2008年11月21日

 2番線、、、とはいっても、もうこのページに鉄道は出てこないのでどうぞご安心を。

 JR津山駅からお迎えいただいたクルマで走ること10分少々、市街地のはずれといった感のある所に、その運転するマダムのバイクショップがある。マダム、、、正確にはそこの専務であるが、カタッ苦しいから以後もマダムと呼ばせていただこう。
 

 さてそのバイクショップの名は“パドック”という。敷地面積約1000坪。まず東京、少なくとも23区内ではありえないほど、とっても大きい。ダンプカーでも入れるな、と思う広い駐車場で我ら東京者が降りる。




ペアスロープ初のこころみかな?。。。

中庭もお洒落だ。


マダムこと、岡本専務。


広々とした空間に並べられたバイク。新車はカワサキとトライアンフ(共に正規代理店)がメインに置かれている。
 そろそろここパドックさんに来た理由、仕事の理由を話さねばならないだろう。先に端的に述べよう、弊社製品を販売させてほしい、とのマダムの要望だ。
 そもそも弊社ペアスロープは卸し販売(業販)をせず、1店舗だけの直販(通販含む)で営んでいる。ただし例外として、メーカーどうしのコラボ企画をした浜松のヒョウドウさんのショップだけは、一部製品を販売しているが、2009年以降はコラボ予定がないので、それも消滅状態となっている。

 およそ1年か2年前だったろうか、、、(毎月のように全国のショップさんから業販の依頼を受け、そのつどお断りしているので、よく覚えてないのです。すみません。)ある知人から(ビッグマシン編集長梶さん、あんただよっ、あんた!)なんとかならないか、と二度ほど頼まれた。答えは当然、問答無用で「ノー」。しかし一度や二度ではあきらめないその知人(ほんとうはマダムらしい)は、こりもせず、2008年11月にまた依頼してきた。「津山のパドックさん、もう一度考えてくれないかねえ」と。
 その直前に、たまたま私は鉄道誌の記事を読んでいた。津山?、、、つやま?、、、最後の“ディーゼル急行”列車が走っているところじゃないか。しかしそんなことはまったくクチにせず、
「これ以上、あなたの顔をツブすわけにはゆかんだろうねえ、とりあえず、津山とやらのパドックさんに行って見学して、それから考ええるとしようかねえ」
 “パドック”を和訳すると整備・点検のスペースである。すでに私は、津山にJRのパドック・・・国鉄時代の機関庫が残されているのを知っていた。もう、無性に津山に行きたくなっていた。

 すみませんパドックさん、梶編集長、ほんとうにすまんことで、津山に訪れたキッカケは、こんなことだったのです。ず〜っと隠していたかったのだけど、こんな鉄道サイトを作れば、いずれバレるだろうから、早めに白状しちゃいます。

用品コーナー。バイクの販売だけでなくセレクトショップとしても機能する。


トライアンフのジャケットにも目をつけたカミさん。手にするのをお買い上げ。いったい何しにきたのか。


トライアンフのバッグに目をつけたカミさん。弊社にも素晴らしいバッグはあるが、こんなデカイのはない。

同年代同士のこの会話には入ってゆけない筆者である。

シャイだと思ったら、けっこう話し好きな岡本社長であった。
 専務がいるからには社長もいる。社長はマダム専務の旦那さんである。その岡本社長の話は濃く、このショップが並大抵のバイクショップでないことが分かる。詳しいことは後のショップサイトをご覧頂くとして、簡単に説明しよう。
 店内を見渡せば、さまざまな三輪トライクが目に付く。パドックさんは、その製造メーカーでもある。トライク以外にもミニカー(プラモデルではない)や、ミニトレーラーもメーカーとして販売している。とにかく研究熱心な、積極的な、いい意味での遊び人、それが岡本社長なのだ。
 また、ツーリング活動も積極的、いつの頃からか、このショップを“遊びの発信基地”と謳うようになった。そうそう、なぜ我らがヘルメットを持ち、ライディングスタイル(一般的にはそう見えないが)で訪れたかといえば、このショップにはレンタルバイクも用意されており、それを借りて津山周辺や街並みを走ってみよう、と、こういった訳である。

 まだパドックさんに弊社製品を置くものかどうか(通常は「置いていただけるかどうか」が常識であるが)は結論に至っていない。さて話し込んでいたら、陽が落ちてきた。レンタルバイクのトライアンフ“タイガー”を借りて、30分ほど北に位置する奥津温泉に向かい、温泉に入って、マダム専務とそこで食事(酒も)を共にして考えよう。


カミさんが手に持つのはプー○という動物の名のブーツ。「勝ったな・・・」と、どこが勝ったか意味不明だが、そう思い込んでいるのだろう。右にはヒョウ○○社のジャケット。これにも勝ったな・・・と、それは筆者の意味不明。。。



みまさかの湯

 レンタルバイクのトライアンフ タイガーで奥津温泉に向かった。その前に、パドックさんで用意されたそれを見て、二輪ジャーナリストの柏 秀樹さんを思い出してしまった。氏の愛車のひとつもタイガーで、弊社に来られたとき「ねえ、これ乗ってみてよ、面白いよぉ〜」と言われて跨ったら、足がとどかなかった。このオヤジィ、俺の足が少々短いのを分かってて言いやがったな! というのがあって「あっちゃぁ〜」と思ったが、このタイガーはローダウンされていてセーフである。
 まだ6時前だが、陽が暮れて辺りの景色はあまりよく分からない。トンネルもいくつか抜けたし、けっこう山の中だなあ、という感じ。それよりも寒いじゃないか! 気温はあきらかに10℃以下、防寒グローブをはめてない手がかじかんできた、、、と思ったら、奥津温泉 東和楼(とうわろう)に到着。昭和3年創業、木造三階建ての温泉旅館だ。


 岡山県北部には、湯原温泉、奥津温泉、湯郷温泉の各温泉があり、それらは“美作(みまさか)三湯”と呼ばれる。
 奥津温泉の開湯は古代からといわれ、それがいったいいつの時代なのかは定かでないが、そうとう古いことは確かだ。戦国武将の湯治場であり、江戸時代には津山藩の城主が自分専用の湯船を作り、一般の者には入浴を禁止した、という歴史を持つ。なんというバカ殿だったろう。そのバカ殿の城跡には明日行くとして、まずは風呂に入るとしよう。

風呂は地下に向かう階段を降りる。



トンネルのような洞窟のような通路を数10メートル歩くと温泉入り口が。




小さな湯船。なお撮影の為、夫婦坂手ぬぐいを使用してます。(よくあるテレビテロップである)

写真で写るのはこんな程度。肉眼で見る美しさの100分の1かな。
 温泉は湯船の底からこんこんと湧きあがっている。風呂場が地下にある理由は、湯船に直接温泉を流し込むためなのだろう。
 無色透明、無味無臭のアルカリ泉、湯温は41.7度、男湯も女湯も3人でいっぱいになるほど小さな湯船だが、熱いのが苦手な私にとっては実に気持ち良い。ついつい普段はしない長風呂になってしまった。
 なお、この泉質は“美人の湯”と聞く。全国どこにでもある謳い文句で少々聞き飽きたが、しかしこの湯には根拠がある。この成分は化粧品(コーセー)に使われているそうだ。野郎にはカンケーねえが。

 風呂から上がり、部屋に戻って窓のカーテンを開けると、まだ少しまっ黄色の葉が残るイチョウの木がライトアップされていた。その下には無数の落ち葉が、、、なんと美しい光景だろうか。そこは隣りの旅館、奥津荘の敷地だが、明朝、許可を得てぜひ写真を撮ってみたい。





 夕食直前にパドックさんのマダム専務とスタッフである娘さんがやって来た。そして旅館が用意した部屋は・・・広っ!
 さてここでパドックさんに弊社製品を置くかどうか(しつこいようだが「置かせていただけるか」が常識)を申し上げる。結論から話そう。でもその前にビールで乾杯。そして熱燗を一杯、2杯・・・。

 では結論・・・“グローブとブーツ”だけ置かせていただこう。まずは手先・足元から、というわけだ。ウェア類については、その二つのアイテムが順調に売れない限りは、今のところまったく考えはない。逆説的な考えで述べれば、操作、そしてお洒落の要(かなめ)である手先・足元、それらに気を使うお客さんが多い店は、黙っててもウェアは売れる。さてマダム専務、どうアピールするのか、、、“みまさかの国”の女性の腕の見せ所、じっと静観しようではないか。

 まるで他人事のようですまんです。そして手先と足元だけというのもテストをしているみたいですまんです。しかしそれでもそれらの弊社製品を弊社以外で販売するのは全国でもパドックさんだけとなり、それは例外中の例外なのです。でもこれで、弊社グローブ&ブーツに興味のある関西・山陽・山陰・四国・九州の皆様には身近な(日本地図で見ると近い)ショップができるわけで、それはそれで悪いことではないと思うわけです。
 で、2009年3月中旬よりパドックさんに並べましょう。
 ・・・以上、仕事終了。


 翌朝、またあの広〜い部屋で飯を食って、その前にカミさんだけ朝風呂に入って、宿を出発することに。ニケツで。


ど〜です、この究極のブーツ(とゲタ)は。※ジップアップ式はアイボリーカラーを発売しません。(ヒモの編み上げタイプは出すかも)



タイガーは無礼にも昨日から宿の玄関前にド〜ンと置いたまんまだった。それでは女将さん、いい湯を頂きました、ありがとう。





出発の前に、昨夜部屋の窓から見た隣りの宿のイチョウの木の辺りを撮ってみることに。
それは、黄色、オレンジ、赤、紅色が広がる、見事な落葉のじゅうたんでした。













 晩秋の奥津温泉の朝はかなり冷えていた。宿の裏手の吉井川の川原には露天風呂があり、湯船の清掃中。しかし橋の上から丸見えのこの風呂に入る女性は、かなり勇気がいるだろう。ていうか、たぶん野郎だけだろうな、入るのは。

 奥津温泉を出るとすぐ国道に合流する。え〜とこのT字路を右に曲がって、、、ツルッ! キャ〜ッ(カミさんの絶叫)・・・凍ってやがる。運転している私があせったくらいだから、後輪が大きく滑る、その上に乗る後ろのカミさんはそれ以上だったろう。気温は0℃近いのだろうか。3日前には雪がちらついたと聞いたから、寒いのも無理はない。それにしても前輪が滑らなくて幸いした。それだったらアウトだからねえ。ふだん後輪滑らして遊んでるのをバカにしてたカミさん、こういう時に役立つのだ!俺はそう易々とは転けねえんだ!(前の月に立ち転けして骨にヒビ入れたカミさんに、心の中でそう叫んだ)

 さて、津山駅に向かおう。てえことは、また“鉄”かぁ?

 ・・・つぎのページはそうとう濃いです。昭和の、日本国有鉄道の時代の香りがプンプン漂います。そしてまた、弊社製品と鉄道車両との関係が、ここで明らかになります。鉄道の雑学、少し知りたい方は次の3番線にどうぞ。そうでない方は4番線にお回りください。




パドック http://www.paddock-air.com/
2009年3月中旬より、ペアスロープ製品のうち、グローブとブーツのみパドックさんで販売を開始します。弊社店頭以外は全国唯一です。製品の販売・入荷状況は、上記サイトをご覧下さい。
みまさか三湯 http://www.tvt.ne.jp/~bikan/okamisan/index.html
奥津温泉だけでなく、湯原温泉、湯郷温泉もどうぞ。



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