界人数だという。
まずコース外周を回りタイヤを温める。ブレーキを掛けては離しの繰り返しはタイヤ内の空気の温度を上げるため。
カミさんが笑いながら走っているので、校長に失礼だぞ!って言ったら「だってニコニコして走れって柏さんに言われた!」だと。
コース上に水をまいてリヤブレーキのみフルロックで止める。
「タイヤがロックすると多くの人はアセる。でも故意にロックさせてコントロール感覚を身に付ければブレーキングも上達する。リヤのロックではそう簡単に転びませんから。」
でも初体験者はさぞかし怖かったであろう。もちろんカミさんも。

























約40km/hまで加速してリヤのフルブレーキ。
初めのうちは怖かったらしく、フルにブレーキを踏めないが、5回目くらいの挑戦で終始フルロックに。
確かに後輪をロックさせているから、これは多大なる進歩といえよう。
 柏校長自ら手本を見せるが、これはもう余裕全開。リヤロックのまま右手を離しアクションをまじえて生徒に向かってシャベる・・・「リヤブレーキをロックしても安定性はあるんです。でもフロントブレーキのロックはダメ、私でも転けます。」 う〜ん、フロントフルロックでいったいどう転けるのか、校長に実演してもらいたかったのだが。。。

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