ピット前では、主にビギナーのためにハングオンスクールが行われる。マイク片手に一生懸命教えているのは、レース界の大御所、知る人はみんな知っている神谷忠氏だ。この走行会参加の最低年齢のダイスケと息子の二人も真剣に聞き入る。
 それにしても走行会参加者の気になる年齢層。主催者側からいただいたリストを見て、一抹の不安を覚える。30代が半数というのは分かるが、30歳未満より、40歳以上のほうが多いではないか。あと数年したら、40歳以上が過半数に達してしまうだろう。こんなに楽しいサーキット、なぜ若者は少ないのか。
 1980年代後半、弊社がサーキット走行会を主催していた時は、圧倒的に20代が占めていた。なんだかサーキットは、ほんとに大人の(中年の)遊び場になってしまうのか。将来のためには、これで良いはずはないのだが、、、。
レーシングスーツにハンチングの手本モデルは、松下。


 さて、経験者クラスの走行が終わると、ミニバイクの走行をはさんで、すぐにビギナークラスが始まる。カミさんにとって経験者クラスはペースが速すぎるので、ここはビギナークラスで走ることにする。と、言うか、そのつもりで革ツナギは持ってきてない。

サーキット内のスタンドでガソリン補給。「このハイオクはパワー出るよぉ〜、速く走れるよぉ〜っ!」、ガソリンを入れるオジさんに言われるが、全開で走らないカミさんには、まったく意味がない。


 ビギナークラスは、走りに自信のある順に何クラスかに別れ、先導車について行く。そして各クラスの中では追い越しをしてはいけない。
 革ジャン、革パンに着替えた筆者もカミさんのあとについてコースイン。一番遅いクラスなので、速度は50〜110km/h程度。1〜2周はコース確認するのに良いなあ、と思うも、その後はただただ眠くなるばかりだ。でも皆さん、先導車の走行ラインに沿って、真剣に走っていた。眠くなる、なんて失礼ですな。
 なお、その先導している皆さんの顔ぶれが凄い。レースを知ってる人なら、えっ、ウソでしょ!!! ってな感じである。全日本レース界、トップライダーの面々が揃いぶみ。ライディング スポーツ誌主催ならではの演出だ。

左から、須貝義行氏、辻本聡氏、(ガキンチョふたり)、鎌田学氏、生見友希雄氏、宮城光氏。弁当食ってる最中に申し訳ございません。

 先導車付のビギナークラスは革ツナギでなくても参加できる。だから筆者とカミさんは革ジャン・革パンで走ったのだが、そのほかの皆さんはといえば、ナイロンジャケットにジーンズといった格好が非常に多い。この点を主催のライディングスポーツ青木編集長に聞いたら、
 「サーキットという特別な“門”を大きく開いておきたい。革ツナギを持ってなくてはダメというのでは、いつまでたっても門をくぐってくれないでしょう。」
 確かにそうだ。サーキットを走るために高価な革ツナギを買うのは敬遠されるだろう。そして、
 「先導車付なので、速度も制限し、追い越しも禁止。まずはサーキットを経験してもらう。それでいて思いっきり走るフリー走行クラスを見て、いいなぁ〜、なんて思ったら、次は革ツナギで参加してくれるでしょう。」
 ごもっともでございます。確かにジーンズ姿は転けたらケガするだろうが、一方通行で対向車も、ガードレールもなく、滑りにくいアスファルト、そしておそろしく広いエスケープゾーン。一般道の危険度とは、比較の対象にもならないほど安全性は高い。

ツインリンクもてぎフルコース
全長:4801m
最大直線長:762m
幅員:12〜15m
最大高低差:30.4m


ジーンズで転けると、痛いんだよぉ〜。


ヒザにプロテクションガードは正解かもしれない。腰は無防備だが。なお、ナイロンジャケットは、転けると瞬時に溶け、破れる。アスファルトに対抗するのは、やはり“革”。




修理完了して、松下がやって来た。










ダウンジャケットにリュック、ジーンズにスニーカー。たぶん転ぶと全部破けるでしょう。

全て革でキメている。転けて痛いのは、おカネをかけたバイクのほうか。






カメラを意識すんじゃないっつうの! みなさん真剣に走ってるんだから。





なんだこいつもカメラ目線か! ピースサインまでしやがって、、、俺だ、これ。


 きっと初めてサーキットを走った人達は、少なからず感動を覚えたことにちがいない。その速度では、まったく滑りそうにない路面、高速道路よりも広々と感じるコース。松下や筆者にとってはノンビリムードの走行でも、ビギナーの速いクラスのほうは、150km/hくらいまでは出すのだから公道よりも速い。カミさんにとっても、ワインディングを安全にうまく(速く)曲がれる良い練習になっている。
 まだサーキットを走ったことのない方、面白いんだから、ウソじゃないから、ダマされたと思っておいでなさいな。
 


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