2009年8月2〜3日

 また来てしまった、讃岐うどん巡り。というより仕事だろうが遊びだろうが香川県にくれば必ず食っている。食わないで帰ろうものなら、なんかソンした気分になるだろう。あんなに安くて、ほんとうに旨いのだから仕方がない。
 うどんは小麦粉と塩と水から作るシンプルな食い物だが、しかしなぜか各店で味はさまざまである。 ・・・まあどうのこうの言わずにご覧いただこうか。案内人は尾原、そして坂上カメラマンのイヤミのように旨そうな真実の写真を添えて、こってりと讃岐うどんを。


讃岐うどんのイロハから。

 
 まずは讃岐うどんの基本から簡単に話そう。それを理解してもらえれば先の話が進みやすい。
 香川県には1000とも1100ともいわれるウドン屋があり、それを大きく分ければ“観光系”と“地元密着型生活系”とがある。そしてなお地元密着型生活系には、一般店(店員さんが持ち運びしてくれる食事処)、セルフ店(客が持ち運びする。自分で麺をゆでたり、ダシを注ぐという店もあり)、製麺所店(製麺所がうどんを食わせる)の3種類がある。今回は観光系も含め、セルフ・製麺所系の店を巡り、ツーリングと讃岐うどんを一石二鳥で愉しもう、って寸法だ。

観光系:エアコンも利き、席もゆったりしている。
セルフ系:ハイヨッとうどんを渡され、ダシなど客が入れたりする。
製麺所系:その名のとおり製麺所。客が来たらウドンを食わす。


[一食目]

 このツーリングの初日、屋島の中にある尾原宅に寄り、すぐさま歩いて1分の“わら家”にウドンを食いに行く。そこで坂上カメラマンと待ち合わせているのだ。
 わら家は典型的な観光系うどん店といえよう。しかしどうにも観光地にある食い物屋ってのはなあ・・・と尾原に言えば、
 「まあ食ってみればわかりますぅ、ここはちがうんですわ」 と。


わらぶき屋根の下の店内は広い。50人以上は楽に座れるだろう。
必殺ストロボカメラマン、うどん撮影は任せた!(撮影は許可を得てます)





 注文したのは“家族うどん”。でっかい桶に入った8玉分は大人4人が食ってちょうどよい量だろうか。箸を桶につっこみ、てんこもりのうどんを器に入れるダイスケ。
 「おいおい、そんなたくさんつかんだら器に入らんわ。・・・な、なんだそのネギの量は。そんなに入れたらアカン、うどんの味がわからなくなってしまうやろ〜!」
 いろいろうるさい案内人だ。さてダイスケに味の感想を聞こう。
 「うまいっス、超いいっス!」
 期待はしていなかったけど、やはりそんなコメントしか出てこないんだな。では代わって案内人尾原に。
 「ここは釜あげうどん(水洗いせず、ゆでたままの麺)ですわ。麺にコシがあって味もいい。ダシもしっかり作ってますわ」 ということで。。。

◆家族うどん:2300円。なお、ノーマルの釜あげうどん1人前は410円。

[ わら家 ] 香川県高松市屋島中町91 年中無休 営業時間:10時〜19時。
■屋島工房のすぐ近く。グローブとウドンを同時に味わいたいならどうぞお越しを。





[二食目]

 ツーリング2日目は朝飯を食わずに尾原宅を出発。午前中に4軒のウドン屋のハシゴをし、がっつりと讃岐うどんを堪能しようって寸法だ。しかも地元密着型のセルフ系・製麺所系を巡り、これぞ讃岐うど〜ん!てのをね。
 そうそう、坂上カメラマンの実家は同じ高松市内だから、一軒目のウドン屋の近くで合流することになる。
尾原家の家族に見送られて4台のうどん巡りバイクが発進。



 通勤時間帯のクルマの多い高松市内を西に走り、カメラマンと合流して坂出市に。国道から狭い路地に入り、田園風景のなかのこれまた狭い路地を曲がるとその店はあった。
 昨日の観光系うどん“わら家”につづく二食目は、がらっと変わってセルフ系の“がもう うどん”である。ここは、にわか讃岐うどんツウでも知らない者はいない有名店だ。「な〜んだここかぁ」って思われるだろう。でも初讃岐うどん巡りのダイスケのためには、よくわかんないウドン屋より確かなほうが良い。・・・と言ってる私も、ここは初めてなのだがね。

営業時間帯、定休日をみても観光店ではないが、その知名度で観光客は多い。

平日の朝でも列はできる。土曜日の昼どきはいったいどんなだろうか。

注文するとササッと渡されるうどん。10数人程度の行列なら、待つのは5分もない。
セルフ系のウドン店の価格はたいがいこんな感じ。一軒目なので小(1玉)にしよう。

この揚げたての天ぷらを入れると旨いんだが、うどんの味をしっかり確かめるので我慢。





 ツルツルッとクチにほうり込む。うどんは噛まないという人もいるらしいが、それではうどんの味がわからないので、少し噛んでからノドに流し込む。
 がもううどんは塩味が利いている。いや、今日のうどんは、といったほうがよいかもしれない。
 今日は暑い。まだ午前9時過ぎだというのに30度にはなっているだろう。食う前にちょっと店のまわりをうろついていたら汗が出てきたほどだ。カラダは塩分をほしがっている。そんな時に食った。
 うどんは季節(気温)によって塩加減を調整すると聞く。こんな暑い日に、ほどよい塩味はありがた〜く頂ける。さすが多くの人を呼ぶ有名店だけのことはある。朝食抜きの空きっ腹の1食目というのを差し引いても、やはり旨いうどんは旨い。

◆小(1玉)うどん:130円也。
 


店内にテーブルとイスはあるが、やはり外で食うほうが旨い!

[ がもううどん ] 香川県坂出市加茂町420-3 定休日:日曜・第3月曜、そしてなぜか体育の日。営業時間:8時半〜14時(麺がなくなり次第終了)。
※昼と土曜日は、かなり混雑するでしょう。なんといっても朝一がお勧め。


この表情がすべてを語る。



うどん写真、いいデキだったよ。




撮ったらすぐ食う!



[三食目?]



 がもううどんを堪能し、次は?と尾原に尋ねると、すぐそこで5分も走らん、と言う。ちょっとインターバルが短すぎないかぁ? もっとバランスのよい距離間を考えたらどうよっ、と思いながら案内人の後についてウドン屋の敷地内に入る・・・定休日じゃねえかぁ!
 定休日くらい、あらかじめ調べておいてくれよ! けっこう適当な案内人、尾原であった。。。

山下うどん・・・定休日。



[三食目]

 定休日で山下うどんが食えず、がっくりしながら香川県を南下する。案内人、次は製麺所系のウドンを食わせると言う。

信号待ちの横には“たむら”。ここのうどんはコシが強いんだ、とカミさんも覚えていた。

ちょっとした峠を越える。カミさんがいるのでかなりスローペース。いなければ・・・?


“赤坂うどん”通過。ここはオバちゃんのキャラがもの凄い! ウソじゃないって、行ったらわかりますぅ。

のどかな山間風景。田んぼのカカシに見守られてうどん巡り走行中。


 案内人尾原が国道438号線を急に左折し、公民館の敷地に入る。この中にあるのかウドン屋がぁ、と思ったら、公民館の裏口通路から路地を走る。「道まちがえてしもうたぁ!」、うどん案内人 尾原でもまちがえるのだから、たどり着くには手ごわい店だ。


 「着きました、ここですわ、三嶋製麺所!」、「えっ、どこよっ」、「だからこの家ですわ」
 カンバンもなければノレンもない。国道から入る道も分かりにくいけど、三嶋製麺所は案内人がいなければ、まったく分からず通り過ぎることだろう。(このように分かりにくい店は、讃岐うどん店には多数あるという)
 なんだか不安げにドアを開け、店内(製麺所内)に入ると、おバアちゃんと娘さん(お孫さん?)の二人が、せっせとうどんを作っていた。ここはまちがいなく製麺所だ。

ほんとに食わせてくれるのかぁ?・・・不安。

まさしく製麺所。客が来ようと来まいと、うどん作りに専念しているお二人。
へぇ〜、うどんってこうやって作ってるんだ、というのが分かりやすい店である。





 道が分かりにくい、店がわかりにくい、、、だけではない。なにをどう注文していいのか、値段はいくらなのかもわからない・・・そう、店内にメニューもないのだ。
 とはいえ案内人がいるのでだいじょうぶ。尾原が注文し、でてきたダシなしの熱いうどんに生タマゴを入れ、ネギをのせて醤油を少しかけてかき混ぜ、ツルツルッと頂く・・・幸せを感じる一杯である。

◆うどん(1玉)・・・120円、 生タマゴ30円、計150円。
※なおマイ箸持参の場合は生タマゴは無料、と壁に小さく書いてあった。しかしそれを持参しても計150円を払いたいものだ。一杯の幸せのお礼として。

尾原は冷静に味を愉しみ、ダイスケは「いやぁ〜旨いっス」とただ笑って食うのみ。


[ 三嶋製麺所 ] 香川県仲多度郡まんのう町川東276 定休日:不定休(日曜日も営業しているらしい) 営業時間:10時〜17時。


やはりうどんを撮ったら、すぐさま食う坂上カメラマン。
中央の大きな家が三嶋製麺所。旨かったよ〜、ごちそうさま〜。

[四食目]

 本日最後のうどんは、三嶋製麺所から5〜6分。おいおい、これまたなんて近いところをチョイスするかねえ、尾原!
 「谷川米穀店だけど、ダメでしたぁ?」
 「えっ、あの店かぁ?!」
 なんか景色に見覚えあると思ったら、過去に2度食っているけど私にとって讃岐うどん巡りではどうしても外せないのが谷川米穀店である。空腹じゃなくても、食えば旨いのだから、、、東京にある“讃岐うどん”と称するどんなところにも、このうどんの味にちかい店はないのだから。。。

国道438号の橋の上の我ら。右側の谷川米穀店を目指す。

平日の12時前、今日の行列はすごく少なめ。

また来たぞぉ〜オバちゃん!。
本業は米屋。

狭い店内は大混雑。





 ここも讃岐うどんツウにとっては知らぬ人がいないほど超メジャー級である谷川米穀店。その名のとおり米屋が本業のようだ。だからかどうかは知らないが、営業時間は11時からたったの2時間。その短い時間内に合わせて、高松市から遠い、徳島県の県境に近いところまで来なければならないのだから苦労する。しかしそんな苦労など、まったく忘れてしまうほど、ここのうどんは旨いのである。
 ぬくい(温かい)うどんを注文する。渡されたうどんにダシはない。ネギと特性の青トウガラシ(佃煮風)を添え、醤油をたらして頂く・・・もうなんと説明したらいいんでしょうか、たまりませんなあ、このうどんはぁ、、、。

 ちなみに、店内だろうが外だろうが、食い終わったあとに代金を払う。食い逃げするヤツはいないそうだ。あったりまえだぁ、そんなことしたらバチが当たるわい!

◆うどん(小):120円

わかるでしょ〜、ダイスケのクシャッた顔でこのうどんの味がぁ。

[ 谷川米穀店 ] 香川県仲多度郡まんのう町川東1490 定休日:日曜 営業時間:11時〜13時頃(麺がなくなり次第終了)。
※平日でも行列はあるが、土曜日は大行列。駐車場はあるがクルマで行くのはお勧めしない。駐車場待ちしている間にウドンは終了してしまう。なお、バイクなら橋の上以外、国道の端っこにでも適当に停められる(違反かどうかは知らない)。




讃岐うどん巡り・・・まとめ

 やっぱいいわなあ、旨いわなあ、讃岐うどんてのはなあ、午前中で3杯なんて軽くいける。日常、ダイエットがどうのこうのと言っているカミさんだって平気で食ったものなあ。ヘルシーな食い物にあまり旨いものはないが、讃岐うどんはヘルシーで旨い。しかも缶コーヒーと同じような値段だもの。おかげで缶コーヒーがもの凄く高く感じてしまったじゃねえかぁ。
 うどん巡り終了後にダイスケは言った。「しまったぁ〜、谷川米穀店でもう一杯食っとけばよかったぁ〜」と。後悔先にたたず、私もである。

 さて皆さんはどうだろう。関西だろうが関東だろうが、“讃岐うどんでも食いにちょいとひとっ走り”って、そんな粋なバイク乗りもいいじゃないでしょうか。そんなあなたの参考にと夫婦坂二輪旅紀行は日々努力をして送信しているのです・・・な〜んちゃって。

 さて、これから松山の道後温泉に向かって、歴史ある湯に浸かりに行くのだ。




案内人尾原、ごくろうさん。
「ボクは温泉に連れてってもらえんのですかぁ!」
「そりゃそうだよ。温泉や鉄道の案内人ができるかぁ? できないだろ! それに屋島工房のオープンがもうすぐなんだから、帰って働きなって!」
「そんなぁ〜〜〜」



 我らは道後温泉に浸かるため、国道438号を南下し、徳島自動車道のインターに向かう。そして一人だけ寂しそうに反対方向の自宅に帰る案内人の尾原、そのスズキ バンディット1200の排気音は、気のせいか弱々しかった。

可哀想だからもういちど宣伝してあげよう・・・HP >>

屋島工房・・・讃岐うどん、いやちがう! グローブのことならお任せを。

<< ツーリングメニューに戻る 第4話へ >>