■ 革の進化論

昔のバイクはよく転けたものです。それはバイク自体はもとより、道路も乗り手も今ほど整備されていなかったからです。だからバイクウエアに求められるものは、真っ先に安全性……というか強さだったのす。そうなると、皮革に勝る素材はありませんでした。
クロマニヨン人が獣皮を纏いはじめた頃に比べれば、大きな進歩をしている皮革衣料ですが、バイクウエアとしての皮革は、昔からそう大きく進歩しているということはありません。しいて挙げれば、10年前から始めた撥水加工剤のフッ素を混入しているということぐらいなのです。



 裁断パターンの進化というものもあります。その最も分かりやすいのがDシリーズ。これはバイクの進化が大きいのです。とくにKawasakiからZZR1100が発売されたこと、お金を出せば誰でも300km/hが手に入る時代の到来です。ナイロンジャケットが風圧で破けてしまったという声がチラホラと聞こえ始めます。もちろん、弊社の革ジャケットは、どのモデルでも腕が風圧で引きちぎれるようなことはありませんが、やはり多少のバタツキは避けられないでしょう。
G-300D

 ペアスロープとしての皮革製品の進化はあります。当初は、革ツナギが中心でした。当時は、革ジャケットが売れなかったのです。でもバイク用だけではなく、一般アパレル製品も多く手掛けていましたからゴート、ピッグ、シープ、牛革ではカーフまで使ってました。

 着心地が良いのでシープスキンの製品を着てかっ飛ぶお客さんもおりましたが、やはり2輪用に適している素材は牛革だと93年からはバイク用に一本化しました。バイク用皮革では価格のことを考えなければ、ベスト素材はキップ牛革です。が、これは入荷状況も安定していないので現実的ではないのです。ここでハイスピード対応のジャケット作製が始まりました。自らZZRを購入し、○km/hでも快適なジャケットを作りました。風圧に強く、前傾姿勢での着心地を優先する立体裁断です。
せっかく作ったにも関わらず、当初はカタログにも載せず、店に掛けておき、来店したお客さんに「おぅあぅ、こんな裏製品もあるけど、どうだいっ!」と反応を伺う辺りは商売の進化論です。



 Dシリーズは、260にしても310にしても対応速度を表しています。ちなみに“D”は“DANGER”から取っています。KawasakiからZX-12Rが登場し、同時にG-320Dも発売してハイスピードモデルは、恐らく終止符でしょう。これよりハイスピード化が進むかどうかは分かりませんが、これ以上の速度域は革ツナギの世界です。とはいえ、転けたら終わりですが……。あくまでも走行時の快適性ということを目指していますし、日本ではそんなスピードを出すことはないはずですから!?

糸の進化としては、やや頑丈になっただけといえます。一時期ケブラーという鉄よりも硬い素材がはやりましたが、生地素材より糸が強くても、引きちぎれるだけで、余計に悲惨な状況になりかねないのです。
皮革製品自体の進化といえるかどうかはわかりませんが、イメージの変化は大いにあるでしょう。一昔前は、エレキとバイクは不良のイメージで、共通するのはデンデケデンでもバンバババンでもなく革ジャンでした。それがなんかカッコイイという独特の世界観があったのです。今では、革ジャンも不良のイメージから離れ、ある意味お洒落だけれど、ひとつ間違うとオヨビデナイという難しい衣類というポジションです。
こればっかりは、皆さんにおまかせする部分もかなりあります。流行の言葉でいえば、あなたと弊社のコラボレーションということで・・・。このページを参考にあなたにピッタリのウエアを見つけ出してください。


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