[ 文・写真:三橋 2010年10月28日 ]


憧れのキハ181、入線。


 大阪9:36発、山陽本線・播但線・山陰本線経由浜坂行きの特急“はまかぜ1号”が4番線に入ってきた。ディーゼルエンジンを動力とする鉄ちゃん人気の国鉄型特急気動車である。しいてあげれば赤とクリームの国鉄原型色であれば最高なのだが、それでも私にとっては憧れの車両である。
 ところが・・・2010年11月6日をもって、このキハ181系“はまかぜ”の定期運用は終了となる。全国にここでしか走っておらず、今乗っておかなければ一生後悔することは目に見えていた。だから大阪で仕事を作り、いやちがう、仕事ついでに乗ることにした。
 ガラガラとアイドリング音を響かせて停車中の車両をじっくり眺める。およそ40年間走り、日本海の強い浜風に打たれ続けたせいだろうか、そのボディーの老朽化が痛々しい。

[マメ知識:キハ181] キは気動車、ハは普通座席車、そして10桁の8は特急を意味する。
しかしそれは国鉄時代の記号であり、現在のJR新造車両形式とは異なる場合あり。















12気筒、全開!。

いつもの“バイクと鉄道”旅ならば、ヘルメットとグローブが入っている318スポーツバッグ。

 大阪発車。12気筒3万cc500馬力ディーゼルターボエンジンが唸りを上げて加速する。
 「うるさいなあ、この列車は〜」。カミさんが私に言う。そりゃそうだ、指定席はわざわざエンジンの真上にしたのだから静かなはずはない。オマケにエンジンの振動付である。これがまた良い。
 姫路までの山陽本線は、高性能新快速電車と同じ線路を走る。しかし加速・減速、最高速度もその電車より劣るキハ181は、追いつかれないよう、勇ましいエンジン音を響かせ、全力で走る。
 車内を見わたす。1号車指定席乗車率は80%ほどか。おっ、やはり乗っている、同業者(鉄)が。あちらこちらと10人くらいか。男二人組というのもいる。斜め後ろに。鉄道話しかしていないのですぐ分かる。1人旅も数人いる。彼らの目線は、他の一般客とはちがうのですぐ分かる。しかし私もバレているのだろうなあ、きっと。

山陰本線城崎温泉駅を過ぎると車内はガラガラ。4人分の席を2人で。それにしても、国鉄型特急車両の窓はデカイですなあ。車窓の眺めは最高です。


車掌さんが乗客一人一人に挨拶しながら配っていた新旧はまかぜシール。嬉しいプレゼントである。


贅沢にも我がウインドブレーカーは1席分を頂戴する。



終点 浜坂到着・・・さようなら。


終着の浜坂駅。


 城崎温泉駅を発車する。半分以上の乗客はここで降り、車内は空く。我らもここの宿を予約しているが、キハ181を見捨てるわけにはゆかないので終点浜坂駅まで付き合うキップを用意しているのだ。
 次の駅の香住(かすみ)を出ると車内アナウンスが流れる。余部(あまるべ)橋梁を通過する案内だ。
 余部橋梁・・・長さ310m、高さ41.5m。1912年から2010年7月までの鉄製の余部鉄橋はあまりにも有名だ。完成から100年近く経ち、老朽化のため現在はコンクリート製に架け替えられた橋梁を、あと10日で、これも老朽化のために引退する181系はまかぜはゆっくりと通過する。しかしなぜ、余部橋梁を通過している車窓の写真を撮っていないかと申せば、実は動画を撮っていた。同じカメラで。キヤノンEOS 5D Mark 2、動画機能が付いていたんだなあ〜。
 そしてついにお別れの時がきた。小雨降るなか、“はまかぜ”は浜坂のホームに到着した。







はまかぜ1号は到着してから14分後、折り返して大阪に戻る。4両でたった20数名の乗客が降り、残り10名ほどは改札を出ずに、また“はまかぜ”の車内に入った。・・・鉄ちゃんたちである。



キハ181系の特徴は中間車両(キハ180・キロ180)の屋根にある長いラジエター。



我らが乗った車両。



DML 30 HSC エンジン。DML 30 は弊社革ジャンと奇しくも同名品番がある。なお、この真上の席に座っていた。



発車が近づく。最後の見納めなんだなあ・・・。








R-07C サドルブーツも別れを惜しんでいる。




浜坂駅には新型「はまかぜ」の案内が、、、しかし。


 11月7日からは国鉄の旧型181系から、新型の189系「はまかぜ」に代わる。
 181系は1両で500馬力エンジンが1基。対する新型189系は1両で450馬力エンジン2基で900馬力。どう転んでも勝てない性能である。しかしその車両のデザイン・風格では、新型は181系に勝ることはないだろう。なんだか地下鉄というか通勤電車みたいだもの、新型は。・・・特急はねえ、誇らしげに愛称カンバンを前に構えて走らんと、格好つかんのですよ。

 我らを乗せた“はまかぜ 1号”は、折り返し“はまかぜ4号”となって、浜坂のホームをけたたましいエンジン音を響かせて離れていった。・・・その姿、動画で収めたので皆様にも披露しましょう。


※カメラは静止画像同様のキヤノンEOS 5D Mark 2。動画機能がついているのに今まで撮らず、今回の旅で初めての挑戦。せっかくのハイビジョン撮影だが、その“腕”がなければ宝の持ち腐れだわな・・・。



次は、カランコロンと下駄を鳴らして城崎の温泉巡り・・・。



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