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走りの写真
 バイクで走行中の写真は、私の領域ではない。やはり、経験とカンがものをいう坂上カメラマンに全てお任せである。
 坂上プロは後ろに乗り、2台のバイクがビーナスラインを行ったり来たりの繰り返し。望遠レンズは使わないので2台の距離は、時に50センチ程度で並走するのだから、見ているほうはぶつからないでくれよ!(俺のバイクだからな)ってハラハラもんだ。
 ビーナスラインは並走写真を撮るのに適した道路だと言える。車さえいなければ、どのカットでも青い空と緑の山並みが背景となるし、ガードレールもロープ式が多く目立たない。いや、ガードレールそのものが無いところが多いのも嬉しい。そして、もっとうれしいのは、昨年からビーナスラインは全線無料になったことだ。
 しかしそのお陰で交通量が増えてしまったのは唯一の欠点といえるが。(土日祭日の混雑は覚悟を)



PHOTO:以上4カット坂上修造




GSFのスロットルをちょっとひねれば、必ず落ちる、、、カメラマンは。



 撮影紀行の楽しみは食い物にもある。いたって真面目な仕事をする坂上カメラマンは「何でもいいからさっさと済ませよう!」などと言うが、その他のスタッフはそうはいかない。「せっかく来たんだから、昼飯は信州蕎麦ですぜぇ」(万蔵)、「同感」(石野)、「美味そうな蕎麦屋を探しに出発!」・・・まあこんな具合。
 しかし、あらかじめネットで下調べして狙いを定めた蕎麦屋なら別だが、行き当たりの場合、ちょっと店構えに雰囲気がある店に惹かれてしまい、そこで食った蕎麦はなぜかハズレが多い。
「この天ざる、山菜とキノコばっかりの山盛りじゃん! こんなの7月に採れるのかぁ? 同じ冷凍なら海老の一匹くらい入れろってんだ!・・・えっ、これで1500円? 江戸っ子をなめてんじゃねえよっ」(石野は宇都宮出身である)。
ここ、佐久・臼田町の「ともせん」の
天ざるに不満はない。


信州の山奥の沢で苦労して撮った坂上カメラマンの“ショートグフ”の写真だが、残念ながらカタログには未掲載。(ほんとは載せ忘れた、が正解)



PHOTO 3点:坂上修造


 初日は朝7時に弊社に集合し、ビーナスラインを舞台に撮り続け、日没のシーンを最後に撮影終了は夜7時すぎ。佐久にある宿に着いたのは9時をまわっていた。
 そして2日目は、山に登ったり、沢に下りたり、撮影ポイントを探して道を行ったり来たりと、これまたせわしない。
 今回だけでなく、ロケはけっこうハードなスケジュールであるのだが、それがちっとも苦痛ではない。スナップ的に私が撮った写真で分かるように、みんなニコニコとしているのは演出ではなく、やはり私同様に楽しんでいるのだろう。

2日目に最後の撮影を終了し、東京に戻る・・・のは坂上カメラマンと石野と万蔵。私とカミさんは、、、やだねっ、せっかくだから温泉にでももう一泊して、志賀草津道路でも走ってから帰るのでバイバイッ!。
 上信越自動車道の佐久インターを、不満げな彼らは東京方面、私らは長野方面へと別れた。
 
「坂上さ〜ん、ここから撮ろうよ〜」
石野の誘いに、「・・・やだネッ」



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