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 東北自動車道を古川インターで降りて国道47号を鳴子に向かう。いくら高速走行ばかりとはいえ、400キロ以上も走ってくれば少々バテぎみ、今夜の宿の東鳴子まであとわずかだが、道の駅に入る。それにしてもふざけた名だ “あ・ら・伊達な道の駅”。
 ここ岩出山町は独眼竜で有名な“伊達政宗”(だてまさむね)ゆかりの地。1567年米沢に生まれた政宗、青年期はこの地に住み、勢力を増してゆく。
 時は織田信長そして豊臣秀吉全盛の世に、政宗公の軍隊の姿がひときわ目立っていた。そこから 「伊達者」 「伊達なヤツ」 と呼ばれるようになったとされる説がある。「伊達」とは「派手、粋、見栄を張る」といった意味があり、現在までも語り継がれている。・・・伊達や酔狂で書いてんじゃありませんよっ!


伊達な女がほうばる、焼きたてせんべい。
1. アニメチックな伊達政宗と彼女?
2. 観光客が買っていくのだろうか、生きたドジョウを。
3. 山菜も豊富に取り揃えている。
4. ご老人御用達、かりんとう。一斗缶で大量に販売。
5. まわりは伊達なジイさまバアさまばかりなり。
6. あ・ら・見栄を張ったレストラン、、、。




政宗公・・・怒っているように見える。
観光バスで来たおばあちゃんが、政宗のイラストを指差して「ほ〜ぅ、義経かい」と言っていた。
「違うんですよぉ、バアさま、、、伊達政宗なのですよ!」って教えてあげたかったがめんどくさいからやめた。
しかしその源義経と伊達政宗、まったく関係ないかといえば、実はおおありなのである。政宗公の時代より400年ほどさかのぼる義経が没した1189年、その死に追いやった平泉の藤原家を、政宗公の17代前の先祖が源頼朝に加勢し滅ぼす。その功績をたたえられ、現在の福島県伊達郡の地を頼朝から与えられ、そこから“伊達”と名乗る。
なお、政宗公は1600年代初めに、なんと、船を建造してヨーロッパ(ローマ、スペイン)へ派遣使節を送っている。あの坂本龍馬が江戸時代末期に「世界に目をむけなぁいかんぜよ!」と言っていた250年ほども前のことだ。伊達政宗は仙台藩六十二万石を築いた国際派の名君であった。


 すっとんきょうな名の道の駅も、その由来や歴史を調べてみるとなかなか興味深いものがある。何よりも、時代の差は大きく開くが、伊達政宗と源 義経とがなんとかつながっていることにホッとした。(まあ、偶然立ち寄った道の駅の政宗公であって、家に帰ってから調べつくしたんですがね。きっと何か関係があるに違いないという信念で)
 さて国道47号を20分ほど走ると鳴子の温泉郷。鳴子町には5つの温泉郷があり、東から、川瀬、東鳴子、鳴子、中山平、やや北に位置する鬼首の各温泉。それぞれの温泉郷で泉質が異なり、同じ温泉郷でも旅館によってそれぞれ違う。それだけ豊富に源泉がちらばっているわけで、いったいどこに泊まろうか迷ってしまうほど温泉宿も多い。
 しかし、現在は電話帳や旅ガイドブックに頼っていたひと昔前とちがって、ネットを駆使してより詳しい宿の情報を得ることができる。様々なHPから候補をあげ、そこから一軒選ぶのだ。(こんな選び方で前日予約ができるのは平日の特権ですな)
 今回の鳴子の宿は、鬼首温泉もすてがたかったが、中山平温泉の「琢e(たくひで)」と東鳴子温泉の「旅館 大沼」にしぼった。「琢e」は“うなぎ湯”と呼ばれるトロ〜リとした化粧水のような名湯を持つ大きな旅館。一方の「大沼」は湯治宿といった素朴な宿。観光化した大きな宿を好まない私は、必然的に「旅館 大沼」を選ぶ。
 しかし、素朴と書いた旅館大沼だが、これがなかなかの温泉でして、、、けっこう豊富な画像をじっくりとご覧なされ。
国道47号。鳴子まであと数キロだが雲行きはあやしい。




東京の自宅から465km。湯治の宿といった風情の東鳴子温泉「旅館 大沼」に到着。




 10人ほどは入れそうな「母里の湯」は、宿の番頭さんがワンボックスで送り迎え(宿から1分)してくれる離れの露天風呂。そして贅沢にも貸し切りである。湯は熱くもなくぬるくもなく、特にクセのある泉質でもなくサラッとした感触。小鳥のさえずりとカエルの鳴き声を聞きながら、ゆったりと浸かる。
 東京からの長旅の疲れが、これで取れたかといえばさにあらず、逆に身体の中に秘めた疲れの毒をドォ〜っと外に出しているようだ。わかるかな〜、わかんねえだろ〜なぁ〜(古い!)。
ここには湯治館と本館(5部屋)があり、我らは最高級の部屋(税込13,800円)に泊まる。理由は便所付だから。なお、湯治館は自炊3,745円〜といろいろあり。


風呂の写真は、このページ以降も宿にお願いして撮ってます。
黙って撮ったり、他のお客が浸かっていると、トラブルのもとになりますからね。


 旅館大沼の風呂は全部で8つ。そのうち6つが貸し切りで入れる。そして源泉は“含芒硝・食塩重曹泉”と“赤湯・純重曹泉”の2種類。温泉ツウではない私には、どちらがどうのこうのと分からないが(漢字だってよく読めない)、とにかく身体に効きそうな温泉だ。
 夕食の後、この宿でいちばん大きな、恐れ多くも仏像と天女大壁画付の“千人風呂”に浸かりに行く。そこはニカッと混浴、、、。
 風呂のドアを開けると先客がひとり、しかも女性。ラッキー!と見ないふりして視線を向ければカミさんなりにけり。。。嗚呼

 今日は旅の初日とあって、3つの風呂にとどめておいた。欲張って短時間にたくさん浸かりすぎても、身体には逆効果になる。酒だって毎日少しずつなら健康に良いとされるのだから。(分かっちゃいるのだけれど毎日たくさん飲んでます)
旅館大沼は、立ち寄り入浴も可能。ただし母里の湯だけは泊まり客専用。


旅館大沼から眺める東鳴子温泉の町並み。写真中央より右側には湯治宿がずらりと並ぶ。



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